現地調査③
シーフの説明を聞いた後は食事の時間にし、トリストには好きなだけ食べてもらった。
やっとこさトリストが食事を終えたようだ。小さい身体でよく食べる。
「にゃー。おなかいっぱいだにゃ」
「しょうがないな、トリストは」
椅子にだらしなくのけぞりかえっているトリストを幸助は抱きかかえる。
「今日は午前中いっぱい働いてもらったからな、ゆっくり休むといい」
「にゃにゃ? にゃにゃにゃ?」
急に持ち上げられトリストはきょとんとしている。
いわゆるお姫様抱っこをされ照れているようだ。小さい頃から一人だったと聞いていたし、人とのふれあいが今まであまりなかったのだろう。
「動くなトリスト。ベッドまで運んでやるから」
「じ、自分で歩けるにゃ!」
「落ち着けよ。少しくらいは甘えていいんだぞ」
「そそそそそそそそそそれにゃら、ベッドまでお願いしにゃす」
トリストが急にしおらしくなる。
「それでいいんだよ」
「そ、それにゃら、もうちょっと甘えちゃおうかにゃ」
「うん? なんだ? 言ってごらん?」
「え、えっと……にゃ、にゃんて言うか、あの、にゃ、勇者様に添い寝してほしいにゃ」
幸助の腕の中でトリストはもじもじする。
「そんなことか。このあと夕方に予定があるから少しだけだぞ。それか、今日はトリストの家に泊まる日だし、予定の後だったらたっぷり添い寝してやるけど」
トリストをベッドに寝かす。
「じゃあ二回とも添い寝してほしいにゃ」
普段は子供っぽいトリストも、ムードが変われば急に色っぽくなる。
「わかったよ」
そう言うと幸助もベッドに入る。
「トリスト。今日はお疲れ。トリストのおかげで助かったよ」
横になる幸助が肩肘を立てながらトリストの腰を子守唄のリズムよろしくトントンと叩く。
「……にゃ……にゃにゃ……」
それからのことは想像に任せる。




