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異世界初心者  作者: 寿々喜 節句
第一章
32/141

水質調査①

  □◇■◆(幸助)



 幸助は朝早くからリアと二人でリアの家の庭に並んでいた。


 リアの弟は部屋に閉じこもっている。昨日会ったが、いつも通り具合が悪そうだった。ご自愛ください。


 これからリュジーアに汲んできてもらった水を調べる。リアの家に泊まり、そのまま調査をする流れだ。


 木製のバケツや樽にいっぱい汲んで運んできてくれたようだ。気合が入っている。


 クラトゥ村の水を受け取るときのリュジーアは相変わらず元気いっぱいだったので、幸助は少し嫌な気持ちになった。


 最初の実験としてリアの育てている植物に汚染水かけてみると、少し時間が経って花は萎え、やがて枯れた。即効性はないものの、悪影響のある毒か何かで汚染されていることがわかった。


 リアは植物を魔法を使わずに育てているので、わが子のように手をかけていたのだろう。悲しそうな顔をしていた。


 リアには申し訳ないと思ったが、実験ということで許してもらおう。しかしこれでもう植物での実験は終わりでいい。次の実験だ。



「本当にこれを飲むのですか?」


「ああ、人体への影響を調べる必要があるからな」



 次の実験は、実際に人間で試してみるというものだ。


 被験者は幸助。観測者はリア。



「いくら私が蘇生魔法を使えるからといって、目の前で死なれるのは気持ちのいいものではありません」



 幸助自身も不安がないわけではない。しかし実感はないとはいえ一度死んでいる身。ここで死んでも悔いはない。うん、多分。


 それにリアが蘇生の呪文を使えると聞いていたので、まあ大丈夫だろう。うん、多分。



「汚染の具合と魔物の実力がある程度分かるかも知れないからな」


「そうですけれども……。わかりました」

 リアの目つきが変わる。

「勇者様の覚悟を無駄にはできません。それに私にとっても村人の救出の準備になりますから」


「浄水の魔法があればそれも覚えておいてくれ」

 幸助が庭に運ばれている樽を指差す。

「あの水を使って練習してくれ」


「わかりました。しっかり調べて身に付けておきます」



 幸助はコップに汚染された水を汲む。


 これを飲むと死ぬとわかっていて飲まなければいけない。


 リアが蘇生させてくれるとわかってもやはり覚悟がいる。

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