城内見学②
今回のコースのメニューを渡される。メインディッシュを魚料理にするか、肉料理にするか聞かれた。幸助とトリストは肉料理、レスティとリアは魚料理を選択した。
コース内容は食前酒、突き出し、前菜、スープ、メインディッシュ、サラダ、スイーツ、果物、最後にドリンクとなっていた。
ヨーロッパ調の城だと思ったが、まさかフレンチが出てくるとは……。
「こういう料理はね、フレンチって言う日本の料理なのよ」
レスティが食前酒のグラスを飲みながら言う。
「かつて日本から転移してきた勇者様がこの世界に広めた料理よ」
「そうなのですね。おいしすぎて言葉が見当たりません」
「こんにゃ料理食べたことにゃいにゃ……」
リアとトリストは感動しているようだ。
しかしフレンチは日本の料理ではない。この世界の人間にとっては、勇者の持ってくるものは全て日本のものなのだろう。訂正したところで意味もないし、そもそもめんどくさいからそのままにしておこう。
「私は前のパーティにいたとき、ここで食べたことあるけど、勇者様は日本で食べたことあるの?」
「あるよ」
食べ終わった突き出しのお皿を片付ける支給係りに会釈をしながらレスティに答える。
「結婚式に出席したときなんかにね。プライベートではあまり食べないけど」
「勇者様は知っていたのですね」
「日本ってすごいにゃ」
「まあ確かにこの世界に比べたら、日本はかなり発達しているほうだな」
「今までこの世界に転移されてきた多くの勇者様たちが、日本の文明や発明をこの世界で披露して、財を成しているの」
「それが勇者と組むと得られる富ってやつか」
幸助は合点がいった。
「そうです。私たちの知らない色々なことやものを知っているのが勇者様なのです」
「勇者様は何を披露してくれるにゃ?」
「え? いや、特に何もないな」
多くの日本人が転移されているところを考慮すると、簡単なものは出尽くしているだろう。
専門的な仕事していたら、何かしらあったかもしれないが、いかんせんしがない公務員だったので、突出した技術やアイデアはない。学生時代も文系で、本ばかり読んでいた。
「いいわ、ゆっくり考えてくれたら」
レスティは上品にメインディッシュを食べている。
「楽しみにしていますね」
リアはレスティの食べ方をまねして食べている。
「何か日本のものを思い出したら言ってくれにゃ」
トリストの食べ方は……いやはやなんとも野生的だ。
「ああ、テキトーに考えておくよ」
幸助も久しぶりのフレンチなので、メインディッシュを読んで字のごとく噛み締めるように楽しんだ。
その後はサラダを黙々と、スイーツになると女性陣は目の色を変え、果物はしっかりと味わって食べていた。
最後のドリンクに幸助はコーヒーを選んだ。他の三人は何を選んだかはわからなかったが各々美味しそうに飲んでいる。
幸助はここで今後の方針を話しておくことにした。




