事情聴取③
「冒険をするのです。外にはモンスターや魔物がいますので、それらを倒し、世界の平和を守るのです」
「おお、そうですか……。皆さん、お志がお高いようで。ええ、それは結構なことだと思いますよ」
誰が好き好んでそんな物騒なことをするんだろうか。
「それを勇者様がするのよ!」
「えー嫌だな……」
あからさまに嫌な顔をする幸助。
「もしかしてこれがいわゆる、勇者と一緒にいると得られる名声ってやつか?」
「そうです。勇者様とパーティを組むと、実力が認められたと、みなされます。別に勇者様がいないパーティもありますが、勇者様の有無で、パーティへのクエストや討伐の依頼の内容に差があります」
「そんなもんなのかね……」
幸助は今まで、他人の評価を気にせず生きてきた。
「まあ、向上心があるって解釈にしておこう」
「だから選んでほしいのよ。パーティメンバーに」
「じゃあこの四人でやればいいんじゃないか?」
突然閃いたように幸助が言う。
「そうだよ、ちょうどいいじゃん。前線でレスティとトリストが戦って、サポートにリア」
「勇者様はにゃにをするにゃ?」
「応援」
幸助は両手を叩くジェスチャーをする。
「ちょっとふざけないでよ!」
「ごめんごめん。でも、人数に制限ってあるのか?」
三人は何も言わない。
「ないなら四人でいいじゃないか」
「「「え、でも……」」」
困ったような表情の三人。
「問題あるの?」
「いえ、問題はないと思います……。ですが、普通の関係って訳ではないですよね、私達」
一夜を共にしたことを言っているのだろうか。他の二人も俯き加減でもじもじしている。
「そうだにゃ。パーティって言うより、パートナーだにゃ」
「ええ、戦力として選ぶと同時に、女としても選んでほしいわ」
これは大分こじらせてしまったようだ。自分のせいだと反省しよう。
しかしまあ異世界に来たばかりでもう伴侶を決めるのもなぁ……まだ他にも色々やれそうだしなぁ……などと思案する。
「そ、そうだな……。しかし、あの……なんだ? ほら、そうだよ。成り行きじゃん? 成り行き。だからさ、四人で行動しようよ。な! そうだよ、そうそう。ほら、俺転移されたばかりじゃん? あまり分からないからさ、四人で行動して、お互いを知った上で、選ぶってことでどうよ。そうだよそれがいいよ。三人だって、俺のことよく知らないでしょ? 一緒に行動したら、あれ? やっぱこの勇者違うかも? って思うかもしれないじゃないか。それはあり得る。うん。どちらも選ぶ気持ちで共に行動しよう。トライアル雇用みたいなものだ。お互いのため。お互いのために、ここは四人で行動して、知っていこう。それがいい。うん。それしかない!」
幸助はまくし立てた。
「トライアル雇用?」
「言いくるめられている気がします」
「もうにゃに言ってるかわからなかったにゃ」
女性陣三人は幸助の勢いに戸惑っているようだ。




