真実①
□◇■◆(レスティ)
レスティは力なく椅子に座った。
勇者様が自宅まで送ってくれた。一人では帰ってこれなかっただろう。感謝だ。
「ありがとう」
「気にするな」
優しく接してくれる勇者様。
いや、いつも通りなのかもしれない。ちょっとしたことが優しく感じられる。そばにいてくれるだけで安心する。
「レスティ」
勇者様が隣に座り、肩を抱き寄せる。
「俺が一緒にいてやるから、安心しろ」
ありがとうとか、うれしいとか、気持ちを伝えたかったが、言葉が出なかった。
その代わりに涙が出た。
勇者様は肩を強く抱いてくれる。
私は身を任せるだけだった。
勇者様がキスをする。私も目を閉じる。
「ずっと一緒だ。俺を信じてついてきてくれ」
勇者様の態度がいつもと違う。
優しすぎるというか、なんというか、違和感がある。
トリストが殺されて、リアが処刑された跡だ。動転してしまっているのかもしれない。
私までいなくなってしまったら、と考えてしまっているのだろうか。
勇者様が気にかけてくれたおかげで、だいぶ落ち着いてきた。
それにいつもと違う勇者様を見ていると、こちらがしっかりしないと、と思えてくる。
「勇者様、ありがとう。落ち着いてきたわ」
「そうか。それはよかった。もう俺にはレスティしかいない」
「ええ、私にも勇者様しかいないわ」
「お互い信じあって過ごしていこう」
勇者様が腰に手を回し、抱き寄せる。
「ちょっ、ちょっとまって……」
レスティは一度勇者様から離れる。
そういう気分になれない。
今の私は疑心暗鬼だ。不安や疑問がある。
「一緒に過ごすのはいいんだけれど、……少し気になっていることがあるの」
「なんだレスティ? なんでも言ってくれ。わだかまりがあったままではよくないからな」
勇者様は優しい瞳で聞いてくれる。
「う、うん。あの、その、クラトゥ村の討伐依頼のときのことなんだけど……」
「ああ、あのときの話か。何が気になる?」
「あれは王様からの依頼だったわよね。その、えっと、その依頼から、討伐の出発まで九日間もかかったけれど、もっと早く出発していれば助かる命もあったのではないかって思っていたの……。私達のせいで村人が死んでしまったのではないかってずっと悩んでいたの……」
私の中でずっと心に引っかかっていたことを伝えた。
王様からの依頼のあとすぐに出発かと思ったけれど、いろいろと調査を行うと言って、結局謁見から九日間かかったのだ。
私の中でこれはもやもやと罪悪感が残っていた。




