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怨讐の拷問塔  作者: 狂乱のY
1章
9/87

絶望……そして希望9

「あなただけですわ。次を見据えた目をしていたのは。」



 こちらを舐るようにじっとりと見つめてくる。



 正直に言えばかなり怖い。



「な、何が言いたいのでしょうか……?」



 声が震える。



 まるで全てを見透かされているかのような感覚に陥っていた。



「まわりくどいことは言いませんわ。単刀直入に言います。あなた、私の配下になりませんこと?」



「はい…?」



 どういうこと?



 配下?今も既に配下みたいなものじゃないの?



「んー……分かりにくかったかしら?奴隷になって下さい、の方が分かりやすいかしら?」



「っ!」



 息を飲む。



 奴隷……?



 奴隷ってあの奴隷よね……?



 どういうことなの。どうしてそんな……。



「困惑してるのは分かりますわ。でも、この提案であなたに悪いことなんて実はありませんことよ?」



「……お聞かせ願えますか?」



「まず第一に力がなかったからといって切り捨てられない。これはあなたが追放になる可能性はゼロになる。ということですわ。」



「……完全にゼロではありませんよね?」



「んー…そうですわね。私があなたに失望しない限り……というのが正しいかもしれませんわね。」



「分かりやすくて助かります。」



「第二に一緒に召喚された者達から離れることが出来る。これはあなたにとってはかなりのメリットになると思いますわよ?」



 メイビスの顔がぐにゃりと変わる。



 先ほど見たあの冷たい表情だった。



「ど、どうしてそれが私にとって……」

「隠さなくてもよろしくてよ!」



「っ!」



 言葉を被せられてしまう。



 思わず私は後ろへと少しだけ後ずさった。



「少しだけ観察したら分かりますわ。あなた方の瞳、仕草、言動。そこからあなたは孤立している。この程度分かって当然ですわ。」



 手足が震える。



 見透かされているかのような、ではなくまさに見透かされていたのだ。



 この小さき王女に。

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