絶望……そして希望9
「あなただけですわ。次を見据えた目をしていたのは。」
こちらを舐るようにじっとりと見つめてくる。
正直に言えばかなり怖い。
「な、何が言いたいのでしょうか……?」
声が震える。
まるで全てを見透かされているかのような感覚に陥っていた。
「まわりくどいことは言いませんわ。単刀直入に言います。あなた、私の配下になりませんこと?」
「はい…?」
どういうこと?
配下?今も既に配下みたいなものじゃないの?
「んー……分かりにくかったかしら?奴隷になって下さい、の方が分かりやすいかしら?」
「っ!」
息を飲む。
奴隷……?
奴隷ってあの奴隷よね……?
どういうことなの。どうしてそんな……。
「困惑してるのは分かりますわ。でも、この提案であなたに悪いことなんて実はありませんことよ?」
「……お聞かせ願えますか?」
「まず第一に力がなかったからといって切り捨てられない。これはあなたが追放になる可能性はゼロになる。ということですわ。」
「……完全にゼロではありませんよね?」
「んー…そうですわね。私があなたに失望しない限り……というのが正しいかもしれませんわね。」
「分かりやすくて助かります。」
「第二に一緒に召喚された者達から離れることが出来る。これはあなたにとってはかなりのメリットになると思いますわよ?」
メイビスの顔がぐにゃりと変わる。
先ほど見たあの冷たい表情だった。
「ど、どうしてそれが私にとって……」
「隠さなくてもよろしくてよ!」
「っ!」
言葉を被せられてしまう。
思わず私は後ろへと少しだけ後ずさった。
「少しだけ観察したら分かりますわ。あなた方の瞳、仕草、言動。そこからあなたは孤立している。この程度分かって当然ですわ。」
手足が震える。
見透かされているかのような、ではなくまさに見透かされていたのだ。
この小さき王女に。