絶望……そして希望4
世界は暗転し、音も何も聞こえなくなる。
流石にこれはおかしいと私は判断した。
まさか夢?
そんな風に感じてしまうが、すぐに首を振った。
そう、感覚はあるし意識もハッキリしている。
私はいじめが日常茶飯事だったこともあってか考える時間は人よりも多かった。
何のために生きている?だとかそういうネガティブなことから王子様が助けてくれる!だとかメルヘンなことまで様々だったが……。
そして、そういう事があったからこそ私は非常時には誰よりも冷静になれる自信があった。
つまり、どんな状況下でもたとえそれが夢だったとしても自分を見失うことはしないという絶対の意思をもつ。
それが私の妄想の日々の基本的な終着点だったのだ。
本当の非常時にそんな判断が出来るかどうかは不安ではあったが、現状私は取り乱してはいない。
それは私の意思が……いや、私へのいじめがそれほど強かったのだとそういうことなんだろう。
しかし、今はそんなことを考えている余裕はない。
周囲にはもちろん何もないし、誰もいない。
寒気と浮遊感だけは感じることは出来た。
ぶるっと軽く身震いする。
そう、冷静になれたからこそ感じる恐怖。
現状私は何も出来ないのだと否が応でも理解してしまう。
そんな時声が聞こえた。
「…みが………じ?」
「!」
どこからともなく聞こえた声の主を探すべく私は周囲を注意深く観察した。
だがやはり見えない。
「主……?」
……主?
今、声はそう言ったのだろうか?
「誰?あなたは何か知ってるの?」
わけが分からないとはいえ、ようやくきた変化だ。
これを逃してなるものかと私も口を必死に開いた。
そして震えている声しか出ないことに気がついて初めて私自身に温もりが戻ってくるのを感じた。
そこからは一瞬だった。
ブワッ!と視界が開いて目に飛び込んでくるのは高級感あふれる建造物の中であること。
周囲にはクラスメイトがいること。
そして、純白の美しいドレスを着た金髪碧眼の女の子がいること。