絶望……そして希望2
だが……
「おっと!」
「きゃっ!!?」
突然視界がぐるんと回る。
次の瞬間には私は地べたに前のめりに転んでいた。
通り過ぎようとした男子の1人に足を引っ掛けられたのだ。
じんわりと鈍い痛みが走る。
「ぷっ…くくっ……わ、わりぃわりぃ……っ!」
そいつは笑いを堪えながら、気持ちのこもってない謝罪をしていた。
私はよろよろと立ち上がり、痛みを堪えながら自席へと向かう。
もちろん、何か言って変わるわけではないので何にも言わない。
「おいおーいシカトかよー!つれねぇなぁ…き、り、こ……ちゃん!」
「ひっ!」
むにん!
そいつは後ろから煽るような言葉を私にかけつつ、突然胸を鷲掴みにした。
「おー……やっぱ結構デカいのな!」
「っ!!」
私は力強く振り払ってその場にうずくまった。
「逃げられちった!」
どっ!と笑いが起こる。
何が面白いのだろうか。
この男子、名前は結城紗斗。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能、高身長で周囲の人気はかなり高い。
性格は見ての通りやんちゃで、私をいじめる代表的な存在でもある。
髪型はショートでバッチリ決めており、目元はパッチリでいわゆるジャ○ーズ系というやつだ。
私との相性最悪で、入学当初から目をつけられている。
だが、どうしてこんなにもいじめられているのか私には理由が分かっていなかった。
私はパッと立ち上がり足早に自席へと行き、バッ!と勢いよく腰を下ろす。
だが……
「きゃん!!?」
「きゃん!だってよ!!かぁいい!!」
またしても教室中から笑いが起こる。
私は、椅子に座ったはずなのだが、受け止めるはずのその椅子の座る部分はあろうことか私のお尻を受け止めることなく、一緒に床へと落ちたのだった。
よく見ると固定されているはずのネジが外されており、仮止めのような形でのりで固定されているだけの代物だった。
私は痛みと悔しさで涙目になりつつ、そのまま体育座りになり、膝に顔を埋めた。