絶望……そして希望11
「斬子さん。まずは……なんだけど。」
「……あの日本人のお名前に違和感とか」
「あるわけないでしょ?」
「っ!」
また止められた。
「よく考えても見なさい。さっき私は何回も召喚を繰り返していると言いましたわよね?」
「えっ……あー……。」
そういえばそうだった。
であれば今更日本とかそういうことに違和感なんてないわけなのか。
「全く話が進みませんわ。取り敢えずあなたいっぺん死んでみないかしら?」
「へ?」
しんでみない、シンデミナイ、死んで、みない……?
「混乱されてるようですけど、言葉通りの意味でしてよ?」
いつの間に用意したのか分からない紅茶(?)を啜りながら、メイビスは淡々と私に告げる。
「い、いやいやいや!その!あの!それでも意味が分からないというか!」
私はなんとか言葉を続けながら策を考えていた。
少なくとも協力している間は殺されないと思ってたのに、なんで!!?
「まあ物は試しでしてよ?実験の一つ、とでも言ったら良いのかしらね?」
突然何もない空間からすらっと、剣が出てきていた。
それをメイビスは片手で掴んで軽く構えつつ私に近寄る。
紅茶は机に置いて。
「試しって何ですか!?次があるような言い方されてますけど、私にとっては次がないんですけど!?」
その姿にこの人はマジでやる気だとそう思い、私は彼女の歩幅に合わせて後ろへと下がって行く。
冷や汗が半端じゃない。
え、本当にこれで私の人生終わりなの?
「怖がらなくてもよろしくてよ?一瞬で終わりますわ。」
最終的に壁に背中がついて、距離が少しずつ縮まっていく。
「ちょ!待っ」
ズバッと振り下ろされるそれに私が抵抗出来るはずもなく、私の生涯は幕を閉じ……
「……え?」
なかった。
「ふむ……一度死んだ感想はどうかしら?何か感じたこととかないんですの?」
そして目の前にいるメイビスは何も無かったかのような憮然とした態度で私を見ながら問うてきた。
振り下ろされた剣を見れば血が滴っていた。
ということは斬られたのは事実?
だけど、私には傷なんて……
「え?」
ハラリと衣服が地面に落ちる。
一刀両断された自分の服が全部地面に落ちたのだ。