これからの事
正宗明人はざっくり言うと、ブラック企業の会社員。休みをほとんどなく、いつも夜遅くまで働いてる。
仕事以外何をやると言ったら、ただ家に帰って休むだけ。そんな日々が嫌で、何かやると思ったが、趣味を持たない彼は何も思い浮かばなかった。加えて、仕事から疲れたせいで、何かやるにもその為の気力が足りない。
やはり高校の時何かやればよかったとちょっと後悔したが、そんなこと考えても状況が変わらない。
「どうすればいいんですか、先輩?」
今日、仕事帰りに会社の先輩が飲みに誘われ、酔っ払ってる明人はそのことで相談してみた。
「ま、頑張るしかないだろ。うちはこんなだけど、他に比べりゃ給料がいい方なんだぞ。
やめたいなら、止めはしねぇが、よく考えた上に決めた方がいい」
考えるまでもない。会社からやめるなど最初からそんな選択肢がない。明人は得意なものなどない、趣味もない彼はやりたいことなんてない。
今の会社に入ったことがぶっちゃけラッキーだ。彼が言ってた通り、給料がいい。仕事量が多いがその分稼ぐことが出来る。文句どころと言えば帰るのがいつも遅れるとちょっと嫌な上司。
「そりや、おめぇ、朝、いつも寝ぼけた顔してるんじゃねぇか。
ホントにちゃんと寝てんのか?」
「寝てますよ。っていうか、真っ先にベッドに行く」
「そうかい。なら、効率の問題だな。ベッドが固いとか、枕が臭いとか、部屋が寒いとか、そんなので、どんだけ寝ても疲れがとらねーんだよ」
なるほど、っとうなずく明人。確かにどんなに長い睡眠取れても、あんまり効果がないということか。
「俺の場合は安眠香使う。かなりいいもんだぞ、良かったらオススメ店を紹介するか?」
「考えておきます。」
こうやって、明人は先輩の助言により、効率な睡眠方法探ることになった。
◆
「そのあと、丁度叔父さんからもらった安眠香を使って寝てたな」
それは二日前のこと、まさにこの変な夢を見て始めた頃だ。
「でも、あれはあの一回しか使ってない、そのあとアレを使わず普通に寝てたが、この夢を見るまんまだ」
ってことは安眠香は単なるきっかけか、全く関係ないものか、そのどちらか。いつか叔父さん確認しなきゃ。
「結局、これからどうするか」
現在地位は謎の森の中。今日は何キロまで走ってみたが、やはり出口を見つからなかった。いや、最初からいなかったかもしれない。
いつものように起きるのを待つのもありだが、それだと何の解決にならん。そもそもただじっと待つのももう飽きた。
周りにいるのは木だらけ。たまに動物らしきものが発見したが、近づくとすぐ逃げてしまう。
「せめて小屋とかあったらくつろげるな~」
小屋、小屋ね......
…
……
………
「―――!」
そうだ、無いなら作ればいい!