プロローグ
静かな森の中に一人の黒髪少女は走っていた。何もかに追いかけられたわけではないのに、少女は走り続ける。走り始めてから約20分近くなるのに顔は無表情で息も切らしていない。
見た目はただの年若い少女。戦闘経験どころかろくに鍛錬をしなさそうな細い体と綺麗な白い肌。でも少女のスピードは間違いなく人間離れしてる。
彼女の異変はそれだけではない。少女の美貌はそのどこらの女と違い、間違いなく高級ランクのお姫様のもの。ただ立てるだけで男ども視線は少女に向かうだろう。そして、少女の無表情の顔は不思議な雰囲気を放つ。加えて、目を見るだけで精神を吸い取るかと思える紺碧の瞳。でもなぜか、その無表情の顔の裏に『寂しい』という感情が感じ取るだろう?
そして少女の服装はなぜか…セーラー服。白いセーラー服にミニスカート。日本では珍しくない服装だけど『ここ』ではそうではないかもしれない。
「やはり身体能力は上がってる…」
と、鈴のような声で少女はつぶやく。
少女はこの森に来たのはもう何日っ立った。それってどう意味か自分でも分からない。少女は道を迷ったとか『ここ』に行きたいとかではなく、気づいたときにもう『ここ』にいた。そう、どこから『ここ』にたどり着いたではなく、気づいたら『ここ』にいた。そして、その異変の原因は何なのか、そろそろ気づいたんだろう。
「明晰夢…だな、これ」
簡単に説明すると明晰夢とは夢の中に『これは夢だ!』っとわかる夢。ぶっちゃけ、少女はそんなに詳しいでわない。たまにゲームでそんな話聞いたことがあるぐらいだ。
で、『ここ』と明晰夢はどんな関係が?
皆さんはもう分かってると思います。
そう、ここは…
『少女にとって夢の世界』だ。