ワールドエンド、アンドロイド(2)
世界の終わりで、なろうを検索したら、沢山の作品が出てきて笑いました。
世界、終わりすぎでしょう。
次の日。
「375号」
「はい」
「中々美味いぞ。お前も食べるか?」
私は、主様に料理を作りました。
真空で冷凍保存されていた肉と、主様自らが栽培なされた野菜を使っての料理です。
料理のやり方、技術などは、私の頭の中に入っていたようで、失敗することなく、出来ました。
レシピ通り、手順通りに作ったものなのですから、その通りの味がするのは当然の筈なのですが、主様は何故か私の料理をとても嬉しそうに食べていました。
「結構です。私にはものを食べる機能は付いていません。味覚もありませんので」
「冗談だよ」
「私は冗談を解しません」
「……頑張れば解せないか?」
「無理です。プログラミングされておりませんので。頑張れと言われても無理なものは無理です」
「……あー、やっぱり、答えに血が通ってねえな」
主様は、またも苦笑を浮かべながら、私の料理を口に運びます。
含んで、咀嚼し、喉の奥に通すと、なぜだか嬉しそうな笑みを浮かべます。
「あー、やっぱいいな。他人が作った料理は」
「私はアンドロイドですが」
「……いいんだよ、細かいことは」
「人とアンドロイドは、動物と物質という時点で、かなり違うと思われますが」
「いいんだって」
そう言うと、主様はまたも私の料理を食べて、嬉しそうに笑います。
「主様」
「なんだ?」
「主様が作れと言うならば、いくらでも料理は作ります」
「おう、そうしてくれると助かる」
「ですが、サプリメントなども保存されているのを、先程確認しました。ならば、そちらの方が良いのでは? しっかりと栄養バランスが取れ、食べる時間も、大幅に短縮されます。そうしていただければ、主様も私も、他の事に時間が割けます」
「いいんだよ。飯くらいゆっくり食べさせてくれ」
「ですが、料理など、どれだけ時間や手間を掛け作っても、いつかは排泄されるものでしょう? 胃の中に入れてしまえば代わりありませんのに」
「おいやめろアホ。いいか、二度と食事中に排泄の話はするな」
「わかりました」
事実を述べただけですが、何故か主様は怒りました。
眉を斜めにし、口が笑顔の時とは反対に曲がっていたので、そう判断しました。
上から入れた物が下から出ていく、当然の事を指摘しただけですのに、と思いながら、私は二度と食事中に排泄の話はしない、と覚えました。
ただ、怒った数分後に、
「全く、とんだアンドロイドが出来ちまったな」
と、主様は笑いました。
その笑みの理由はわかりませんでした。