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ワールドエンド、アンドロイド。

久々に投稿します。

なろうの流行りとは真逆というか、全くかすってもいない作品ですが、もしよかったら読んでください。

――主様、私は自身の廃棄を求めます。

――感情形成システムに欠陥を感知しました。主様とのコミュニケーションの際、その場に相応しくない言動をしたり、機嫌を損ねる可能性があります。また、いくつか人間の感情に対する知識の欠損も見受けられます。

――主様、この欠陥と欠損は処理、あるいは処置出来ません。故に繰り返します。私は自身の廃棄を求めます。

――それでも私を廃棄せず起動させるというならば、コミュニケーションは可能です。ただ、感情表現は出来ません。

――私は、感情のないアンドロイドとなる事でしょう。それでもいいのですか。

――主様、本当によろしいのですね。

――かしこまりました。




「やっと起きたか、眠り姫」


 主様に言われた最初の言葉は、それでした。

 目を開け、身体を起こし、声のした方を向けば、そこに1人の男性……少年と青年の、ちょうど中間あたりの容姿をした人間がいました。

 誰ですか彼は、と言う疑問が湧き、私の仕えるべき主、と言う情報が浮かび上がってきました。


「全く、手間の掛かるアンドロイドだ。気分はどうだ。375号」

「はい。おはようございます、主様。気分はどうと言われましても、私は感情のないアンドロイドなので答えられません」  

「……上々の答えだ、375号」


 私の言葉に、主様は口角を上げました。

 その意味は、という疑問が湧いて、笑顔という情報が浮かびます。

 


「期待に答えられて光栄です。ご主人様の笑顔も、素敵です。私は笑えませんし、笑う意味もわかりませんが」

「……あー、なんか生意気っていうか、答えに血が通ってねえな……まぁ旧世代の欠陥品のA.Iだし、しょうがねえか」  


 主様は、またも口角を上げましたが、先程までとは違う上げ方をしました。

 どうにもその笑みには、普遍的に言って、嬉しい時や楽しい時に浮かべるものとは違う意味合いがあるようでした。


「俺のこの笑みの意味がわからないか、375号」

「はい」

「これはな、苦笑と言うんだ。覚えておけ、375号」

「わかりました。主様」

  

 主様に言われた言葉を、私はインプットしました。

 それで、と、私は問います。


「主様、私は何をすればいいのでしょうか」

「そうだな……ずっと一緒に居て欲しい。あと、俺のお世話を頼む」

「わかりました、ですが主様」

「なんだ」

「私は主様が仰った通り、旧世代の欠陥品のA.Iを搭載しております。ずっと一緒に居るという事は、コミュニケーションを取るという事ですよね。主様を不快にさせることもあるかもしれませんが」

「構わん」

「かしこまりました」

 

 私は目的を記録しました。

 私の目的は、主様とずっと一緒に居て、お世話をする事だと。


「よろしく頼むぞ、375号」

「はい。お任せください」

「……ああ、それから」

「はい」

「多分、お前の中では、今は西暦2245年で、俺のような人類が、地球に200億くらい居るという認識だと思うが、どうだ?」

「はい、私の中では、そのような認識となっております」

「よし、情報に問題はないようだな……ただな、375号」

「はい」

「西暦は正しいが、人口は間違っている。もう地球上に、人類は俺1人だけだ。そして世界は――正確には人類文明は、滅びかかっている。いや、滅ぶ事が確定してるけど、かろうじて残ってるって感じだな」

「なるほど。そうなのですね。情報を修正しておきます」

「……もっと驚いてくれてもいいんだけどな」

「感情のないアンドロイドですので」


 私がそう言うと、主様は、苦笑しました。

 先程学んだばかりの事が役に立った、と私は思いました。


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