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ショッピングモールの妖精 その1

警備員さんに連れられ、応接間に通された我が家族 プラス イデア。


警備員さんは、息子に「助けて」と言われ来たものの、着いたときには騒動が治まっていたので、いまいち事情がわからないからと、念のため情況を聞いてくれた。


カミサンは、最初、イデアと一緒に下着売場に行き、数点品物を購入したあと、洋服を見ようとしてお気に入りのショップと、イデアの要望に近いお店を探そうとして、結構歩き回ったらしい。


その途中で、とあるお店の店員さんから、モデルとして店の洋服を着て写真を撮らせてくれないか?と頼まれたところ、他のお店の店員も私も私も!と集まり、イデアが怖がって動けなくなってしまった為、必死に断ってたとの事。


その後来た俺は、事情はわからなかったが、カミサンから助けてと言われ、止めに入ろうとしたのだが、頭に血が上ってしまい、失礼な事を言ってしまった。と改めて謝罪し、来てくださった警備員の方達に「ありがとうございました」と頭を下げた。


いろいろ大変でしたね。と温かい言葉を頂いたものの、何かあったようで、なかなか解放されず、1時間ほど経ち、緊張よりもお腹が空いたと言う気持ちが勝って来た時、スーツ姿の男女2人が現れた。


と思ったら、


「「この度は誠に申し訳ありませんでした。」」


って、いきなり土下座せんばかりに謝られてこちらが驚いてしまい、しばらく固まってしまったんだ・・・


ようやく、先に緊張が解けたカミサンが「こちらも、夫が施設内で大声をあげてしまい申し訳ありません」と謝罪すると、「事情を聞く限り旦那様の行為は仕方がない事と思いますし、当モールが一方的に悪い」と話してくれたので、ほっとしてカミサンを見ると同じように思ってた見たい。笑顔が見えたよ。


あと気になってた息子とイデアだが、長時間の待機に飽き飽きした息子が、イデアに携帯ゲーム機を渡して一緒に遊んでいたよ。


思わず、息子(*^ー゜)b グッジョブ!!とジェスチャーすると、息子も返してくれた。


こやつ、意外と空気読めるようになったなぁ・・・今度なんか買ってやるか。


そんな事をぼんやり考えてたら、スーツのお二人がこれまた緊張したまま話出したんだ。


「こんな事の後に大変言いずらいのですが、お願いがあります!」


「「お嬢様に、我がモールのCMに出て頂けないでしょうか?」」


へっ?


スーツ姿のお二人はそう言うと、名刺を差し出し事情を説明していく。


お二人は企画部と広報の責任者の方で、以前からショッピングモールのイメージアップの為の企画をしていたが、イメージに合う出演者が見つからず、企画倒れになりかけてたところ、たまたま今回の騒動でイデアを見つけハッとしたらしい。


銀髪長身の美人さんだが、まだ少しあどけなさが残る印象を受け、息子さんと遊んでいる姿を見ると、笑顔がとても可愛らしく、無言で立っている時の印象と真逆なのがまた良いとの事。


二人の熱い視線を感じたのか?イデアが「わ、わたし何か悪い事しましたか?」と緊張しながら言うので、「みんながイデアの事かわいいって言ってたんだよ」と話す。


すると、急に顔を赤くして「わたし、そんなこと言われたのはじめてです。嬉しいです。」と、尻尾をふりふり!耳をピョコピョコさせて喜んで


って、イデア!変身解けてるよ!やべっ!!


あ、あの・・・これはですね・・・う~んと・・・えっと・・・カミサンどうしよう・・・えっ?どうにもならない?・・・えっと・・・広報さん、企画部さん・・・実はですね・・・ん、どうしました?お二人とも?


「「すごい!すごくかわいい!!しかもイメージぴったり!」」


「妖精がモールにやって来た、なんてコンセプトで企画作って、馬鹿にされてたけど、あきらめないで良かった!」

「二人してファンタジー馬鹿って言われて落ち込んでたけど、本当に妖精さんが来てくれた!神様ありがとう!!!!!」


・・・なんか、二人してすごく盛り上がってるよ・・・


ま、まぁ、引かれるよりずっとましかな?なんて思いながら、見ていると、二人して土下座して「「お願いします!もうこれは運命と思いました。このチャンスは二度と起こらないと思うので、是非私たちに力を貸して下さい!!!」」と涙ながらに訴えられ、さすがに駄目とは言えず、イデアに来てもらう。


今更ながら耳を手で隠しながら、俺とカミサンの間にちょこんと座り、こちらを見て来たのでカミサンと二人で事情を話すと、自分が悪い事をしている訳ではないことがわかってほっとし、


「わたしは妖精さんではありません。役者さんとかモデルさんがなんなのかもわかりません。私なんかが何ができるかわからないけど・・・」


と、ちらっと俺とカミサンを見て、


「マサさんユキさん、一生懸命な人好きだし、そう言う人応援したいって言ってました。私も同じ気持ちになれたのが嬉しいので、わたしで良かったらやります!」


そう言うと、広報さん企画部さんそろって「ありがとうありがとう」言いながらイデアの手を握って涙流してるの。


イデア、怖がってるけど我慢してるよ、偉いなぁ。


ようやく落ち着いた広報さん企画部さんでしたが、さっそくなんですが、撮影に入らせて貰ってもよろしいでしょうか?なんて言って来てびっくり‼


えっ?撮影ってそんなにすぐに出来るもんなの?って思ってると、丁度、駄目になってしまった「妖精が来た」と言う企画ではない、普通の店舗紹介の撮影をしようとしていたところだと言う。


「演技は求めていません。イデアさんが私たちのモールを楽しんでくれるのを撮影させてもらえるだけで良いので、是非お願いいたします!」


ま、まぁ~イデアも良いと言ってくれてるし、なるべくイデアの意思を尊重してくれると言うことなんで、契約うんぬんは置いといて、やってみようか?という流れになったところで、


くぅ~


と可愛らしい音。


真っ赤になってお腹を押さえたイデアを見て、みんな笑顔になったところで、「まずはご飯からですね!美味しいところいっぱいありますけど、これから約束してるところがあるので、そこいきましょう!」と企画部さん。


あまりに都合が良すぎる気もするけど、考えても仕方ないし、イデアが楽しんでくれればそれでいっか!と、家族で思いながら、年甲斐もなくわくわくする俺達。


俺達がテレビに出るわけでもないのに、なんか可笑しいよね?

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