表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/80

大変ですね

野営地での暖かい食べ物にほっと一息つけた俺ら被害者一同は、来てくれたカミサン達に手を振っている。


「ありがとう!本当に美味しかったよ!」


「こんなところで温かいモノ食べれて本当に嬉しかった!」


なんて言葉を聞きながら、二つの影が瞬時に消えていくのを見て、ほっと一安心した俺。


そして残ったのは、俺、イデア、マネックス。


マネックスの様子を見ていたカミサンが「残りたいんでしょ?大丈夫だよ」と言ってくれたのを聞いて残った形なんだけど、正直、俺もとっても助かってるのよ。


元はゲームの世界のキャラクターだったマネックスなんだけど、ゲームの設定が生きているのか?剣術も出来るし魔法もこなせ、尚且つ頭の回転も良く冷静な判断が出来るオールマイティな彼女。


可愛いものの前ではメロメロになってしまうんだけど、それでも脳みそが筋肉気味な俺と、何かと経験が足らないイデアの穴をすっぽり納めてくれる彼女の存在は本当に大きいんだよね。


で、早速そんな存在の大きさを感じたのは、今回の状況の整理が出来た事。

俺とマネックス、そしてイデアは豚汁の配膳をしながら、いろいろな人に話を聞いてたんだけど、その際俺らにも戦闘の状況だったりを聞いてくれて、その状況を彼女なりにまとめてくれたんだ。


「たぶんこんな状況だったんじゃないかな?って思うんですけど」と言う彼女の話を聞くと。


1:ゴブリン退治という依頼を受けた冒険者が、退治しながらゴブリンの集落まで深追いした。

2:気が付いた時にはゴブリンやその上位種に囲まれ、犠牲を出しながらも逃げる。

3:追いかけられながら逃げていると、荷馬車の道に出たため、偶然通りがかった荷馬車が犠牲になる。

4:犠牲になった荷馬車の後方にいた俺らが退治して今の状況に落ち着く。


あくまで想像なんですけどね、と念を押す彼女の話を聞き、言い争いをしていた野郎共が言っていたことと一致することが多いなと思ってきたので、おそらく彼女の話していることは大筋であってるんだろうな。


ただ、死者はいないらしいけど、馬車に乗ってた人の保証とかどうなるんだろうね。

これが日本だったら入っている保険から保証されるケースがほとんどだと思うけど、この世界、そんな保険会社なんてあるのかな?もしかしたら組合見たいなものがあってそこらへんで何かしてくれればいいんだけどね、なんて言うと「お父さんとイデアも被害者なんだけどね」とマネックス。


「あ・・・そういえばそうなのかな?」とイデアと顔を合わせる俺にあきれ顔なマネックスを見て、しっかり者のお姉さんが来てくれて俺は本当に嬉しいよ、ありがとうと言うと、「お世辞を言っても何も出ませんよー」なんて照れてるよ。


一応、万が一そういった保証が出なかった時の事を三人で話してたんだけど。

1:俺らが倒したゴブリン?達の死骸から集めたいろいろなモノを換金し、保証に充てる。

2:土に埋もれてるゴブリン?達を掘り起こして、冒険者ギルドに売りつけ保証に充てる。

3:集落を散策し、金目のものがないか調べ、保証に充てる。

4:冒険者の責任を問い、損害賠償請求をし、保証に充てる。


ここらへんが妥当かな?なんてことを話す。


考えてみたら、そもそもゴブリンがどんな存在なのか?よくわかってないなぁ~なんて言うと、豚汁食べる前まで一緒に見周りをしていた護衛さんが近くにいたので、話を聞いてみる。


ゴブリンは知能が弱く、本来群れを作ることもままならない存在だが、強い種の元集落を作ることがあり、今回はそのようなケースにあたったのではないか?今回このような大勢のモンスターになっているという事は、少なくともとても強い種の元で集落が作られていた可能性が高いという事。


逆を言うと、それだけの数を倒しているから、集落には戦えないゴブリンしかいない状態にあるため、ほっといても他の種に滅ぼされる可能性が高いのではないか?という事だった。


ゴブリンがお金になるか?という質問をしたところ、

1:ゴブリンが食用になったり、素材として使われることはない。

2:冒険者ギルドで討伐したという証拠を持って行くとお金が支払われる。

3:ゴブリンの上位種であれば、素材にあたるものを持ってる可能性もあるのではないか?

という事だったので、2の討伐したという証拠うんぬんでお金をGETし、3も可能性があったらいいなという話に落ち着いたよ。


まぁ~明日あたりには冒険者ギルドの面々がくるんだろうから、その時に土をほじくり返してゴブリンの数を数えてもらえばいっか!なんて言ってると、「私、何処に埋めたかわからない」とイデア。


あ!俺もだ!戦闘?いや乱闘でそれどころじゃなかったよ!なんて話をすると、「大丈夫です。若干魔力を感じられますし、比較的新しくいじられた土の場所を探ればわかりますよ。それに確実にわかるところがひとつだけあるんですけどね・・・」ととある場所を見ている。


あ、そういえばやたらでっかくて、赤黒いのがいたなぁ~埋めるのすごい大変だったんだよね~なんて話している俺らを見て、心底呆れているマネックスがいるんですよ。


倒したモンスターが何なのかわからず、緑のモンスターとか大きいモンスター、ゴブリン?なんて言ってるけど、モンスターの種類がわからなかったのがいけなかったのかな?それとも、マネックスに教えてもらった「ゴブリン埋め埋め作戦」が失敗してたのかな?


こりゃ、もう少し勉強しないといけないなぁ~と反省する俺ですよ。


そんな俺から離れて、マネックスと護衛の人が何か話してるんだけど、あれ?なんだろう?




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「あの二人に、倒したモンスターの種類なんて言ってないですよね?」


「ええ・・・ゴブリンゴブリンって言ってたので、不思議に思ってたのですが、なんとなく・・・」


「魔力を見ると、とてもゴブリンとは思えない強い種の力を感じますので、おそらくとんでもないものまでいたと思うんですが、どんな感じでしたか?」


「はい・・・オークが数十体交じっていまして、中には魔法を使うものもいたようですが、あの方々は『大きいと穴深く掘らないからめんどくさい』とか、魔法を唱えてるのを見て『うるさい!これでも食ってろ!』って口めがけて石みたいな何かを投げて黙らせたり・・・もう滅茶苦茶でしたよ」


「すいません、あの二人、行き当たりばったりで、あまり深く考えない性格なんで・・・」


「いえ、助けて頂いて本当に感謝しかありませんが、もう滅茶苦茶すぎてこちらも思わず笑ってしまいましたので、何も言えませんよ」


「で、お願いなんですが、このままゴブリン倒したって事にしておいていただけませんか?知らない間に強いモンスター倒してたって聞いたらきっとパニック起こすと思うので・・・」


「あ、そうですか・・・そ、そうですよね・・・貴女も大変ですね・・・」


「いえいえ、お気遣いありがとうございます」


・・・と、こんな話がされていたことを二人は知らない・・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ