な、なんでこれが?? その1
最近になってやっと、日本と異世界との往復に慣れてきた俺です。
最初のうちは移動するたびに気絶してたんだけど、気をしっかり保つために、自分がやりたいこととか、家族の事を思いながら移動するようにしていたら、すっかり意識を保ったまま移動できるようになったよ。
そのおかげなのか?移動後にやりたいことをするために、すぐ行動出来るようになったので、良い癖が身についたと思っているよ。
さて、そろそろケル村以外の場所を旅して、この世界を満喫しつつ、何かケル村や周辺の村々に有益になるような情報を手にしたいなぁ~って思ってるんだけど、ケル村での生活が楽しくて楽しくて、ついついここにいちゃうんだよね。
最近はお金の匂いを嗅ぎつけてくれたのか?地方の商人の皆様がたまにこちらに足を運んでくれるようになったんで、一部の土地を開放して自由に商売が出来るようにしたらどうか?なんて話をしたら、場所代をとって試験営業したみたいだね。
そこを巡回する人手も必要になって、最近では、この前下水掃除をしていた長剣の女剣士アゲートさんがそこらへんを巡回するようになったみたい。
元々どこかの豪商の護衛をしていたみたいで、苦手苦手とは言ってるけど、読み書き計算も出来るし、本人は勘だと言ってるけど、不正な事をしているようなそぶりを見つける事も早いみたいだから、事務官の方が本当に助かってるって言ってるのよ。
今日はそんな市場を見て、今後の商売の参考にしたいなと思ったんで来てみたんだけど、とある商人が並べていた商品を見てさ、俺、慌ててカミサン呼んだんよ!
そこにあったのは、正直もう見たくないと思ってた「有料くじ」
しかも、4点もある・・・
とりあえずそれを販売していた商人さんから言い値で買って、それは何処から手に入れたんですか?と話を聞くと、森に落ちていたんだけど、開けようと思っても開かないし、踏んでも叩いても壊れないから何かの加護でもついているマジックアイテムなのかもしれないと思って今日はじめて売ってみたとの事。
良かった、これを見つけたのが俺で本当に良かったとほっとしていたんだけど、とりあえず緊急事態という事で、カミサンとクリーナさんに連絡してきてもらったんだ。
本当だったら日本にしかない(と神様から手紙には書いてあった)くじ賞品がなんでこんなところで発見されてるのか?
くじとは全く関係ない神様のクリーナさんには「申し訳ないけど、このくじ賞品の事を日本の神様に伝えて頂けないか?」とお願いし、くじ賞品を渡すと、そのくじを見てクリーナさんも驚いているよ。
彼女も、このくじの事で俺らが大変な目にあってるのを知ってるので、「わかりました、すぐに手配します」と言って移動してくれたんだ。本当は神様にこんなお使いみたいな事頼みたくないけど、緊急を要するものなんで本当にすいません。
一応、見本として2つ持ってるんだけど、まずは確認したいことがあったんで、近くにいたアゲートさんに、くじ賞品のパッケージを開けてもらおうとすると、結構力を入れても開かない。
剣で切ってみようか?と言ってくれたので、お願いしたんだけど、切ろうとした刃がパッケージに届かない。「うん、こりゃどうやってもアタシには開かないね」ときっぱり言ってくれたので、ありがとうございますとお礼を言って市場で売ってた飲み物を一杯おごってご機嫌を取っておく。
最初は好戦的な女性だと思ってたんだけど、それを除けばとても実力のある剣士さんで、誰にでも変わりなく接することが出来る良い人なんで、ここまで付き合ってもらって悪いなぁって思ってね。
一応アゲートさんには、市場でこのようなパッケージにの商品を見たら、その場で確保して欲しいんだけど・・・もちろんお礼も付けますよ、一つに付きビール1ケースでどうです?なんて話をすると「ハイ喜んで!」なんて、どっかの居酒屋の店員さんのような勢い良い挨拶をしてくれたので、安心してお任せしたよ。
お金が足りなかったら、村長さんに言ってよーなんて話をしながら、急いで村長さんのところに行き、緊急でお願いしたいことがあるのですが、と受付の方に言うと、村長さんが来てくれたのでその対応に感謝。
村長と事務官さん達数人に来ていただき、くじ賞品を見てもらい、開けられるかの確認などをしたあとに、このくじ賞品にはいろいろなモノが封印されていて、それがきっかけで私たちはこちらに来ることになったんだけど、場合によっては大変なことが起こる可能性もあるという事を話す。
異世界人が持っていた場合は別だけど、出来る事であれば、このようなパッケージにの箱は私の方ですべて回収したいし、内容次第ではさらにいろいろな事をしないといけないので、協力していただけないか?と言うと、「村主さんに協力しないわけないじゃないですか」と言ってくださったので、頭を下げてお礼を言う俺。
今までいろいろな事で引っ張りまわしてしまったのに本当に申し訳ないという俺に対して、今の私たちがいるのは貴方のおかげですよ!だからお互い様でしょ?って言ってくれる皆さんに感謝しながら、今後の対応をお願いしたんだ。
とりあえず、アゲートさんから賞品を購入したいという話があったらお金を出してほしいというお願いをし、あとで日本円で1000万円もってくると約束。
あと、何か回収する方法はないか?とアイディアを求めると、「冒険者ギルドに相談してみてはどうか?」という事だったので、まずは冒険者ギルドに行くことを決める俺がいましたよ。
ケル村から一番近くにあるギルドは、馬車で2日の場所にある街だそうで、かなり遠くにあるんだなぁ~なんて思ってたら、それだけここがド田舎なんですよーなんて皆さんがいうんだけど、それだけド田舎だからいろいろ出来て良かったとも言ってくれてるよ。
最後に、ここまで付き合ってくれたカミサンに意見を求めたところ・・・
「行くんでしょ?」
の一言。
うん・・・正直ほっとけないんだ、これ。
くじ賞品でいろいろ苦労したのは俺だけじゃないけど、これほっといたら、俺ら見たいに苦労する人が絶対に増えるし、そんな人を増やしたくないって思ってるから、自由に動ける俺がなんとかしたいな、って思ったんだよね。
それにはみんなの協力が必要になるんだけど、一番必要としてるのはカミサンなんで、改めて、俺ほっとけないからどうにかしたい!協力してもらえないか?と言うと「わかってるよ、大丈夫!私も一緒にやってあげるよ!」と言ってくれたのでほっとする俺がいました。
このまま村が発展するのを、脇から農業しながら見ているだけかな?って思ってたんだけど、そう簡単に行かないらしいね、この異世界生活。
42ちゃい、異世界人のおっさんでも、俺がんばるよ。




