二人の娘の事 その1
温泉に入ってすっきりしたら、今度はマネックスとイデアに移転の魔法を使ってもらって日本へ。
日本でも正式に二人を娘として受け入れたいと思って、あれから市役所や家庭裁判所に行って手続きをしてたんだよね。
アルテミスのケル村の場合は、身元を保証できる人がいれば、戸籍自体はどうにでもなるような状態だったので、村長に保証人になってもらって、村主家5人を村に登録してもらって終わりだったんだけど、日本じゃそう簡単にはいかないだろうなと思ってたんで、結構早めから動いてたんだよね。
養子縁組に関しては、家庭裁判所に養子縁組許可申立というのを出すって事は、インターネットで見てわかってたんだけど、俺が心配していた”身元不明者を受け入れて”という部分がインターネットではどうしてもわからなかったんで、駄目元で市役所さんに聞いてみたところ、何種類かの書類と、本人たちとの面談でどうにかなったっぽい。
会社を辞めて、有給休暇消化中だったのがマイナスに働いていた気もするんだけど、辞めた理由が、一部彼女たちに関係する事だったのと、事業を起こすことを考えて資金がこれだけありますと、通帳を見せてようやく納得していただけた時は正直かなりほっとしたよ。
担当者さんが「ここまで信頼関係があるのでしたら問題ないでしょう。新しい家族関係になりますが、どうか皆さん仲良く笑顔で暮らしてくださいね」と言ってくれたのでとても嬉しくて、娘二人と笑顔で戸籍謄本を見てにこにこしてしちゃったよ。
保険証も作れたので、二人が具合を悪くしてしまった時など、お医者さんにかかれるのはやっぱり大きいと思ったよ。でも、ここまで順調に出来たのはキット神様達が便宜を図ってくれたのかもしれないから、本当に感謝感謝です。
で、お祝いに何か出来ないか?って思ってたら、二人して「「美味しいものが食べたい!、ついでにお洋服も見たい!」」なんて言ってきたもんだから、父親と娘二人で軽くデートしようよ思ったんだ。
俺はちょこちょこ日本には帰ってきてるんだけど、イデアとマネックスは主にケル村で生活をしているから、なかなか日本には来れないという事もあってか?日本で買い物をしたいなという思いはどこかで持っていたらしく、自分たちのお小遣いを持ってキャッキャッ言ってるよ。
で、買い物する場所だったんだけど。
最初ね、どうせなら109とか若い人が集まる場所にでも行ってみる?なんて言ってみたんだけど、「見やすい場所が良いし、どうせ行くならお世話になった人のところに行きたいな」というイデアの発言から、これで三回目か?巨大ショッピングモールでの買い物になっちゃったよ。
三人で車に乗って行ってみたんだけど、二人ともまだ車に乗り慣れてないし、俺も娘とはいえ若い子二人を後ろに乗せるのにちょっと緊張しちゃって、あまり言葉が出なかったから、ちょっと嫌だなぁ・・・と思って、途中で降りて海を見に行ったんだ。
本当は綺麗な海を見せてあげたかったんだけど、今の俺にはこれが精いっぱいだよ、なんて事を言いながら、二人を砂浜へ連れて行くと、二人ともわあぁぁぁぁ・・・なんて言いながら海を見てるよ。
あ、そっか、そういえば二人とも間近で海を見た事なかったよな、なんて今更ながら思ったら、ちょっと肌寒くなってきたので、車に引き返す。
出会ったのが夏だったから、まだ薄着でも良かったけど、今は冬だから風邪でも引いたら大変と言うと、「私たちは大丈夫!お父さんは風邪ひかないでね」なんて言ってくれたので、ちょっと涙腺が緩んでしまう俺がいましたよ。ホント俺には勿体ない娘だよね。
で、そこからショッピングモールに向かい、買い物をしたんだけど、出来たら最初にCMでお世話になった企画部さん広報さんに挨拶したいなと、二人にお願いしてついてきてもらうと、相変わらずバタバタしながら社内を駆け巡ってるらしいので、ちょっと待たせてもらうと、すれ違う方々がイデアの顔を見て驚いてるのよ!
あ、変身の魔法使ってもらうの忘れてた!なんて思ってたら、広報さん企画部さんが二人してきてくれたので、お菓子の差し入れと、今まで挨拶できなかったお詫びをし、イデアとマネックスの二人を養子縁組した話をすると、よかったですね!って喜んでくれたよ。
イデアの今の表情を見て、幸せそうな雰囲気を感じてもらっているのであれば、俺も父親として嬉しいなって思ってたら、企画部さんが「出来たらまたCMの話をさせてもらいたいんですけどね・・・」なんて苦笑いしながら言ってきたので、改めてお断りした俺。
ただ、それは広報さん企画部さんと以前話をしてたんで、二人ともそうですよね~なんて言いながら、近況なんかを聞いてくるんだけど、まずはイデアとマネックスの買い物から~なんて思ってたら「お父さん、ちょっと私たち二人だけで言ってくるよ、女性しか入れないところもあるからね」なんて言ってくれたので、待ち合わせ場所と時間を決めて分かれることにしたよ。
企画部さんと広報さんには、今異世界のとある村でいろいろな事をやっていて、この年になってもワクワクしながら毎日を過ごしてるよ!なんて話をしたら、目をキラキラさせながら聞いてくれたので、こっちも話がいがあるな!って思いながらベラベラしゃべってたら、あっという間に待ち合わせの時間近くになってしまったんで、二人に断ってまた来ますよーなんて言うと、「あ、約束してたDVD渡しますよ」との事。
ちょっと急いでたんで、中身は見なかったんだけど、いろいろ入ってるようだったので、改めてお礼を言いながら待ち合わせ場所にダッシュ!
あれっ?
なんか待ち合わせ場所に人だかりが・・・
前にも、こんな光景見た事あったような気がするんだけど・・・
ま、まさかね・・・・
身元不明者を養子縁組する、というところですが、正直自分の想像で書いています。
養子縁組を行う事は調べる事が出来ましたが、身元不明者に日本国籍をとってもらう方法はわかなかったので、もし間違っていたら申し訳ありません。
この物語では神様が都合よく話を持って行ってくれたという事で、ご理解いただけると嬉しいです。




