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悩めるお年頃・・・ その2

仕事を辞める という考えを持ちながらの異世界生活は、どうもあまり気持ちの良いものではなく、孤児院の子供達にも心配されてしまったよ。


心配かけっぱなしもいけないと思ってさ、


大人もいろいろ悩むこともあるし、悲しかったり辛かったりという事も沢山あるんだよ、だけどおっちゃん、それを何度も乗り越えてきたから大丈夫!みんなも頑張れー


なんて言ったら、年長の子達数人が俺の前に来て「僕(私)達に何が出来ますか?」なんて言ってくれたもんだから、つい嬉しくなって抱きしめてしまったよ。


訳あって、集まってしまった子供達の面倒を見ることになったけど、こんなに良い子達なら進んで面倒見たいって思うよ。


一応、子供達の今後も考えていて、シスターには、頃合いを見計らって、子供達に読み書きと足す引くかける割るを教えてあげて欲しいという話をしていたんだけど、ちょっと試してみたくなったので、前に来てくれた子供達に、簡単な計算問題を出してみたんだ。


15+30=

65-32=

4×6=

6÷2=


商人の息子だったと言う子は暗算で解いてたんだけど、それ以外の子は足す引くはわかっているような気がするけど、掛け算割り算はよくわからないという感じだね。


まぁ~この世界、何か計算を要する職業についてないと、そこらへんの教育がされにくい環境だったのかな?


まぁ~今後の参考になると思ったんで、年長の子達と一緒にシスターのところに行き、読み書き計算の事について、子供達のレベルはこれくらいだったよーと話すと、何か良いものがあるといいのですがと言ってきたので、今度異世界の子供用テキスト持ってきますよーと話をし、席を立つ。


計算が出来なかった子が何気にしょんぼりしてたんで、「出来ないことは恥でもなんでもない、これから知ろうという気持ちが大事なんだよ!今度おっちゃんが帰って来たら一緒にやろうね!」と励ましながら頭をなでると、何とか笑顔になってくれたので、この笑顔を見ながら俺も頑張ろうと思った次第です。


で、地球に帰らないといけないので、ここで失礼します。と言うと、子供達も孤児院を手伝ってくれた皆さんも残念そうにしているので、なるべく早く戻りますと言って、みんなに手を振りながら移転の魔法を使ってもらい地球に帰る。


今回は、俺・カミサン・勇気・イデア・マネックスの5人で日本に帰ろうと話していたので、移転の魔法が使えない俺と勇気を囲むように3人が同時に魔法を使ったことから、より安全に移転の魔法が使えたようで、俺も勇気も気を失わない状態で日本の自宅に帰ったんだ。


日本に到着したのが思ったより早かったんで、せっかくだし、ちょっとショッピングモールでも見てみるかと思ったんだけど、家の車は4人乗り。


せっかくだから、バスと電車で移動してみるか、なんて話になり、近くのバス停から駅に向かって移動してみる。


イデアは自宅の車よりもはるかに大きいバスに圧倒されてしまっていて、カミサンと勇気が手を引っ張って移動させた状態。

マネックスはネットでいろいろ情報を仕入れていたらしいんだけど、お金を払ったり席に座ったりという体験がはじめてだったので、それなりに緊張している様子だ。


さらに電車になると感じ方は違う様で、イデアはとにかく「大きいくて長い!」と連呼していたし、マネックスは「鉄オタという存在が出来るのがなんとなくわかる気がします・・・カッコいいですね、電車」と妙な知識を入れた言葉を発しているよ。


マネックスや! ホント、何処でその知識を得たのか、父さんは本当に知りたいよ!


そんなバス電車な交通手段を経て、ショッピングモールについたんだけど、念のため、イデアには髪の毛をまとめてもらって帽子を深くかぶってもらって変装っぽくしたいなぁと思ったらさ、マネックスが変化?変身?の魔法をイデアにかけてくれたらしいんよ。


これだったら、何処にでもいるような高校生にしか見えないはず・・・なんて言ってくれたので、それを信じて移動する俺達。


5人で移動して、みんなでフードコートでアイスを食べながら、どうしようか?なんて言ってると、マネックスとイデアが「正直身の回りのものでいろいろ欲しいものがあるんだけど・・・」と一言。


たぶん下着類なんだろうなぁ~って思ったんで、女性陣と別れて、勇気と男同士のデートを楽しむ。


ゲームの体験会と言うイベントが行われてたんで、それに吸い込まれるように参加する勇気を見ていたら、今日、イデアと俺らが撮ったCMが流れる日という事を思い出し近くにあるテレビ画面を見ると「妖精と一緒に楽しい買い物を♪」と言う文字が流れている。


道理で、かわいらしくてほのぼのとした遊びのコーナーや、妖精もいるんだったら妖怪も?と某ゲームメーカーさんのゲームコーナーが並んでるはずだ。


まあ、家族のなかで気がついてるのは俺だけかな?と思いながら、これから始まるであろうCMを見ることにしたんだ。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「ここは何処でしょうか?」


とても不安げな顔をしている一人の妖精さんが、近くにいた男性に声をかける。


近くにいた男性は、少し戸惑いながらも「ここはショッピングモール、いろいろなお店やアトラクション、そしてイベントなどがある楽しい場所ですよ」と答える。


「私はこのような場所にきたこともありませんし、楽しめるかもわかりません・・・」


そう戸惑う妖精に、男は「だったら行きましょう!楽しまないよ損ですよ」とにっこり笑い妖精の手を引く。


いろいろな食事処でおいしいものを食べたり、無料の体験イベントで楽しんだり、洋服なんかも試着したり・・・と、見ていると親子のような、カップルのような・・・でも、なんとなくほのぼのした雰囲気が出ている二人の様子に、周りの人は足を止めて画面を見ている


「あっちもこっちもいろいろありますよ」という男性に笑顔を見せながらも、再度駆けだそうとしていた妖精の足が止まってしまったことに気が付き、無理をさせてしまったのか?と謝ろうと思っていたところ、足元から妖精が消えかかっていることに気が付き、慌ててしまう。


「私、とても楽しかったです」


と、自分が消えかかっている事を気にしないで話している妖精に、「まだまだいっぱい楽しいところはありますよ!俺は貴女ともっといろいろ楽しみたかった・・・」と悲しそうにつぶやく男。


そんな男性ににっこりと微笑みながら妖精はこう言ったんだよね。


「はい、またここでお会いしましょうね・・・私も楽しみにしています」


それが言い終わるかどうか・・・というところで妖精は完全に姿を消してしまうんだけど・・・


当日妖精と一緒に廻った場所のいろいろなカットがバー―――っと映し出されたあと、


「また会えるかな?」


「楽しい思い出作れるかな?」


「そんなあなたの思い出になりたい」


「私たちはそう思っています」


「ショッピングモール社員一同より」


なんて文字が少しずつ映り・・・



最後の最後に、男性と女性のシルエットが腕を組んで歩いているのが映し出されて終わる。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇



CM撮影には俺も協力しているはずなんだけど、俺は全く映ってる様には見えず、イデアだけが映っている感じだったのが、ちょっと残念だったけど、やっぱり作り手が良かったんでしょうね、とても良い作品を見たなあ~って思っていたらさ、周りの人もちょっともらい泣きしてるのよ。


この映像がショッピングモールになんらかの影響を与えてくれたら嬉しいんだけど、個人的にはとっても良い映像を映してくれてありがとう!って言いたかった今日この頃。


まだまだ女性陣の買い物は続くんだろうから、もう一回二回はこの映像で楽しませてもらおうかな?と思った、そんな俺でした。


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