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そーいえばさ・・・ その3

綺麗な夜空を見ながらうとうとしてたら、いつの間にか朝になってたんだけど・・・


まだみんなが起きてないから、なんとなく散歩をしようと村をぶらりと歩いていたら、「おはようございます」と元気に声をかけられたので、こちらもおはようございますと挨拶をすると、にっこりしながら会釈する青年がいたんだ。


どうやら村の掃き掃除している感じだったので、なんとなく俺もごみ拾いとか手伝って見たら、嬉しそうな顔をしてくれたので、なんとなく作業をしながら話をしていたら、その方が村長を手伝ってくれている事務官の方という事がわかったので、こちらも異世界人のムラヌシと挨拶をすると、驚いちゃったんだよね。


せっかくなんでちょっと話しませんか?と、近くの椅子に腰をかけて話をしてみたんだけど、この方本当にこの村の事真剣に考えてるんだなぁ~って思いを感じたので、ついつい嬉しくなってしまって、村長に以前伝えたことのある自分の村への想いを話して見ると、俺への印象がずいぶん変わったらしい。


村長から、俺の投資話を聞いた時、成金商人のようなイメージを持っていたらしいんだけど、よくよく話を聞いてみると、この村にいろいろ援助してきた実績はあるけど極端な見返りを求めていない、やりたいことや出来る事を提案するけど、自分が中心になってやるんじゃなくて、村人の自主性を第一に考えて、「やってもらってる」という立場を崩してないから、この人は何がしたいんだろう?って思ってたらしいんだよね。


それに関しては俺も「面白そうだから首を突っ込んでるだけ」としか言えないんだけど、それらがうまくいけば村にお金が入って利益が生まれる。利益が生まれたら、今協会兼孤児院となってる建物の運営資金にしてもらいたいし、欲を言えばその脇に学校を作ってもらって、誰でも自由に勉強が出来る環境を整えてもらいたいなぁ~という願いがある。


さらに言えば、村と村との交流が盛んになってくれれば、村同士を結ぶ定期便を作って、いろいろな村を巡って楽しめるような環境も整えてもらい、さらにさらに発展したら楽しいだろうなぁ~なんてことを思ってるって言ったら、「私たちも同じような事を思っていたんです!」と握手して手をぶんぶん振ってるよ!


ただ・・・と、魔族の事が心配だという事を言っていたので、昨日会った魔族の事と、イデアとの関係を話して見ると、「実際に見ていないので信じがたいのですが、それだけ友好なお話が出来る方々でしたら、いきなり暴力的な行為はしないのでしょうね」と不思議な顔をしながらも、ちょっとだけほっとした表情を浮かべているので、今のところは村を豊かにする施策だけを考えてみて、もし魔族からのコンタクトがあったら、魔族と考えないで、普通に隣人として接してみると良いかもよ?と提案すると、考えておきますと言ってくれたんだ。


そんな話をしていたら、結構時間が経ってしまったように思ったんで、また今度お話しましょう~と手を差し出すと「よろしくお願いします」と手をにぎってくれたので、こういう関係は続けていきたいなぁ~って思いながら、ふらふらと温泉のあるほうに向かって歩いていくと、なんだろう?風を切るようなぴゅんぴゅんというような音が聞こえてきたので、そちらに向かって歩いていくと、自分の背丈ほどある大きな剣を自由自在に振っている女性がいたので、邪魔しないように近づいてみる。


燃えるような真っ赤で短い髪を振り乱し、剣の振り方に強弱をつけては止め、上からの振り下ろし、中段からの突きや払い、下段から手首を狙っての攻撃かな?・・・見ていると、なんとなく何かを想像しながら戦っているように見えて、思わず「すごい・・・」とつぶやいてしまったら、それが聞こえてしまったらしく、女性剣士が剣を止めてしまった・・・


練習の邪魔をしてすいませんと謝ると、いやいや~と言いながら、いきなり突きを入れてきたので、慌てて後方に避けると、やっぱり~と、にやにやしながら攻撃を仕掛けてくる!


攻撃を仕掛けながら、こっちに向かって細身の剣を投げてきたので、それを受け取りながら攻撃をいなしていると、「いいねぇ~もう少し付き合ってよ!」と手数を増やしてきたので、ワタワタしながらもなんとかかわしたり反らしたりしていると、徐々に慣れてきてね・・・


めちゃくちゃムカついてきたので、隙をついて剣を巻き上げて取り上げたら、なんかぽかーんとしてるの・・・昔剣道の先生にこれやられて滅茶苦茶ムカついた記憶があったから、ひそかに練習しておいて良かった・・・なんて思っていたら、「まいりました・・・」なんて悔しそうに言ってきた女性。


かなりムカついてきたので、大の大人が相手の了承なしに攻撃仕掛けてくるのってどういう事?なんて言うと、「ノリと勢いでついつい・・・えへへへ」なんて反省の色もないので、こっちも大人げない対応をしてやろうかと思ってさ。


俺・・・あの温泉のオーナーなんだけど、こんな物騒な事をする人間がいるなんて知らなかったなぁ・・・とりあえず店長にアンタの事出禁にしてもらって・・・村長にもこのことを報告させてもらおうかな?・・・なんて呟くと、急に真っ青になって土下座し始める・・・


今更遅いって・・・と思いながら、さっきまで掃除してた事務官さんを呼んで事情を説明したところ・・・「アゲートさん・・・また貴女ですか!・・・私次はない!ってあれほど言いましたよね?」と説教モードに入ったので、改めてそういう人なんだ・・・って思ってたら、「んじゃ・・・下水道掃除行き決定ですね」と言う言葉と同時に、村人数人に連れていかれるアゲートさん。


あーあ・・・あれか・・・


俺も下水道出来立ての時に掃除したけど、あまり運用されてない状態でもかなりキッツいにおいがして、しばらくやりたくないと思ってたんだけど、そうか、あれを軽犯罪者?用の更生プログラムに利用したのか・・・とちょっと複雑な思いになっちゃったよ。


ただね、俺も含めて、この村の人たちは誰でも複数回はこなしてるので、下水道掃除やってる人にはかなり優しくて、途中でさりげなくお茶が置かれていたり、終わるころにはお風呂の準備がされていて、いつもより豪華な食事が置かれたり、「がんばれよー」なんて声をかけてもらったり・・・と、さりげない暖かさにふれあえるから、いいかもね~と思いながら、アゲートさんに「がんばれよー」と一言。


・・・そーいえば、何気に俺、はじめて人と剣で勝負して勝ったんだなぁ・・・って思ったら、ちょっと嬉しくなっちゃったぞ!


でも・・・誰それ構わず勝負吹っ掛けるのはよくないよね?


俺も気を付けないといけないなぁ~・・・なんて思いながら、孤児院へ帰る俺。


今日はどうしようかな?

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