表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/80

説明書はしっかり読みましょう その2

「「なんか久しぶりだね~」」


そう言いながら、ゲーム機やらテレビやらをリビングにどんどん設置していく俺とカミサン。


息子が生まれる前まで、お互い、ロールプレイングゲームが好きという事もあり、一人がゲームを買うと、一人が別の気になるゲームを買い、お互いがお互いのゲームを貸し借りしながらセーブデータの枠を利用して楽しんでいたんだ。


オンラインゲームも二人で機械を並べて楽しんでいた時期もあったけど、子供が生まれたのを機に辞めてしまったから解約してしまったんだ。


この時が来るのを知っていたらアカウントを残しておいたのにぃ!と、お互い顔を見合わせて同じことを言ってついつい笑ってしまった。


そんな様子を「なんだか四角いのがどんどん増えていきますね」と、興味津々に見ているイデアを少しだけ気にしながら、どんどんゲームを起動させていく。


箪笥の奥底に眠っていた大型ゲーム機本体やら携帯ゲーム機などどんどん出していくと、リビングの机の上はすっかりゲーム機に埋まる。


リビングの両サイドにはうちの予算の都合で二台のテレビ。

次から次にゲーム機本体を起動させて行き、画面にはどんどん各ゲームの主人公たちが映ってきた。


カミサンと俺が無駄に競い合ってやり込んできたゲーム達が一列に並んでる姿を見て、なんとなくじーんとしていると、イデアが「わぁ☆なんかいろいろな世界が映ってるんですね!」と感激しているのを見て、「うん、そうなのよー、で、今からね、イデアとカミサンで、この世界に飛び込んでもらうおうと思ってるから、ちょっと準備運動しておいてね。」と言う俺。


思わず「へっ?」と変な声を上げるイデアを尻目に、カミサンが説明を始める。


「イデアちゃん、さっそくだけど、貴方には”移転”の魔法を使ってもらうよ」


「えっ?私、魔法なんて使えません!魔法なんてどこかにいる偉い人しか使えないんじゃないですか?」


そう言いながら慌てるイデアを落ち着かせながら、カミサンはイデアの目をしっかり見て手を握った。

「私達は貴女が魔法を使える可能性があることをさっき知ったの。イデアちゃんが知らないのはイデアちゃんがまだ自分の意思で使ってないから、ただそれだけなのよ。」


ごくりと息をのむイデアにカミサンは話を続ける。


「イデアちゃんには、この魔法のかばんを持ってもらって、今から私が言う言葉をそのまま言ってもらうだけでいいんだから、そんなに緊張しなくても大丈夫よ!失敗しても何が起こるって訳でもないだろうし、気楽に気楽に行きましょうよ~ では行きますよー♪」


そう言うと、魔法のかばんを方掛けにしたイデアの手を持ち、カミサンは呪文の言葉を口にしはじめる。


一小節一小節は短いが、よくわからない言葉のため、イデアは必死に間違えないようにカミサンに続き言葉を紡いでいき、最後の言葉が終わったかと思ったら、二人は光の玉になり、携帯ゲーム機に吸い込まれていったんだ。


カミサン曰く、呪文の言葉はデタラメなカタカナの羅列で、よくわからないんだけど、「あなたが見ている景色はすべてひとつの道でつながっている その道はあなたの魔力によって紡がれたものであり あなたとあなたの友人を運ぶ道になる あなたが作った道の先に幸運あれ!」という意味らしい。


目の前で光の玉になって消えたの見ても、いろいろ信じられないよ。魔法なんて空想の世界だけだと思ってただけに、ホントかなぁ?って心配しちゃったよ。


ま、俺はカミサンに言われた事きっちりやっておこ!なんて思いながら画面を見ていると、あらかじめ用意していた主人公キャラクターの脇に、見慣れないキャラクターが二人立ってる。


これ、きっと、カミサンとイデアだな?と思いながら、俺は主人公キャラクターを二人に近づけ、アイテム欄、ステータス欄を開いていく。


すると、次の瞬間。ゲームのコマンド欄にどんどん表示が出て来たんだ。


「????に9999999Gを渡した」

「????に薬草を渡した」

「????に回復薬を渡した」

「????にすばやさの種を渡した」

・・・・

・・・

・・


そして、アイテム欄にあった品物がなくなると同時に、画面から光の玉が二つ出てきて、パッと弾けたかと思うと、カミサンとイデアの二人が目の前に立っていたんだ。

そして、次の瞬間、「次はあそこね!」とカミサンの声、そして「はい!」と緊張のイデア。


二人が同じように呪文を唱えたかと思ったら、今度はさっき入ったゲーム機の隣にあるゲーム機に二つの光が吸い込まれて行き、それを確認した俺は、ゲームの主人公のアイテム欄とステータス欄を開いてから、一度光が吸い込まれたゲーム機のゲームを再起動させ、別のセーブデータを起動させ主人公を同じように配置していく。


それを20回ほど繰り返したあたりで、とうとう二人とも息が上がってしまったようだったので、全てのゲーム機を閉じてドクターストップならぬ父ちゃんストップをかける。


倒れ込みながらも「なかなか面白い体験が出来たよ!!!」と興奮冷めやらぬカミサンに対して、「も、もうダメです!!一歩も動けません!!!」と倒れ込んでぴくぴくしてるイデア。


正直、二人がうらやましいと思いながらも、やったことがなかなかハードで可哀そうだったなぁ~とも同情。


入った世界で、自分たちが育てて楽しんだ主人公が持っている所持品、所持金を頂いて、魔法のかばんに入れ元の世界に戻り、続けざまに別のゲームに入り、また主人公の持っている所持品などを頂いて、次へ。


夫婦で無駄に競っていろいろなアイテムや所持金を集めまくり、所持金はMAXだったし、アイテムもいろいろ入れていた気がするけど、ゲームしなくなってもう10年近くになるから、果たしてこの記憶が正しいかどうかすら忘れちゃったんだけどね。


ま、カミサンがいろいろ受け取ったんだから大丈夫でしょ?


このアイテムが無駄になっても、移転の魔法が成功したってだけで大きな進歩になったはずだから、イデアの自信にもなっただろうし、悪い事なんて一つもないからすべてオッケーということでひとつ。


さてさて、かばんの中身はどうなってるかなぁ?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ