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思いもよらない・・・ その2

「異世界救済事業部」


確かにそう書かれているね。


・・・うん・・・日本にあったら間違いなく、なんかの宗教団体と間違えそうだけどね・・・


そう、カミサンと言いあいながら、ドアの前でどうしようか?なんて思っている俺達。


本当だったら、ケル村からまっすぐ家に帰って、そのまま仕事の準備をして寝てしまおうと思ってたんだけど、気が付いたら訳の分からない場所にいてね。


この場所もなんだろう・・・窓から見える建物の感じは市役所っぽい。

そして今いる場所は、その建物の部屋の隅っこ。


建物自体は怪しくないんだけど、立て看板に書かれた「異世界救済事業部」という名前が胡散臭すぎて、どうにも入れないなぁ・・・いっそこのままここを出て、帰り道を考えてみようかな?って思ったところ。


「開いてますよ」


という女性の声が聞こえ、すーーーーーーっと扉が開いてしまったので、覚悟を決め「失礼します」と入る俺達。


入るとそこには、小さい郵便局のカウンター見たいな場所に、年にして40代俺らと同じくらいの女性の方と、20代くらいの若い女性のスーツ姿の二人が窓口担当よろしく立っていて、後方には30代くらいの男性が何やらものすごい勢いでキーボードらしい何かを叩いている。


そんな様子を見ていた俺達に、年上の女性が「お待ちしていました、こちらへおかけください」と言い、個室のようになっている窓口カウンターへ俺らを案内する。


見たところお客様は誰もおらず、わざわざこんな個室に連れてこなくても・・・なんて思っていると、女性が「気分の問題なのであしからず・・・」と言ってきたので、また声に出たか?なんて思ってカミサンを見ると、首を横に振って驚いている。


目の前の女性は「そんな駄々洩れの思念でしたら、能力を使わなくてもわかりますから・・・」なんて微笑みながら自分達にお茶を持ってきてくれる。


何が何だかわからないけど、せっかく持ってくださったんだからとお茶を飲みほっとしていると、同世代っぽい女性の担当さんが、目の前に資料らしきものを広げて、俺らに頭を下げる。


「この度は、我々の事業に巻き込んでしまい大変申し訳ありませんでした」と言う女性に、カミサンと顔を見合わせる俺。やっぱりこの人も神様なんだろうか?なんて思っていると「これはこれは、大変失礼しました。私こういうものです」と名刺を両手に添えて渡される。


そこには「異世界救済事業部 地球本部 統括責任者 アメージ」なんて書いてある。


確か俺の夢の中で話していたのは、あっちの世界の神様だった気がしたので、業務提携って言うのは、あっちの神様と、地球の神様がお互い助け合うために起こした事業って事なのかな?なんて思っていたんだけど、どうやらその考えは間違っていないようだ。


カミサンはそんな俺の様子を見ながらも、目の前に広げられた資料を見ようと身を乗り出していたので、まずは一通りお話を聞いてみようと言って、カミサンと何が話されるのか?と身構える俺ら夫婦。


「では、大変申し訳ありませんが、事の経緯からお話させていただきます」とアメージさんから一枚の資料が渡される。そこには「予期せぬ死亡者を転生・転移させる」「予期せぬ不幸な者を救済する」二つの項目に対し、お互いの管轄同士で交換して解決していこうという内容が書いてある。


続いて2枚目と渡されたのは「ケース1 村主家族の場合」とあり、そこには今まで自分たちが体験したことが書いてあったんだけど・・・どうやらそれは、神様でさえ予測できない行動だったらしく、赤字でかなりの修正が入っている。


ケース1:村主正木にコンビニアルテミスを見つけさせ、商品として一等のくじを引かせる。

結 果 :異世界側の店員との打ち合わせがうまくいかず、対象者である正木に説明もないまま、普通にくじ引きをさせたため、目的である一等を当てさせることが出来なかった。詳細は不明である。


ケース2:村主 ゆきに魔力を付与する予定について。村主正木の妻であるゆきに魔法の力を与えることにより、強力なサポートをさせようと試みる。

結 果 :ゆき本人に素質があり、異世界人が残した魔力と、彼女独自の魔力操作により、魔法を唱える事に成功。その後、彼女オリジナルのドーピング効果により、我々の力は不要となった。


ケース3:異世界にて、魔物が住まう森に近いひとつの村を、夫婦に守らせる。

結 果 :村主夫婦が知らずに到着した魔族が住まう森にて、夫婦により噴き出た水が、異世界での聖水に近い性質のものだった。噴き出た水が拡散し、魔物が逃げ出したため村の危険がなくなった。


ケース4:能力の劣る領主から村を守らせる。

結 果 :村主夫婦は、温泉を村に伝え、村おこしを提案。村人はそのまま勢いにのる。マサキに対して警告を行おうとするも、異世界側の不手際により我々の計画が露見し、村主夫婦に対してはすべての事を伝えることとする。


・・・・


・・・・なんて書いてあるのよ・・・


・・・こんな事、神様に言っていいのかわからないけど、グダグダでお粗末な計画ですなぁ・・・


・・・一人の勇者級の若者捕まえて、アンタは勇者!あんたは出来る子!どうか異世界を救って!って、ちょっとかわいこちゃんな天使さんを餌にすれば、きっと張り切って戦ってくれただろうに・・・なんでよりによって、こんな中年オヤジを捕まえてミッションさせようとしたかね・・・


・・・実に馬鹿だなぁ・・・



・・・ってそんな事を思っていたら、目の前の神様、ぐぬぬぬ・・・って言い始める。


その様子を見て、まぁ~どうせ俺の考えていることなんか読まれちゃうんだろうなぁ~なんて思ったんで、ちょっと本音で話すけど勘弁してくださいね と、今まで思っていたことをぶちまける俺。


事前に話をしてもらえれば、急な展開でも納得しながらやったかもしれない。


だけど、ここまでこういう状況でやってきたのは、純粋に娘を助けたい!という想いからであり、偶然の重なり合いにより、たまたま成功しただけだ。


神様であろうモノが、こんなだまし討ちなんかして恥ずかしくないの?


神様だか仏だか、天使だか知らんけどね・・・・


何でもしてもいいって思ったら大間違いだぞ!コノヤロウ!!!

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