クリーンの神様とトイレ その2
部下にめんどくさい仕事を押し付ける上司・・・
俺も経験が有り余るほどあるから気持ちはわかるけど、神様の世界も同じなんか・・・切ないよね・・・
ただね・・・いきなり目の前に神様って言われても、目の前にいる少女が神様っていうのはちょっと信じられないなぁ~って思っていたらさ、「ですよね・・・」とクリーナさん。
「では、こんなのどうですか?」と、自分たちが浸かっているお風呂に向けて指をつまむようなしぐさをして、つまんでいる指を徐々に伸ばしていくと・・・
徐々に自分たちが浸かっている温泉の広さが広くなって行き、彼女が指を伸ばしきった時には3人がゆったり浸かって丁度良いくらいだった広さの温泉が、25mプール並みに長くなっていたんだよね。
「こんなのもどうですか?」と言って、周りに向かって手を拭く真似をすると、なんか透明な壁が出来てるし・・・ガラス張り?すげぇ!!!と思ってはしゃいでいたら、「ちょっと外から覗いて見てください」って言ってるんで、手探りで出入り口を探して外に出てみると、外から中が見えないマジックミラーになってるんよ!!!
カミサンと二人してすげぇすげぇ!!って言ってる中「これはお遊びなんで元に戻しますね」と彼女が手を叩くと、元に戻ってるし・・・
これを見る限りで、彼女が神様かどうかはともかく、とにかくすごい力の持ち主だってわかったんだけど、そんな力のある人物がなんで俺のところに来たんだろうな?なんて思ったらさ、
「クリーンの魔法を便利に思ってる人は多いのですが、案外、消えたものの行き先や活用法を考えてる人っていないものですよ」とクリーナさん。
そんな事を話ながらのんびり湯に浸かっていたんだけど、さすがに村の人をほっぽっとく訳には行かないなと思い、三人で湯から出てタオルで体を拭いていると、クリーナさんタオルに顔を埋めて「いいにおい・・・」って言いながら泣いてるの・・・
思わずカミサンと「大丈夫、もういいにおいだけだからね、臭いのどうにかするからね」と背中をさすりながらカミサンの服に着替えさせると、落ち着いてきたようで良かった良かった・・・
で、村に戻ろうとしたらさ、クリーナさんが「戻るんでしたら、そこの戸を開けてください」って言うんで、指差す方を見ると、某猫型機械の移動式ドア見たいなものがあるんですよ・・・
カミサンが「あれって・・・どこで「ストップ!!!!」」お~危ない危ない! それにしても、なんちゅーものを・・・って思いながら、開けると・・・開かない・・・あ、スライドドアでしたね・・・で、開けたら、村のみんながカレーの後片付けしてるんですよ。
「急に出ていっちゃったからびっくりしたよ」なんてお母さんに怒られてしまったんで、謝ったらさ、後ろにいたクリーナさんを見て「また子ども連れてきたのかい?泊めるところどうしようかね?」なんて悩んでたんで、いやいや~と俺。
実はこの方、土と肥料の研究をしてる学者さんなんですよ、なんて嘘こく俺に慌てるクリーナさん。
だって、神様なんて言っても信じてもらえないだろうし、学者さんだったら多少危ない事しても周りが納得してくれるかな?なんて思ったんだけどね・・・
まぁ、ここは俺に合わせて下さいよと言うと、しぶしぶ頷くクリーンさん。あ、女神様って言ったほうが良かったのかな?・・・ま、体を強引に洗った段階で神様の扱いなんてしてませんがねー
あ、何方か畑されてる方!先生に畑案内して頂けませんか?なんて言うと、一人のご老人が「こちらへどうぞ先生様」と案内してくれたので移動してみると、良く言えばほったらかし農法・・・ほとんど手を付けてないであろう畑に案内され愕然とする俺・・・
親父がやってる畑見ているからかもしれないけどさ、普通ある一定の感覚で種まきなどして、畝を作ってさ、そこから水まきしながら雑草抜いたりして作物を育てていくってやらないといけないんじゃなかったっけ?
ずっと昔にほったらかし農家?農園?なんてテレビで特集されてたの見た記憶があるんだけど、あれだって、土を作るのにかなり努力されていて、とてもきれいな農園だった記憶があるんだけど・・・農業なめてるなこいつら・・・なんて、農業関係者でもないのに腹を立ててしまった俺。
そんな様子を不思議そうに見ていたクリーナさんが「えっと私、何やったらいいんでしょうか?」なんて言ってきてくれたんで、例の肥料はどんな形状なんでしょうか?なんて聞くとカサカサしているものと、ドロドロしているものがあるのですがどうしますか?との事。
どちらにしろ、水で薄めて畑にまかないといけないので、処分したいものから・・・なんて思ったので、少しだけ場所をおかりして3m×3m、深さは俺の腰くらいの穴を掘って行き、掘った穴を指さして、少しだけこちらに出すことは出来ますか?というと首を縦に振る。
「皆さん、かなり臭いので覚悟してください」とかなり緊張しながら言っているので、周りのみんなにタオルを口に当てるように言い、クリーナさんにも手に持ってるタオルを口で固定出来るようにしばる。
クリーナさんが掘った穴に向けてつまんだ指を向け、指を広げるとともに、かなりの異臭がする液体が勢いよく流れてきた・・・
今回はテストみたいなもんなんで、すぐにクリーナさんに向かって止めてください!というと、穴がふさがり異物が出なくなったのを見てから、すぐにその穴に向けて水を流すようにお願いする。
相変わらずの異臭だけど、水を流すことにより少しはましになったなぁ~なんて思いながら、そこらへんにあった木の棒で異臭のする水をかき混ぜていき、ボロボロな桶があったので持ち主の了解を得て桶ですくって近くの作物の根元に撒いていくと・・・・
気のせいじゃないよね?目の前で作物がつやつやしてきたんよ!
で、つやつやしてきた・・・って思ったらさ、どんどん大きくなってきてるの・・・・ナニコノドーピングザイ((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル・・・
なんかすごく面白くなってきたんで、臭いの全く気にならなくなってきて、からっぱしから巻いていったらさ、あちこちの作物とんでもない事になっちゃった・・・
たまねぎ、ジャガイモはかぼちゃくらいの大きさになっちゃうし、にんじんはだいこんみたいになっちゃうし・・・心配になって一本もらってかじってみたんだけど、味も全く問題ないから大丈夫かな?
あらかた巻き終わったなぁ~って思って、掘った穴を見ると、その部分だけ猛烈に雑草が伸びまくってるの・・・さすが神様が手をかけて処理しただけの事はあるなぁ~と感心しつつ、クリーナさんに向かってわざとらしく・・・
「先生!実験は成功ですよ!」とサムズアップすると、なんだかわからないけど俺の笑顔につられたクリーナさんも俺の真似をして親指をたててる。
先生の苦労や努力が実った成果が目の前にあるんですよ!これからすこしづつあれ(大量にあるであろう糞尿など)を減らしていきましょうね!というと、涙を流しながらうんうん言う彼女に、神様とか関係なく、なんとかしてあげたいなぁ~と思ったあっしでした。




