衣・食・住・・・さあどうする? その3
さぁ風呂に入ろう!って思ったら、
「うぇぇぇい!俺いちばん~」なんて言いながら、小さい子達が服を脱ぎ散らかしてとっととお湯に入ろうとしてたから止めて、身体洗ってからにしなさい!とちょっと怒る俺。
あと、脱いだ服は自分で畳むの!今日はおっちゃんやるけど、おちついたら教えるからみんなちゃんとやるんだよ!というと「はーい」と気の抜けた声を出してたので、そんな子供たちの服を軽く畳みながら一人ひとりにタオルを渡して、お湯に向かわせる。
お湯が溜まっているところに行くと、手前に何やら大きな文字で「(1)」という数字の後に何か書いてあるので、近くにいた雑貨屋さんに「なんて書いてあるんですか?」と聞くと「(1)まずはここで体を洗いましょう って書いてありますね」との事。
良く見ると、綺麗にボディーソープと、シャンプーとコンディショナーが並んで置いてあるので、まずボディーソープを見るとそこにも何やら文字が。
これは「体を洗う液体です」と注意書きらしい。
シャンプーには「(1)頭を洗うものです。これが最初に使うものです」コンディショナーには「(2)(1)で頭を洗って流したら使ってください」と書いてあるらしい。
あら、女性陣はこんなところまでやってくれたんだなぁ~と思うと、遅いなぁ~って待っていた自分が恥ずかしくなって申し訳なく思っちゃったのよ。ホントごめんね。
それを見ながら、小さい子の頭を洗ってあげたり、流してあげてると、みんながみんな「これとってもいいにおいがする」とか「体が汗臭くなくなって気持ちいい~」なんて言ってくれてるので、俺らとあんまり感覚は違わないかな?なんて思いほっとしたよ。
ただ、犬や猫の顔の子に対しては、何処までシャンプーかどこまでコンディショナーかわからず、悩みに悩んだ結果、全部ボディーソープで洗ってみたんだけど、正直それが正しいかわからないから、亜人の子全員に「これから自分に合うものを試してほしい、おっちゃんわからなくてごめんね」と頭を下げたよ。
そんなんやりながら、洗い終わった順に「じゃ行っといで~」と言うと、お湯が溜まっている場所にどんどん飛び込んでいく子供達。
それを見ながら「あまりはしゃぎすぎて転ぶなよー」と言いながら体を流す俺。
あ、そう言えば、水なんだけど、最初にこの場所に来た時、自分がこの水を触ったり匂いをかいだりして、少なくとも体にすぐに害を与えるものではないと思っていたんだけど、カミサンがここにいるスライムと話すために変身した時、ここにいるスライムがいくつかのスキルを持っていることに気が付いて確認をしてくれたんだよね。
スライム(この山のスライム一家限定)スキル
・浄水・・・飲み込んだ水を生き物が飲める状態にする
・溶解・・・対象とするものを溶かし取り込む
・放出・・・体に溜め込んだ物質をまとめて一気に吐き出す
こんなものがあるらしくて、ここのスライム一家が、今まで遊び半分でここらへんの水やら溜まっている場所やらを掃除しまくっていたことがわかり、念のためかばんのマネックスに水に危険性がないかどうかを調べてもらっても大丈夫だと思いますという事だったので、水は無害なものかな?と思ったんだ。
ただ、出来れば専門家の意見を聞きたいなぁ~って思ったんだけど、スライムたちの浄水の力を信じて、今は楽しむほうを優先しようかな?と思った俺。
無責任と言われたら何も言えないけど勘弁してねって、両隣にいる大人メンバーに話をすると「まぁ~そこまで確認してれば大丈夫でしょ?」との事。
こっちの世界ではスキルに対してほぼ100%の信頼を置いているみたいだから、まぁこちらの誠意だけは感じてくれてるのかな?と思いたいなぁ~と思った次第です。
そのついでにと、大人メンバーに対して話を続ける俺。
「首都でふんぞり返ってるお偉いさんに嫌がらせしないか?」と相談。
聞いている限りで、塩も送らない、村への支援金も送らない。村の危機的状況を訴えた訴状も無視。
さすがに村長は頭にきてるんじゃないかな?なんて思ったら、なんか3人ともすんごい悪い顔になってるよ。
考えた俺も俺だけど、のった三人も三人で密かに相当頭にきてるらしかったので、ごにょごにょ言いながら自分の案を出してみると、三人とも親指を立ててGOOOOOD!と超満面な笑みでこちらを見てる。
さすがにこちらの国の領土の事となると、俺もわからないことが多いから、おおざっぱな作戦になってしまったんだけど、そこらへんは村の外へ何度も足を運んでいる3人だから、きっとなんとかしてくれると思うし、悪だくみを楽しんでくれる度量のある人たちだと、話してみて思ったので、俺は裏方に徹しながら応援したいと思うぞ。
そんな話をした後に、子供達とお湯に浸かり、近くの子供に向けて手を重ね合わせて水を勢いよく出してやると、みんなが面白がって真似し始めたので、一緒になってやっていると、小さいスライムくんも参戦してきて、みんなでこっちに向かって水をかけてきた。
スライムくんが一番勢いよく飛ばしてきたのでちょっときつかったけど、こんな遊びもいいよね~とこっちもムキになってやり返す。
こりゃ水鉄砲もありかな?なんてことを思っていると、女性陣が「ごめん、そろそろ上がってもらっていいかな?」と言ってきたので、みんなにあがるように言うと、着替える場所には無地の黒や紺のTシャツにステテコがサイズごとに置いてあったので、まずは子供達に着せて、それから大人は着るかどうか任せようかと思ったらさ、もう着てたよ!楽しんでるな皆の衆!
子供達には自分が使ったタオルを首に巻かせ、着替えは俺ら大人メンバーが持って行くと、女性陣はここから出る準備を整えていたので、一度村に戻ろうと話をしたので、村長に「子供たちは一度村で預かります。心配しないでください。銀色の人へ」と手紙を書いてもらったあと、みんなで村に向かって歩いていく。
大人メンバーは小さい子を抱っこしたり肩車やおんぶして歩き、少し大きな子を先頭に歩いていたので、気が付けばもう夕方。
さすがに、夜になると真っ暗になってしまうそうなので、みんな早歩きで帰ることになりました。
アデルのお母さん家についたら、子供達は疲れてしまったのか?その場で寝てしまったので、慌てて厚めのタオルを敷いたり、カーペットみたいなものを引いた場所に子供達を運んで寝かせ、やっと一息。
「子供ってあんなに重かったっけ?」なんて雑貨屋さんの言葉に、アデル以外の大人メンバーは自分の子供たちを思い出して懐かしんでしまったんだ。
さあ・・・これから大変だぞ・・・




