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フィギュアの女の子 その2

昨晩、コンビニの有料くじで貰った景品のフィギュアを開けようとしたら、光と共に現れた彼女。


完全に気を失っていて、俺のほうに倒れこんで来たんで、支えながらソファーに寝かせたんだけど、見るからに顔色も悪いし、身体に軽いすり傷もある。


衣服もボロボロだし、こりゃほっとけないなと、カミサンと話ながら、ぬるま湯に浸けたタオルで身体をふいたりボロボロの衣類を脱がして新しい服着せたり、簡単に傷の手当てをしたり。


あ、これ、全部カミサンやってくれたんだけどね。


俺は、カミサンの手足として動いたり、自分の新品ズボンやシャツ、パンツを差し出したり、濡れタオル用意したりしただけだかんね!彼女の裸なんて見れなかったんだからね!


それだけならまだしも、彼女のお尻から生えてる尻尾を衣類から通さないといけないからって、カミサンが俺の新品パンツにハサミ入れてるんだよ!


175cmの自分とあまり変わらないくらいの身長で、スタイルが良すぎるから私の服じゃ入らないの!って逆ギレされたら、俺何も言えないじゃんよ! しくしく・・・


そうこうしてるうちに、彼女から寝息が聞こえてきたから、カミサンに寝てもらって、俺は寝ずの番ですよ。落ち着いたとは言え、まだ彼女自身の事何もわからんし、まだ何が起きるかわからないからね。


最近、スマートフォンで無料で見れる異世界モノの小説を読むようになって、世の中には才能のある方が沢山いるんだなぁ~なんて思いながら楽しませてもらってたけど、いろいろな人が想像していた世界の出来事が、まさか自分の身におこるなんてなぁ。


そんな事を思いながら、カフェオレをちゅーちゅー吸いつつ彼女を見ていると、未だに信じられないんだけど、ちゃんと人間っぽい感じなんだよね。


なんとか顔色も良くなってきてほっとしながら見てるんだけど、2頭身が7頭身か8頭身に変わった感じの姿。


流れるようにさらさらな銀色の頭髪や尻尾。欧米人っぽいはっきりした目や鼻筋。だけどなんとなく和を感じる顔立ちをしてる気がする。


伸長は170cmくらいで、出てるところは出ててって、仕方ないじゃん!カミサンの下着が全く合わないから、上は俺のTシャツだけだし、下は俺のボクサーパンツとステテコなんだもんよ!


おっさんでも男の子なんだもん!ちょっとは見ちゃうよ!


これでニコニコしながら街中でも歩いたら、十中八九の野郎が振り向くぞ!なんて思いながら、暇潰しに通販サイトでいろいろ見てたんだけど、あまりにいろいろありすぎて、俺もうとうとしちゃってさ、気がついたら、彼女が寝てるソファーを背もたれに夢の中に旅立っちゃった訳よ。


気がついたら、彼女にかけていたはずのタオルケットが自分にかかってて、はっ!ってなって辺りを見回したら、俺の脇で土下座してるんよ、彼女!


な、なっ!なにしとるんよ!


あんなに疲れてていっぱい傷ついて、少しは気持ち良く寝れてるかな?って思ったら!あんたはこんな事しないで大人しく寝てればいいの!なんて言ってる俺の事をきちんと見ながら、彼女ははじめて口を開いたんだ。


「見も知らぬ私の為に、このような綺麗な衣服を頂き、それだけではなく、怪我の治療までしていただき、本当にありがとうございます。」


そして、何かを決意したかのように、さらに顔を強ばらせて「わ、私が差し上げられるものは・・・このか、身体だけ・・・ど、どうぞ好きになさってください・・・」なんて言いながら、自分が着ている服を脱ごうとしたのよ!



そこで、おいらの空手チョップですよ!



ごちん!



「い、いちゃい!! な、なにするんですか!!!」


そりゃ、こっちの台詞じゃい!!!


よい年のお嬢ちゃんが身体で払うなんていっちゃダメ!だめ!駄目!!!


おいらはあんたから何か奪いたいからいろいろやった訳じゃないの!ただ困ってる人のフォローしただけなんよ!今貴女がやるべき事は自分の身体を治して元気になることなの!わかった???ねっ!ねっ!


頭を抱えながら涙目になってる彼女だけど、よっぽど変な場所にいたんだろうなぁ~と思いながら、「あとさ、身体を拭いたり着替えさせたのはうちの妻だから、良かったら二階にいる妻にお礼を言ってよ」なんてことを言ったら、ふらふらしながら階段のぼろうとして一段でバテてるのよ。


何事かと思ったらさ、


「お腹が空いて動けません・・・すいません」


それ聞いたら、「この子生きてるんだな」なんて思ってほっとしてさ、思わず笑いながらそうめん茹でて出したんよ。


出した後に、ふと、「彼女、そうめんを見たことも食べたこともないだろうな」って思って、自分が最初にこうやって食べるんだよーって言いながら食べたらさ、彼女も用意したフォークでよそって食べて、気が付いたら4束一人で食べちゃったのよ。


いや~気持ちよいくらい豪快に食べてくれて見ていて楽しかったけど、俺が笑ってる様子を見た彼女萎縮しちゃってさ・・・


で、カミサンも起きてきたから、こりゃ駄目だ~って事になって、サボリー電話をすることになったんよ。



トゥルルル~



あ、お疲れ様です。


大変申し訳ありませんが、妻が具合悪くしまして、息子の面倒を見ないといけないので、本日休ませて下さい。


あ、明後日から連休に入るので、長い間不在にしますが、よろしくお願いいたします・・・あ、はい、は、すいません。よろしくお願いいたします・・・あ、し、失礼します。


ガチャン


俺が受話器を置くと同時に、笑顔でサムズアップしてくれるカミサンに惚れ直しながら、目の前に座っている彼女を前にどうしようかと迷う俺とカミサン。


今日は一日大変になりそうだけど、長期連休になったし、なんとかなるかな?息子も起こさないといけないし、やること沢山あって楽しいなぁタノシイナァorz

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