囲まれていました・・・ その2
リーダーらしい男の子を前に、子供達とぞろぞろ歩いていく。
子供とひとくくりにしているけど、種族は様々で、人間?この場合ヒューマンって言えばいいのかな?やイデアみたいに尻尾と耳が生えていたり、顔が犬だったり猫だったり、それらを見ていると、やっぱりここは俺達にとってはファンタジーな世界なんだなぁ~って思うんよ。
そう言えば、奴隷で思い出したんだけど、アデルのお母さんの話の中で奴隷の話が出てたんだけど、あれって、富裕層のみの話みたい。
この国は、首都以外は本当に貧困と隣り合わせで、近くにいるモノ同士、お互い頑張っていかないと生きていけないって思いがあるから、人を人と思わない行動なんて考えられない、助け合わないでどうする!って考えらしいんだ。
それを聞いて、村の人たちがこの子を見ても「奴隷にする」って考えはないだろうな、と思いながら歩いていると、鉱山らしい場所についたんだけどね。
あれっ?
おかしいなぁ??
俺がイメージしていた鉱山って、大きな山があって、山に入り口があって、トンネルがどんどん下に下がっていって、複雑に掘り進んでいくから迷路みたいになっていて危なそうって思ってたんだど、ちょっと違うみたい。
山に入り口みたいな穴があって、175cmの俺がぎりぎり立てるくらいの穴を、5メートルほど潜り抜けるとね、だだっ広い場所に出たんよ。
広さは小学校の体育館くらいかな?
滅茶苦茶に掘られているみたいで、変な突起があったり、無駄に穴が開いていたりしてる。
その無駄に空いた穴から水がぼこぼこ出ていたんで、何も考えず手ですくって匂いを嗅いでみると、無臭な気もするし、温度は温水プールくらいかな?人肌より少し温かいような感じかな?
そんな事をやっている俺を見て「あ、ちょっ!」とかカミサンが言ってたのに後で気が付いたんだけど、子供がいるから触ってるだろうし、その前に銀色の誰かも確認くらいはしてるから死にはしないでしょ?と言うと、「全く何にも考えてないんだから!」と怒られてしまったよ。
さらにいろいろ見てみると、どんどん上に上に掘られているみたいで上には空が見える。
上に掘ったんだろうなぁというのがわかる、ところどころに出来た小さく横に掘られた穴。
その穴を足掛かりに上に上に掘っていったのかな?と思うんだけど、その穴小さいんだよね。
きっとイデアが言っていた鉱山での作業の跡なのかな?と思うと、とても悲しくなってしまうよ。
そんな山も、いらなくなったらぽいっと捨てられて、そこで誰が何を思って働いていたかも思ってもらえないまま、誰にも気にしてもらえないまま、記憶から消えていく。そして、一つの寂れが連鎖して悪い方向へどんどん向かっていくんだよね。
そうやって町が寂れていくのなんか、俺らが住んでる日本にだってあるよね。大きい施設を作って使われなくなって、いろいろしようとするんだけど、あまりうまくいかなくて維持費だけで税金がバンバン使われていくなんて、一時期当たり前の様にあったからね。
ただ、何となくなんだけど、ここは再利用出来そうな気がするんだ。それにはいろいろ足りないけど、なんだろう?ここに来てから、結構「なんとかなる」って思ってる自分がいてね。
もしかしたら、自分がこの世界の人間じゃないからかもしれないけど、なんでもやってやろう!って気になってる自分がいて、年甲斐もなくワクワクしちゃうんだよね。
塩を持ってこの世界に来た時もそうだったけど、何も出来ないって思う会社員生活とは真逆な、滅茶苦茶な解放感を感じながら、あれもこれも出来そう、なんて考えながらブツブツ言っていると、カミサンが「また悪い顔してるよ」と言いながら近づいてきて、ペットボトルの麦茶をよこしてくれた。
それをありがたく頂きながら、ふと子供たちを見ていると、紙コップにつがれた麦茶をごくごく飲んで「ぷはー」なんてやっているので、改めてカミサンの存在の大きさにありがたさと感謝を感じるよ。
本当に自分と違って周りが見えていて、子供達の事もきちんと見えてるんだなぁなんて、俺にはもったいない奥様だよ。
でね、いろいろ考えたんだけど、まずは子供達の事からやっていこうと思って、俺とカミサン、そして魔法のかばんの中にいるマネックスで話し合って、いろいろ考えてみたんだよね。
まず、「子供をどうしよう」から。
ほっとけないから、いったん子供を連れて村に引き返して助言を仰ごうとしたけど、子供を助けた銀色の人が心配するといけない。
置手紙を書けばいいけど、残念ながらこちらの字で手紙を書ける人がいない(俺ら夫婦マネックスは言葉はわかっていても、こちらの字は全く読めない、子供達も小さいため字を書ける子がいない)
「村に行く俺」と「子供たちを守るカミサン&マネックス」に分かれ、俺は事情を話しに行き、村長さんとアデルのお母さんに助言を求めに行く。カミサンとマネックスはいざという時のためにスタンバイ。
マネックス曰く「奥様はそん所そこらの魔導士ではかなわないくらいの魔法センスがあるので大丈夫。いざとなったら、私にチェンジしてもらって剣も操れますから安心してください」ということなので、申し訳ないけどお願いしたんだ。
そうと決まれば!と思って、俺思いっきり走ったんだ。
ほら、俺魔法使えないじゃん!
だから走るしかないんだけど、こっちについてから、なんでか知らないけど、思いっきり走っも全く疲れないんだよね。さっきから全力ダッシュしてるんだけど、呼吸一つ乱れなくてがんがん走れちゃう!なんだか10代に戻った気がしてついついはしゃいじゃったよ!
ただね、ちょっと足が早くなった気がして、風が目に入って痛いのよ!
本当にどうしょうもなく痛いので、ちょっとスピード落としたけど、今までこんなんなかったからわかんないよ。せっかくいい感じで走ってたのにぃ~
なんか「悔しいです!」
・・・・
・・・
「悔しいです!」ってとっても力の入った顔をする芸人さんを思い出して、真似しましたが、誰か見てないかなぁ?見てたら感想言ってくださいよー・・・え?先急げって?わかりましたよー ちぇーっ




