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フィギュアの女の子 その1

「ただいま。 今日もお疲れ様~」


小学生の息子が寝ているので、帰宅時はいつも少し小声。

それに答えるかのように「お帰り~」と言ってくれるカミサンに感謝しつつ、差し入れと言ってミルクティーを差し出すと嬉しそうに飲み始めた。


そんな様子を見て、ちょっと笑ってしまうと「私、そ、そんなに安くないんだからね」とツンデレ風に行ってくれるのを聞いて、思わずにやにやしてしまう自分。


付き合ってから早20年以上。


いろいろあったけど、なんだかんだ気が合わないとなかなか付き合えないよなぁと感謝しつつ、カミサンが用意してくれていたご飯を少しだけ頂く。


おにぎり食べてるから、おかずとお味噌汁だけ少し。


最近心なしか野菜が多めだけど、野菜大好きだし、自分の健康の事を考えてくれているのかな?


愛されてるのかな?とほっこりするし、もう少しいろいろしっかりやって家族を守りたいなぁ~とぼんりやり思っていると、玄関に置いた荷物を持ってカミサンが不思議そうな顔をしているのよ。


「えっと玄関にこれ置いてあったんだけど、珍しいねこんなの買うって」


そうだよねぇ 自分もそう思うよ。


普段、息子のおもちゃと言い訳して男の子が好きそうなおもちゃを購入することはあれど、美少女系のフィギュアなどは購入したことがない自分が、そういうフィギュアを持っていることに疑問を持ったんだろうね。


自分でも、なんでくじひいたのかわからないんだけどね。


まぁ隠すこともないし と、珍しいコンビニに入って、たまたま目に入ったくじを引いたら出てきたんだよ~なんて話をしたら、何故かメイド服の店員さんの事に食いつくカミサン。


そりゃそうだよね、一度メイド喫茶行ってみたいって言ってたもんね。ごめんよ。先にそれ系のもの経験してね。


ま、まぁ今度、行ってみようよ!と言うと、ぷぅと頬を膨らませるカミサン。


ご飯の後片付けをしながら、こりゃ、早々に行かないといけないよなぁ と思いつつ、ソファーにだらりと座り込みながら、当たったフィギュアを見てみる。


3等と5等二つだよね。


透明なプラスチックのパッケージに入っている3等フィギュアを見てみる。


タイトル部分に「イデア」ってあるから、きっと名前だろうな?

白髪かな?いや、設定的には銀髪なのかな?猫耳っぽいのが頭から生えているような感じで、お尻からこれまた白髪?銀髪の狐っぽい尻尾が生えている感じかな?


二頭身だからわかりにくいけど、衣装は作務衣のような上着にホットパンツかな?それらは薄汚れた感じの茶色。もう少し可愛い衣装だったらよかったのになぁと思い、パッケージの裏を見ていると、「イデア」と言う子の設定が書いてあった。


意外と凝ってるなぁ~


設定には

・剣と魔法が入り乱れた異世界の中、人間社会の中で奴隷として使われていた亜人の少女。

・何も力がないと思いながら奴隷として命令をこなしていた15歳の誕生日、突然体に紋章が浮かび自分に魔法が使えることがわかるも、それを使うすべがわからなかった。

・主人に夜伽と言われ襲われかけた時、恐怖から魔法が発動し今に至る。彼女の明日はどうなるのか?


なんかさ、こういうフィギュアって、そんな暗い設定とか書かないよね。


さらっと書いてあるけど、たぶんずっと奴隷として使われていたから綺麗な衣装じゃなかったって事だろうし、フィギュア良く見たらなんかところどころに切り傷みたいなのもあるよ。


どんな層狙ったんだよこれ!最初可愛いかな?と思ってとった俺の純粋な気持ちかえせよ!


ま、まぁ、そんな事言ってもしゃーないから、せめて自分の手元にあるうちは綺麗な洋服着せて、可愛いキャラクターとしていてもらいたいな~と思い、今度は5等の景品に手を伸ばした。


えっと、「魔法のかばん」と「旅人のマント」かぁ~

設定見てたら絶対に可愛らしい洋服にしたのにな。

我ながらチョイスの悪さに愕然としてしまったけど、仕方がない。


「魔法のかばん」は水色と白の二色の少し大き目な方掛けかばん。設定を見ていると、自分の魔法力の大きさ次第でいろいろなものを収納できるかばん、最低でも一部屋くらいのスペースがあり、手で持てるものなら収納可能。取り出す時は出すものを頭に思い浮かべれば品物が目の前に出現するって書いてあるよ。


便利でいいなぁ~

現実世界で魔法も何もあったもんじゃないけどね。


「旅人のマント」は鮮やかな水色が目を惹いたから手にしたんだけど、何か効果があるものではなく、一般的な装備らしい。

くじ引きとしてはハズレだろうけど、ま、いっかー


何となくだけど、このフィギュアを汚い格好のままにしておきたくなくて、5等のマントとかばんを開封したあと、3等のフィギュアを開封しようとしたらさ、


バチン!


うをっ!急に真っ暗になりやがった!

あれっ?カミサン?なんか料理してたっけ?

してないね。


仕方がないから、電気系統の様子を見に行こうとしたらさ、なんか声が聞こえた気がしたんよ。


「なんかいった?」「えっ?なんも言ってないよ?それより早くどうにかしてよ!」なんてやり取りをしながらカミサンが自分が座ってるソファーに近づいた時、それは起こったんだ・・・


開封されたフィギュアから、ゴゴゴ・・・って音と振動、そして強烈な光がでてるんよ。


なになに?って夫婦そろって慌ててると、気のせいかと思った声がはっきり聞こえてきたんだ。




『彼女の物語はある日を境に動きを止めた』


『しかし、今、封印は解かれ、時は動き出した』


『『『獣人イアスに幸おおからん事を!!!!』』』




最後の台詞が複数人による絶叫に聞こえたかと思ったら、多くの光がフィギュアに集まってきて、気がついたらいたんだよ!それが!!


あんだって?じゃないよ!


猫耳ふさふさ尻尾の女の子が生身の状態でソファーに転がってきたんよ!!!!


なにこれっ!

なんかのドッキリか????ワケわからんよ本当に!!!

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