救世主登場?その名は・・・ その2
「ななな、なんでゲームの世界のキャラクターがここに? ほ、本当に、ホントに、あのマネックス様なの?!」
「なんだ!!滅茶苦茶キザだけど、ちょーーーーーーーかっけーーーーーー!!!!」
「正直、かなり ”イラっ” とする・・・・」
目がハートのカミサンに、戦隊ヒーローモノを見るキラキラした目で彼?を見る勇気、そして、イケメソ滅びろ!な俺、悪かったな、心が狭くてな!
二人の反応はわかるのよ。
中世ヨーロッパの騎士のような、つばの長い羽根つき帽子に、銀色で統一された胸当て肩当てのセット。武器はレイピアと言う、the騎士と言った一式装備。
洋服はすらっとした赤を基調としたシンプルなものだが、それを引き立てる金髪のゆるいウエーブがかかった髪と、誰が見ても綺麗と言わざるを得ない、中性的で美形な完成されたフェイス。
そんな容姿のイケメンが自分のために白いハンカチを差し出す。こんなシチュエーションだったら、誰でもくらっと来るだろうなぁ~なんてことを思いながら・・・「「イケメン滅びろ!!」」・・・じゃなく、状況を整理しようとしていると、そのイケメソから話がはじまる。
「マドモアゼル、貴女は大きな間違いを犯している」
そう言いながら、ごく自然にカミサンが座っているソファーの脇に座り、カミサンの肩に手をかけながら話を進めていく。
・・・ぐぬぬぬ・・・
「貴女がやっていることは、無駄に貴女の命を散らす行為でしかない・・・方法を知っていながら黙っていて、貴女のような可憐な華をむざむざ散らすことは、私には耐えられない」
そう言うと、何処から取り出してきたのか?白くてかわいらしい花をカミサンのひざ元に置き、そっと膝に手を置きながら言葉を紡いでいく。
・・・ちくしょー絵になってるじゃねぇか・・・
カミサンがその行為に戸惑いながらも、顔を真っ赤にして「ですが、私には魔法の力もなければ、方法も知りません。私の娘が危険な目にあっているのに、母親として彼女をほおってはおけな・・・」と言いきる前に、イケメソ騎士はそっとカミサンの唇に指を置き、「大丈夫」とウインクする。
・・・俺・・・赤い涙を出してもいいですか?
いいですよね!!!!
「マドモアゼル ユキは、私の能力をわかっているよね」
イケメソ騎士はそんな俺と勇気の存在を一切無視して、二人の世界を作り上げている。
あ、息子が飽きて部屋に戻った。
「ばかばかしい・・・宿題やってくる~」ってさ、ねえちゃんに早く会っていっぱい遊ぶんだもんな、偉いな息子や。
「はい、まねする、発動時は”チェンジ”って言ってましたね、それと あわせる ですよね」とカミサンが言うと、正解ですとにこやかに微笑み、カミサンの頭を撫でる。
・・・俺・・・もうここから逃げ出したい・・・
本当なら「用件は早く言え!」なんて言うところだけど、このキャラクター確か物凄く扱いが難しかった記憶があるから、俺が口出したら絶対機嫌悪くするだろうから、我慢我慢。
そう思うと、イケメソ騎士はこちらをチラッと見て「わかってるじゃないか、粗暴な分際で」と、見透かし馬鹿にした声で言い、話を続ける。
・・・ぷ、プチ・・・ぐぬぬぬ・・・まだ我慢だ がまん・・・
「スキル「まねする」を使うには、真似する対象が何を思い行動しているのか考え、それに添って魔力を解放して行けば良いんだよ。そこには力は要らず、相手を想い寄り添う優しい気持ちがあればよいんだ ユキ。魔力は私のをお使い。さあ、少しずつ思い出してごらん、大事な人を」
そういうと、イケメソから光の糸がカミサンに向かって伸びていき、光の糸が二人を結んだかと思ったら、急にカミサンの周りを光が回りだし、光が徐々に強くなっていった。
光の中心で二人は話をしている。
先ほどまでのチャラい言葉とは違い、子供を見守る父親のように、時に褒め時に叱り・・・というような事をしているのを見て、少し感心するも、俺は見てるぞ。
・・・なんだその手の握り方は!恋人同士の手の握り方じゃねぇか!!!!!くそっくそっくそっ!!!!!!
そしてその光が徐々に消えて来たかと思った瞬間。
「「チェンジ!」」
と二人の声が重なって聞こえてきて・・・目の前が真っ白になってしまったんだ・・・
・・・・
・・・
・・
「出来たよ!私出来たよ!!!」
カミサンの声と、激しく俺を揺さぶる手に気が付き、起きようとするも頭がふらふらして立てない。
・・・どうやら俺は気を失ってしまったらしい・・・
目の前にはカミサン?
いや?イデアと思えるような雰囲気を持つ人物が自分を心配そうに見ている。
なんだろう?カミサンとイデアを足して2で割ったような、そんな雰囲気を持つ人物に違和感を覚えたが、それ以上に思ったのが
、
ここ何処だ???
さっきまでうちにいたはずなのに、なんでこんな森の中にいるの?俺ら???
「えっとね、あれからチェンジのスキル?魔法を使って、イデアの姿になって、イデアの記憶が少しだけ見えてきたから、記憶をたどって「移転」の魔法使ってみたのよ!そしたら、ちょっと失敗してね」とテヘペロするイデアもどき。
あ、この反応間違いなくカミサンだなぁ~と思っていると、あ、そうそうと、何やら魔法のかばんをガサゴソはじめた。
取り出したりますは、すぐに食べれるタイプの冷やし中華っすよ!そこにダバダバ~っと、大量のゴマをかけてだな~これがまた美味しいんだ~なんて現実逃避しちゃったらさ、本当にその場で食べてるのカミサン。
「えっとね、この世界だから使えると思って。その冷やし中華の上にかかってるゴマっぽいの、残さず食べてね!それが目的なんだからね!」と言われ、よくよく見てみると、ゴマじゃなくて何かをすっていれてあるようだ。
あれっ?なんかピンと来たぞ!これって・・・
「うん、それ!すばやさの種、体力の種、知力の種に腕力の種など、ゲーム上でいろいろな能力を上げる種シリーズよ! 適当にいろいろとってすったから内容はわからないけど、全部食べてね!これ食べたら、ちょっと確認してから、すぐに現実世界戻るからね!」
そう言うと、まだ冷やし中華をズルズル食べまくる。
相変わらず無茶するなぁ~なんて思いながらも、どこか憎めないイデアの姿をしたカミサンの隣にそっと座って冷やし中華をズルズルする俺。
異世界に来た実感もなく、すぐに戻るって言われもね。
でもさ、なぜかいる森の真ん中で、丸太に腰かけて食べる冷やし中華もなかなかうまいね!
いろいろな能力を向上させる種を必死に食べながらも、今度はカミサンと息子、そしてイデアと4人で公園でこんな事が出来たらいいなぁ~と思う俺。まずはカミサンのいう事を聞いてガツガツ食べないとなぁ~
もりもり食うぞ~!!!