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コンビニ アルテミスにて

「あーあぢぃー 地味にダメージくるわー」


そんな事を言いながら、車を走らせ家路を急ぐ自分はただのサボリーマン42歳。


なんの取り柄もなく、出世欲もないまま同じ仕事を続けていたら、徐々に貧乏くじを引かされるようになり、仕事は誰もやりたがらない夜勤固定。


お偉いさん方が考えた現場軽視の施策のおかげで頭を下げまくり、ストレスから髪はどんどん抜けていく毎日・・・昔流れていたコマーシャルで「抜けてわかる、髪は長い友」なんて台詞を思いだしついつい自虐的に吹き出してしまう毎日を送ってる。


今の職場に配属されてからはや9年。

通勤は車を飛ばして約2時間、慣れたつもりだけど、途中どうしてもお腹がすいてしまうので、気がつけば、気になるコンビニに入ってちょっとした軽食を購入するのがマイブームになってしまった。


『買い食いはほどほどにね』と優しく言ってくれた産業医のお姉さんに申し訳ないと思いながら、ぽっこり出てきた脂肪リングを見ないふりして、今日もコンビニへふらふら寄ってしまう意思の弱さが恨めしい。


ん?


あれっ?


えっと、あんな所にコンビニあったかな?

いつも通ってる田んぼ道だった気がしたんだけど、どこかで道間違えたかな?


ん?『コンビニ アルテミス』?


色々なコンビニが乱立する中、なかなか聞かない名前だなぁ 何か面白いものもあるかもしれない。

全く知らないお店に入るのはちょっとスリルがあるけど。

ま、まぁ~これも縁だし、ちょっと寄ってみるかな?


駐車場は5台分、山小屋をイメージしてるのかな?と思いながら、木目調を基調をしたデザインの外装のお店に入っていくと、中は昔の喫茶店のような良い意味で古い感じ。


何処かの観光地にあるお土産屋さんをコンビニ風にしたらこんな感じなのかな?なんか面白いなぁ~なんて思いながら店内をくるっと回ってみる。


そういえば、前に何かに特化した商品を置いたコンビニがあるって聞いたことがあるからそれを真似たりしてるのかな?なんてことを思いながらも、ところどころに「山賊」って名前の商品があるのに気がつく。


3種の具が混ざってる山賊おにぎり、サンドイッチ、ハンバーガー。

三種の具材や麺が入っている山賊そば、うどん、ラーメン・・・

山賊愛用タオル、くつした、下着 etc


う~ん


一応山賊って犯罪者だよね?お店の売りにしちゃっていいのかなぁ~なんて思っていたらここにもあるのかぁ『有料くじ引き』


気が付いたら色々なコンビニで行われるようになっていた有料のくじ引き。

可愛いキャラクターの人形やぬいぐるみ、キャラクターにちなんだ文具類やタオルなど、よくもまぁいろいろ考えるもんだなぁ~って思いながら、色々な品物が出ているのを見てるんだ。なかなか手を出せないけど、きっと好きなんだろうな、俺。


ん?「異世界美少女コレクション?」

う~ん俺、美少女フィギュアとか全く興味がないんだけどね、なんだろう?なんか惹かれるなぁこれ。


ナニナニ?「幻想世界で活躍?する 美少女コレクション第一弾!」「集めて楽しい世界観付き背景」「伝説の武器や魔導書など各種あり、オリジナルの世界観を演出してみませんか?」「オープン記念価格600円のところ 今なら一回300円!」


なんかずいぶんとまぁ推してるくじ引きだなぁ。これ。

あまり店がくじ引き推すってないから、このコンビニの系列店のオリジナルか?すげぇなぁ。


一等二等のフィギュアはリアルで大きいから持つのが恥ずかしいけど、三等の二頭身キャラ、手のひらサイズで、デフォルメされた可愛らしい感じでなんか好きだな~あまりアニメは見ないから元ネタはわからないけど、ちょっと買ってみるかな?


えっと、くじ3枚。

山賊おにぎりとお茶。

カミサンと息子にミルクティーっと、こんな感じでいいかな?


えっと、すいません~、すいません~


ありゃ、品出しとか忙しいんかな?店員さんこないなぁ


「あ、すいません、お待たせいたしました。いらせられませ~ コンビニアルテミスへようこそ~♪」


・・・


えっと、


ここコンビニですよね、きっと。


な、なんで目の前にメイド服のおねいさんがいるんですか!

一頃前にメイド喫茶とか、メイド居酒屋なんて流行った時期は知ってるけど、メイドコンビニなんて俺はじめて見たよ!


昔ながらのメイドさんらしい、慎ましい感じのメイド服だけど、それを着ている目の前の方は金髪ロングヘアーで鼻は高くハッキリした顔立ち。身長170半ばの自分とあまりかわりない背で、目の前にある二つの山がしっかり主張してるもんですから、ついつい引き込まれる様に見てしまったら、何か不思議そうにこっちを見たんで、慌ててお会計をお願いしたよ。


食べ物系をレジ通してもらい、袋に入れてもらいながら、つい忘れてしまっていたくじをお願いすると、おねいさん、一瞬目を輝かせたかと思ったら


「し、少々お待ちくださいませ!!!」


って、慌ててバックヤードに引っ込んでるの。


聞いたこともないくじ引きシリーズだから、店員さん戸惑っちゃったかな?悪いことしたなぁなんて思っていたら、ハアハア言いながら全力ダッシュで戻ってくるのよ。


「お客様ありがとうございます!店長イチオシ商品なんで本当に嬉しいです!是非とも一等当てて下さいね☆」


いや~俺、三等の可愛らしい二頭身キャラが気になってるんですけどね・・・なんて言いながら、くじを三回引くと・・・


「残念・・・三等の二頭身キャラ ひとつ」


「残念・・・五等、キャラクター付属品 ひとつ」


「ぐぬぬぬぬ・・・残念です。五等、キャラクター付属品 ひとつです・・・残念・・・」


おっ、思った通りの組み合わせについつい笑顔になると、何故か悔しそうにしてる店員さん。俺、何か悪いことしましたか?景品出すのにため息つかないで下さいよ。


後ろに一度が並ぶといけないな?と思いながら、適当に景品を取り、「今度は絶対一等当てて下さいね!」なんて必死に言う店員さんに半分ドン引きしながら、逃げるように店出たけど、あれ?なんだったんだろうな?

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