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理想都市ノア  作者: 伊佐伊波
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序章Ⅰ

2053年、資源の枯渇による多数国々間での戦争が世界中で開戦される。

 2054年、およそ2年間にも及ぶ世界中を巻き込む過去最大規模の大戦が勃発する。後に人々はこれを第三次世界大戦と名付けた。この戦争により人類の約七割、四十九億人を超える多くの命が失われた。

 2057年、世界中の国々が平和条約を締結。

 2058年、全世界のあらゆる人を対象にした個人ナンバー制度が実行される。また、全国家間総出の大きなプロジェクトが計画、および開始される。

 2060年、全世界了承、協力の上、プロジェクトが完成する―――――――――――





 




 3,006,638、7,450,921、298,710……


 もう既に見慣れたそれらの多くの無造作な情報は、頭の中で半ば機械的に優劣の識別へと変わる。

 そう、今この通りを行きかっている人々はまさに多種多様であり、無規則であり、一般的視点から見て混沌としている。

 しかし、人々の脳内で注目される点はそこではない。

 人々の眼が捉えて止まないのは、もっと奇異でいつ見ても見慣れない、人間のある種の本能を刺激する”行きかう人々の頭上に在る、まさに空間に浮かんでいる数字”と称するのが相応しい数列で綴られた1つの情報。


 誰もがこの羅列された数列を不躾には見ずとも、気になる気持ちを抑えられず、次から次へと川のように流れるそれらの情報に一瞥を繰り返す。

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も―――――――


 


 そして、青年もそのうちの一人。

 

 流れゆく情報に目を奪われては心の奥で安堵し、歓喜し、落胆し、絶望し、失望し、優越に浸り、はたまた劣等感に苛まれる。


 一刻一刻とまさに器用に変化していく己の心情に、青年の心はより疲労に憑かれ、陰気で陰湿で陰鬱な青年へと成り果てていくのだった――――――――

 

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