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イマゴロセツナ 詩集

植物人間の薔薇の花散れど 君を愛す

作者: keisei1

冬眠カプセルの中の 薔薇の花と眠る

植物人間の君の美しさを 血塗られた

僕の掌の中で 許されるならば 包み込んであげたい


泥に塗れたこの地球の片隅 

薔薇の花が散れど なけなしの涙で君を愛す


ガラクタになったオモチャ箱の中

笛を吹くアルルカンのおどけぶりが

やけに切なく映り ツンドラの果ての凍土が

君がはしゃぎ疲れる頃 溶けていく


それにしても今は動かない君だからこそ

美しい


冷凍カプセルの中の薔薇の花を抱く

植物人間の 君の動かないその華奢な腕でさえ

血で汚れた僕の人生の欠片で 握りしめてあげたい


土に埋もれたこの星の片隅

薔薇の花が散れど 渇いた唇で君を愛す


ポンコツになった廃車の中 

ぎこちなく動くハンドルが

無性に愛しく映り 北極の果ての流氷が

君が泣き疲れた頃 溶けていく


それでもやはり

今は指一つ動かない君だからこそ

美しい


冬眠カプセルの中 薔薇の花と戯れる

君の化石にも見える細い体でさえ

血で濡れきった僕の その骸の両手で抱きしめてあげたい


涙に埋もれたこの大地の底で

薔薇の花が散れど 死体となったこの体で

君を愛す


切なくも悲しくもある

寂寥としたスカイツリーで出逢った

あの老婆の涙を誘い 

時に心に穴が開く 遺言の通り

僕はこの地球の 化石燃料が完全に尽きてしまうまで

君を愛そう





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