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先生に見つからないように列から離れるのは割と簡単だった。

事前に調べていたらしい男子の後に付いていき、大人コースに足を踏み入れる。

他のみんなの声が遠くに響いている。

えっちゃんとあたしは手をつないで、周りをきょろきょろ見回していた。


コースは割と緩やかで、たまに急な坂があるくらい。


「あのでっかい木の付け根に洞窟があってな。

そこが秘密の場所なんだ」


地図を持って歩く一人が自慢げに指を差す。

その方向には、確かに大きな太い木が生えていた。

けれどそこはかなりの急斜面で、地面に這ってあるねっこや木の枝を掴んで、ようやくたどり着けた。


「暗いねぇ…」


「わくわくすんじゃん!行こうぜ!」


暗くて、じいちゃんが背を少し曲げて入るくらいの天井。

ずんずんと進んでいくに連れて、いよいよえっちゃんと手をつないで、二人並べなくなるくらい横幅が狭くなった。


私が自然と最後尾になり、暗がりの中、進む。


「あ、光だ!」


前方に洞窟の出口が見える。

向こうはどんなだか逆光で見えない。



ふと―――


『女の子じゃねーか』


声がして、振り返った。



「ほんとだぁ」


「…信じがたいのぅ」


言葉を失う。

あたしは今まで暗い洞窟を歩いていた。



それなのに今は、


草の上に立っていたのだ。


「…………、え」


混乱する。

まるで白昼夢みたい。でもどっちが、夢?

洞窟?それとも今が?


「マジかよ」


「だが、反応は続いている。

この子が……そうだ」


それぞれ口にする男の人達。

彼らは四人だった。

一人は、あたしより少し上の男の子。

一人は、じいちゃんよりもっと年をとっている白髪の老人。

一人は、髪を一つに結んだ、赤髪の男の人。

最後の一人は、怖い目をした男の人。赤髪の人とさほど変わらない年みたいに見える。


その四人が、一斉にあたしへ視線を向けている。

値踏みするような目。


「…あの」


「皆それぞれ一言あるかとは思うが、彼女が女神のご意志だ」


いたたまれなくなって、声を出したのに。

強い目をした男の人が周りをなだめるように言う。


でも…何を言っているのか、理解ができない。


女神って……


「彼女こそ、女神と心通わせし

《偉大なる雲使い》だ」



そして彼ら四人は、あたしに向かって頭を下げた。





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