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清き風の物語~見守っているからね~  作者:
第二章:学園潜入調査
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2-1


 綺麗に整列されている机に座っているのは、30人ぐらいの聖徒さん達。

 そのみんなが羽津香の方を見て、あれやこれやと騒いでいる。

 やっぱり、転校生ともなると注目度が全然違ってくるね。

 所々から「あれって主席メイドさんじゃない?」なんて、潜入捜査台無しの台詞が聞こえてくるけど、そこは強引に無視するしかないよね。


「今日から、この聖フォルッテシモ学園でお世話になる、アクエアリ・羽津香です。チャームポイントは、このおでことおむねとおへそにつけたキュートな三色の宝石です。皆さん、よろしくお願いいたします」


 さて、それではここでおなじみの用語説明だよ。

 聖フォルッテシモ学園は、旧歴史においてこの世界を侵略者”エデン”から守り抜いたとされる聖天使ブルースカイ・アークエルを称えるために作られた由緒ある神学校であり、フォルッテシモ神国においても、最大の学園であり、国中からこの聖フォルッテシモ学園に入学するべく毎年数え切れない人々がやって来ているらしい。

 国の名前と同じ学園だもんね。それはレベルが低いわけがないよね。

 レベルが低かったら七美のせいにしてやるのに………。

 自己紹介が終わって、担任の先生が窓側の一番後ろの席に座るように指示された。

 言われたとおりの席に座って鞄から教科書を取り出していく。

 羽津香はこの若さで、王国の主席メイドにまで上り詰めた天才なんだよ。

 学校には通わずに幼少の頃から家庭教師が付ききりで猛勉強をしていたから、学校に通うのって実はこれが初めて。

 もう今朝から、うきうき上機嫌で、潜入捜査の事を思わず忘れてしまいそうになっているぐらいだよ。


「羽津香の名前は、アクエアリ・羽津香って言います。今日からお隣同士ですね。よろしくお願いいたしますね」


 隣の席に座っていたのは、見るからにおとなしそうな男の子だった。

 羽津香が急に話しかけたことに驚いているのかな? 目をおどおどとさせながら、囁くような小さな声で自己紹介をしてくれたんだよ。


「イフエティー・真瀬です。すみません、こちらこそ、よろしくお願いします」

「何を謝っているのですか。謝るのではなくて、笑いあいましょう、イフエティー」


 躊躇なく右手を差し出して、イフエティーに笑いかける。

 イフエティーはやっぱりおどおどとしていたけど、ゆっくりとした動きで手を差し出してきてくれた。

 羽津香は暴力的な七美とは違って、安全だからそんなに怯えて無くても大丈夫だよ。

 イフエティーの小さな手と羽津香の温かそうな手が触れ合って、二人は友達になったんだよ。



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