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清き風の物語~見守っているからね~  作者:
第一章:始まりの出会い
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1-2

 羽津香がこの国の主席メイドさんであることは既に教えたよね。

 メイドさんって言うのはそれだけじゃ成立しない。

 メイド服とか必要な道具も、もちろんあるんだけど、メイドさんがメイドさんとして成立するにはなんと言ってもご主人様が欠かせない。

 ご主人様のいないメイドさんなんて、新郎さんのいない新婚さんみたいなもんだよ。

 なので、羽津香にももちろん、ご主人様がいます。

 これまでに何度も名前が出ているから、もう分かっていると思うけど、羽津香のご主人様は、クリスティーナ・七美っていう、このフォルッテシモ神国の現国王様なんだよ。

 国王だけど、ひげを蓄えた中年おじさんとか想像しちゃ駄目だよ。

 七美って綺麗な漢字からも連想できるかもしれないけど、それはもう、もの凄い美女なんだよ。


「それで、羽津香はサルティナをみすみす見逃したっていうんだ?」


 でも、今の七美はお冠状態で、頭に鶏冠が生えてしまうんじゃないかってぐらいに顔を真っ赤にしているんだよ。

 折角に美貌が、これじゃ残念な結果になっちゃうよ。


「七美、ただでさえお仕事忙しいのに、そんなに眉間にしわ寄せたら、後でお手入れが大変ですよ」

「話をすり替えようとしない!!」


 怒号一声。

 七美の蹴りが羽津香に直撃。

 しかもこの蹴りは風の力を宿していたからその威力は羽津香比10倍はある、殺戮キックだ。

 受け身なんて取る余裕なんかなく壁に頭がめり込む程に吹き飛ばされてしまった。

 ううう、商店街での顔面キッスに続き、今日の羽津香は良く顔をぶつけているから、痛くて仕方ないよ。


「う~~~。すっぱ。もう、いきなり何するんですか、七美。メイド虐待で訴えますよ!」

「うるさい、うるさい、うるさい。先に痛めつけてきたのはキミの方だろう。何だよ、今朝の衝撃は。凄くいたかったんだからね」

「だって、あの場合はああやって風を蹴り砕くのがもっとも効率的だって、羽津香は判断したのです!」

「その衝撃がどうなるか考えないって言っているんだよ! 公務中に転ぶだけならまだしても、スカートがめくれて………その…下着が……丸見えになって………凄く恥ずかしかったのよ!!」


 スカートがめくれて下着が丸見えになった七美の絵は是非ともみんなにも見せたい所だけど、それはまた別の機会って事だね。

 視点が羽津香固定から変えられないからね、過去に戻る訳にはいかないし………残念だけど、こればかりはしかたない。


「分かっているの、羽津香? キミのつけた、そのエデンの宝石と繋がっている一人は、このボクなのよ!!」


 エデンの宝石。

 それがね、羽津香がおでことおむねとおへそに埋め込んでいる三つの宝石の総称だった。

 おでこに埋め込まれた真紅の宝石が、エデンの真紅石。以下、おむねに埋め込まれた蒼天の宝石が、エデンの蒼天石で、おへそに埋め込まれた黄金の宝石が、エデンの黄金石と呼ばれている。

 エデンって言うのは旧歴史においてこの世界を破滅寸前にまで導いたとっても危険な存在の事だ。

 みんなしっかり覚えていてくれたかな? ちゃんと覚えておいてねって言ったよね。

 この世界でもっとも恐れられて忌み嫌われているエデンの名を冠した魔具、エデンの宝石。

 これは旧歴史においてエデンが使用した侵略兵器の遺産であると言い伝えられていたんだ。

 何千年にも渡ってフォルッテシモ神国が厳重に封印してきたのだけど、二年前、サルティナであった清風がエデンに覚醒した際に、封印が解かれてしまった。

 その後、清風が七美によって封印される際に羽津香がこのエデンの宝石の装着者になってしまったの。

 エデンの宝石は魔具とされているけど、身につけた装着者が呪われる訳じゃない。

 ただ、エデンの宝石の装着者はその感覚の三分の一を、宝石を握り締める主と強制的に共有してしまうんだよ。

 こんな風にね。


「そんな事は七美に言われなくたって、この羽津香が一番よく分かっているのですよ。えいや、そんな七美にはこうしてやるのですよ」

「あ、痛たたたたた。やめなさいよ、羽津香。何、自分で自分の脚つねっているのよ。痛い、本当に痛いから、止めなさいよ!」

「あううう、羽津香も痛いよ~~~~。この攻撃は本当に、自爆攻撃だよ~~」

「なら、早いところ、止めなさいよ!!」


 風の力によって強化された蹴りが羽津香を一蹴。

 そのまま窓を突き破って、外へ放り飛ばされてしまった。

 落下しながら見る空は、とても澄んでいた。


「きゃああああああああああ、おちしゅ~~~~~!!」



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