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この通路を歩くのは、何日ぶりになるのかな?
寝静まった廊下を足音も立てずに歩いていく。
通路の脇には、等間隔に配置された蝋燭が揺らめいている。
ここは、王宮の中。
本当なら指名手配中の羽津香が堂々と王宮の中を歩いているなんてばれたら一大事なっているはずだ。
だが、羽津香は夜な夜な七美の処女を狙っている。
王宮の外から、七美の寝室まで、警備兵や他のメイドさん達に気づかれずに、進入するなんて朝飯前に等しい。
「はああ、七美は相当にご立腹なのでしょうね」
おへそに埋め込まれているエデンの黄金石を一撫でして、羽津香は小さくため息。
「でも、プリセマリーもイフエティーも助け出すためには、なんとしても七美の力が必要なのです」
気合いを入れるようにガッツポーズをしてみせて、七美の寝室のドアを開こうとした瞬間、
「はへ?」
寝室側から突風が吹き荒れて、扉を壊してしまった。
「きゃあああああ」
吹き飛ばされた扉は一直線に羽津香に迫ってきた。
それも、今まさに扉を開こうとしていた、その瞬間にだ。
このタイミングでは避けようがなかった。
扉諸共、そのまま反対側の壁まで。突風に吹き飛ばされてしまう。
「あいたたた。もう、いきなりなんて事をするんですか、七美!」
頭をさすりながら、不平を言ってみせると、
「ぶっげし」
もう一発、突風が襲いかかってきた。今度も直撃だ。
がつんと後頭部がまたしても、壁に激突し、目の裏でお星様がきらきら輝いている。
「まったく、キミは国中に指名手配を出したというのに、よくものほほんと返ってこれたものだね」
ドンと、羽津香の頭の真横にさらさらのシルクのように真っ白なおみ足が叩きつけられた。
見上げてみると、左足を振り上げている七美のパンツが、丸見えになっていた。
「七美………下着が丸見えですよ。一応は、一国の国王様なのですから、もう少し恥じらいを持たない………」
折角、恥じらいが欠けている国王様に忠告して上げたって言うのに、七美は聞く耳を持ってくれなかった。
怒りで顔を真っ赤に染めると、そのままボールを蹴るかのように羽津香の顔を蹴りつけてきたんだ。




