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命題と恋愛

pre-命題と恋愛

作者: 高居望

 「君の生きてる理由わけってなに?」


 こんな類の命題は高校生ならば誰しもが抱くであろう。

 (そういうこと)に興味があり、なおかつ親しい友人との会話になら出てきてもおかしくはない。

 オーケイオーケイ、何の問題もない。

 しかし・・・それが見知らぬ人からの唐突な質問であったなら。




 驚いた。メッチャ驚いた。

 (生きる理由)だって? え?え?どういうこと。

 しばらく頭が真っ白になったが、いつまでもそうしているわけには行かない。

 とりあえず落ち着くために状況整理。ーー



 まずは現在位置から。公園、近所にある広くも狭くもない公園。

 時刻は5,6時頃、今は夏なので大して暗かったりはしない。

 一応自分ついて。高校生、ちょっとした進高校の学生。(自分の脳内で自分の説明をしてしまうほど混乱している)


 そして・・・考えれば考えるほどに自分の小ささ・無力さを味わうであろう問いを投げてきた相手、僕をとてつもなく驚かせたビックリ大魔王について。

 まず相手に目を向ける。なるほどなるほど・・・女の子だ。

 背は160ほどで髪は黒髪ポニーテール、服装は涼しそうな水色ワンピースに白いスニーカー。

 勝気な感じだが、テレビに出ていてもおかしくないような可愛らしさ。

 近所に住んでるのだろうか、少なくとも僕は今まで一度も見たことがない。



ーー状況整理終了。そして思考・・・

 よし、家に帰ろう。

 こんな質問をしてくる娘なんて十中八九痛い人だろう。僕がかまってやる義理なんてない。

 まぁ確かに可愛いけど、だからイタイ人とかかわるリスクを考えると、ここは帰っ・・・

 「いつまで黙ってるのよ。聞こえてるの?」


 透き通ったきれいな声が流れてくる。

 割り込まれた。思考への割り込み。

 徐々にイライラしてきているように見える、いや明らかにイライラしている彼女が言う。

 

 「言っとくけど、無視して帰ろうとしたら叫ぶから。そしたら・・・どうなるかしら?」


 脅された。脅迫された。

 正直こっちに非があるわけじゃないんだから問題は無い気がするけど、ここは自宅の近所。

 下手に揉め事を起こすのは面白くない。

 

 「それは困るんだけど・・・」

 「じゃあ謝りなさい」


 「えっ?」

 「当然でしょ。黙り込んで私の時間を浪費させたのだから」


 (だったら話しかけんな。時間がもったいないなら、家帰って飯食って寝とけ)

 と頭の中では思ったが、実際に口にする勇気は無い。


 「・・・すみませんでした!!」

 「しかたないわね。いいわ、許しましょう」

 

 謝った。

 これで逃げることも無理か。インポッシブルだ。

 仕方ない。こうなったらやけだ。

 正直この”Sっ気生意気娘”に興味が無いわけではない。

 もしかしら、なかなか面白いことになるかもしれない。

 この退屈な人生の中の貴重な娯楽。

 

 「それに答える前に、僕からもいくつか質問があるんだけど・・・」



 逆質問戦法。答えるのが面倒なら、こっちが質問してしまえばいい。

 相手が面倒になって去ってくれれば一番うれしい。


 「いいわよ。なに?」

 

 いいのか。だったら仕方がない。

 彼女が飽きるまで辛抱するか。


 「僕の名前は十坂春じっさかはるって言うんだけど、君は?」

 「間淵幻まふちおとぎ


 「どうして僕に話しかけてきたの?」

 「君に興味があるから」


 「・・・どんな?」

 「私に似ている気がしたから、人生を退屈だと思ってるところとか」


 「・・・そうかい」

 「そう」


 「・・・」

 「・・・」


 「好きな食べ物は?」

 「鳥のから揚げ」

 

 「趣味は?」

 「散歩と読書」


 「どっち利き?」

 「右利き」

 

 「・・・・・」

 「・・・」


 「・・・・・」

 「・・・」



  負けた。これ以上質問が思い浮かばない。


 「聞きたいことってそれだけ?」

 「あ・・えっと・・・」


 往生際悪く足掻こうとする。


 「・・・おとぎちゃん何カップ?」

 「・・・・・・」


 「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・最低ね」


 あう。ミスった。滑った上に嫌われた。


 「今の発言訴えさせてもらうかもしれないわね」

 「ええっ?」


 ヤバい。この娘なら本当にやりそうな気がする。

 僕の社会的立場が無くなる。ジ・エンドだ。

 どうする僕?


 「あの・・・どうすれば許していただけるでしょうか・・・」

 「許してほしいならまずどうするの?」


 「すみませんでした!!」

 「誰に言ってるのかしら?」


 「幻さん、すみませんでした!!」

 「様で呼びなさい」


 「幻さま、すみませんでした!!」

 「・・・本当にやるなんて(笑)。まあいいわ。条件付で許してあげる」


 なんか面倒なことになるフラグが・・・

 仕方ないか、これが可能な最善の手だ。


 「一度しか言わないからよく聞きなさい。条件其の一・・・」



 彼女の出した条件をまとめると次の3つ


 1、週に一度何かしらの命題についての討論

 2、学校へ一緒に登下校すること

  (彼女はこの町に引っ越してきたらしく、僕と同じ学校に転入するらしい)

 3、上の2つを高校卒業まで(あと約半年)守ること


 なんか列挙してみると僕にとってもそれほど悪いことのように見えないから不思議だ。


 そして彼女の最後の言葉

 「私が最初に言った命題は、あくまであなたが私のパートナーに適するかの試験テストだから。

  あれは最後の一つ前の命題、つまりだいぶ後に取り組む命題ね。今週の命題は別のものよ。

  命題は決まったら報告するから、携帯番号とメールアドレスを教えなさい」




 こうして僕のその後の人生に大きな変化をもたらすかのじょとの不思議な出会いを経て、今僕がいるのは自宅。

 自宅といっても、それはあくまで自宅であり実家ではない。

 何が言いたいのかというと、僕は学校の寮暮らしなのだ。

 まぁ、僕の通っている学校は学校の施設が充実しているおかげでほとんどが寮生なのだが。(彼女こと、幻も同様に)

 

 なんて考えていると、携帯が着信音を鳴らしている。(着信音の専用設定を強制されたので、誰からかはすでにわかっている)

 なんとなくため息をしてからメールの内容を確認。以下文面


    春君へ

 初メールですね^^

 これからよろしくです

 今週の命題ですが、学生であることも考えて

 「なぜ勉強をするのか」にしたいと思うのですが、

 どうでしょうか。

 お返事舞ってます。

        幻より

  ps-先ほどの何カップかとう件ですが、どうしても知りたいなら

     お返事にその旨を書いておいてください


 ええぇ~(驚)こんなキャラだったっけ?

 明らかにキャラ変わってるけど、二重人格なの?

 psとか、旨と胸のギャグかよ!

 これは何かの罠かと訝≪いぶか≫りながらもメールを送信する僕。

 追伸の件はどうしたかはご想像に任せるとして

 これが僕と彼女の出会いであった。

 高居望です。初めて書いた小説なので、感想などいただけたら幸いです。

 この小説の終わり方はこの後も話が続くようになっていますが、続きはたぶん書きません。書けるような終わり方にできませんでした(笑)

 最後に、この作品を読んでくださった読者の方々ありがとうございました。

 ps-この小説は何ジャンルなのでしょうか?(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白いっ!! 2人の行く末が気になるから、是非とも続編をお願いします!! せや、「携帯番号」が「形態番号」になっとるで~
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