◇ ◇ つづきのつづき ◇ ◇
◇ ◇ つづきのつづき ◇ ◇
そのあと、アング殿下はある事ない事…というよりも、私がした注意などを拡大解釈して悪質と表現して並べたてました。
当然私の反論の番です。
「私は、『淑女たるもの、不用意に殿方に体を触れさせるものではない』と注意したり、『人前で大声で笑わないように』注意したり、『廊下を大股で走らないように』注意しただけです」
「ふむ、と申して居るが」
「いっ、言い方が悪いと言っているのです。それはそれはひどい罵倒であったとアイリスから聞いております。
しかもアイリスが涙を見せているのに構わずに罵倒するなど、許されることではありません!
これに関しては証人がたくさんおります」
「うむ、では証人に問うとしよう。
証人は前に」
証人とされていた貴族の子弟が陛下の前に進み…出るのはちょっと無理みたいですね、膝が笑っちゃってます。
なので引っ張り出されてますね。
「では証人よ、そなたが見たことを正直に話すがよい」
「まず、クラウディアがアイリスを罵倒していたという証言だが?」
「はい、はい、その、クラウディアさまが、アイリスさんを、その注意して、言い方がきつかったと…その」
殿下が勝ち誇ったように鼻の穴を広げています。
「もう一度聞くぞ、その注意の仕方は罵倒と呼んでいいものなのか?」
「証人はちゃんと考えなさい。あなたが話しているのは我が国の太陽、国王陛下ですよ。国王陛下に嘘や、ごまかしを述べればそれだけで大罪です。
見たことを、正しく、正確に証言しなさい」
「ひぃっっっっっ。お許しください。クラウディアさまは普通に注意していただけだと思います。
アイリスさんが『そんなことできないもん』『わからないもん』と泣きだして、クラウディアさまの方が困っていましたーーーーーっ」
「だだだって私には難しいんです、できないことをやれとか言われても困るんです。いじめです」
ちゃうやろ。という空気が場に流れました。
そのあとも証人たちの《《正確な》》証言で、いじめ疑惑は払拭されたんですが…
「確かにいじめというには無理がある話だったかもしれない。しかし、人にはできないこともあるのだ。
それを無理やりやれというのは、やはり人の心がないと言わざるを得ない」
「アング殿下!」
殿下が高らかに吠え、アリシア嬢がひしと縋り付きました。
分かっているんですか?
そのできないことをやらないとあなたたちはすべてを失うんですよ?
「アングよ、これで分かったであろう。
そなたは言いがかりをつけクラウディアとの婚約を一方的に破棄しようとしたのだ。
非はそなたにある。
よって、ここにクラウディア嬢には何の瑕疵もなく、責任がアングにあることを明言する。
そしてアングにクラウディア嬢に対する賠償を命じる。これも、王子としての歳費から出すように」
「ななななっ、なぜですか!」
「そなたの罪だ、そなたが責めを負うのは当然であろう?
だが、そのほうがいちいち支払うのではちゃんと支払いがなされるのか心もとない。
クラウディア嬢への賠償は国が行い、その分をアングに求償するものとする」
王陛下が私に提示してくれたのは結構な額でした。
これって、アング殿下の好きに使えるお金って残ってないのでは?
その後、証人たちはいい加減な証言をしたかどによって厳重注意を受けました。
多分出世は難しいかもしれませんね。
そして側近たちは全員罷免されました。
「なぜですか!」
この人たちは何を考えているんでしょう?
「そのほうたちはアングのブレーンとしてアングに助言し、正しい道を導く助けとならねばならねばならぬはずであった。
にもかかわらず、アングに同調し、罪の捏造、不義の支援、そしてまったくの無反省。
何かをやらせて役に立つとも思われぬ」
王太子(今となっては元)の側近候補から罷免されるということは、この国において一流たり得ないということです。
彼らのキャリアは始まる前から断たれましたね。
きっと実家の方でも厳しい対応が待っていることでしょう。
あっ、ちなみに側近たちを選んだのはアング殿下です。側近を選出し、育てるのも為政者の仕事ということですね。
どんな基準で選出されたのか、気になります。
もちろん、王国の選出した監視役も混ざっていたんですよ。
つまり陛下は最初から全部知っていたはずです。
最後に両陛下からの謝罪を受け取り、今回の騒動はおしまいです。
なのに…
「みんなありがとう!
私たちは必ず立派な王と王妃となる。そして君たちを導き、良い国を作ってみせる。
見ていてくれ!」
殿下がまた高らかに吠えました。
気概はあるんですよ。気概は。
でも頭が春っぽくて…
まあ、あまり心配はいらないですかね。




