4話 懇願するヒロイン
場面は変わって保健室。
「う、うう」
ベッドに寝かせられていた源が目覚める。
「源さん! 大丈夫かい⁉ 良かった目が覚めて」
隣の椅子に座っていた中島がホッとする。
「ここは………保健室?」
「そうさ。源さんが気を失ったから僕が運んだ。痛い所は無い?」
首を振る源。中島がもう一度ホッとした。
源が辺りを見渡す。保健室の先生が見当たらないが、変わりに中島のクラスメイト四人が、源のベッドを囲うように立っていた。
「おお、起きたか」
「良かったー、大丈夫そ?」
落ち着き友とアホ友が尋ねる。
「あ、えーと、保健室の先生……いや、皆さんは……?」
「ああ、オレら中島と同じクラスの。中島と源さんが気になって見に来たんだよ。保健の先生はここ来た時にいなかったから、勝手に使っちゃってる。多分すぐ戻って来ると思うよ」
気さく友の説明に源は「はあ……」と気の抜けた返事を返す。
保健室は薄暗く、半開きにされた窓からは申し訳程度の木漏れ日とそよ風が室内に入っている。
「源さん源さん! 気分はどうだい? 気持ち悪くはないかい? 君が起きて安心したよ! もしこのまま目覚めなければ僕が目覚めのキスで起こそうとしていた所だったんだ! だがやはり僕達のファーストキスはもっと相応しいタイミングの方がいいかと思っていたから、本当に君が目覚めてよかっ、」
「コラ止めろ、病人に圧かけんな」
「痛っ」
バシっと一発、威圧的友が中島の頭を叩いた。
「おい、お前ホントに今日可笑しいぞ? なにその話し方? キッショ過ぎだろ」
「き、キショいとはなんだ! 僕の感情をそのまま発して何が悪い! それに仕方ないだろ、このあふれ出る気持ちは止められないんだ! 例えるなら『白熱したレースによりオーバーヒートを起こしたが尚熱量を上げるエンジン』! つまり火傷どころじゃすまないって事だ。たわけが」
「??????」
「何言ってんだコイツ」
「たわけはオメぇだよ」
呆れるクラスメイト達は、四人とも深く溜息を吐いた。やれやれと言った感じである。
「……………………」
それを見ながら、源の心臓はドクンと強く波打つ。中島を見て、(やっぱりカッコいいな)と純粋に思って、そしてひどく落ち込んだ。
(……でも、やっぱり呪いに掛かってる)
落ち込んで、源は決意する。『やるしかない』と。
源はクラスメイト四人を順々に目線を向けてから、最後に中島に合わせる。
「あ、えーと、苗字、は、えっと……な、中島? でいいんです……よね? 確か?」
コミュ症のため頑張って話す。中島は頷きながら微笑む。
「……もちろん。結婚すれば君も中島性を名乗るんだ」
「そうじゃねぇよ」
威圧的友がもう一度中島の頭を叩いた。
気を取り直して、源は話す。
「な、中島、くん。ちょっとすみません。せ、席を外してもらってもいいです、か?」
「っ? 席をかい? どうしたんだい源さん」
「あ、いや、中島くんのクラスメイトさん達に、その、少し話が」
「「「「ん?」」」」
四人は不思議そうに互いの顔を見合わせる。
「え、ウチらに話? なになに~?」
「あっ、えっと。その、中島君がいるとちょっと、離しづらいっていうか……」
「っ⁉ 待ってくれ源さんそれはどういう意味だい⁉ 確かに恋人同士とはいえ隠したい事の一つや二つあるだろうが僕には話せない事って…………はっ! もしや僕に何か至らない点が!」
「あーうるさいうるさい。ちょっと外出てってよ中島」
アホ友がしっしと手で払う。
「何を言うんだ! これは家族(予定)の問題であって部外者が…………」
「え、なになに源さん⁉ どうしたの⁉」
すると当然、落ち着き友が声を上げる。彼は源に近寄り、自身の耳に手を当てて、源の口元に近づけると、さも源が話しているかのように「ふむふむ、あーそうなんだ、なるほど。了解了解!」と大袈裟に相槌を打ち始め。
「中島、源さん寝起きだから喉乾いてるって! 飲み物買ってきて!」
「ッ⁉ そ、そうだったのかい源さん⁉ 分かったすぐ行く!」
そう言って中島はダッシュで保健室を飛び出していった。残った全員「「「「おおぉ~」」」」と感嘆の声を上げる中、落ち着き友は、中島の座っていた椅子に腰かけて源にいく。
「それで。源さんが俺達に話したい事って何?」
「あ、はい。そうですね。じゃあ…………」
源が毛布を払いのけると、ベッドの上で土下座した。そして情けなく泣き叫んだ。
「―――――おおおおおお願いしますぅ! 助けてくださいぃ! ここここここのままじゃ世界が滅亡しちゃいますぅ!」
「「「「は?」」」」
当然、突然のことに四人は固まった。
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