【エピローグ】そして決闘へ
やあ、僕は中島。巨大隕石から地球を救った男子高校生だ。
六時間目の授業は現代文だった。
昼休みを過ぎ、五時間目をやり遂げ、今日一日で溜まった気だるさが眠気を誘う。
放課後の為に寝ようか…………とも考えるが、授業中に寝るのは個人的にはナンセンス。先生が嫌な気持ちになるからな。頑張って起きておこう。
窓から舞い込む優しい風はカラッと乾いていて、春から初夏へ、季節の変わり目を実感させた。
ああ、早く放課後になってくれないかな。なってくれたら、愛しの源さんに会える。
彼女へ、この最大限の愛をぶつけられるんだ。
――――――キーンコーンカーンコーン。
授業終了を知らせる鐘の音。僕の心臓も高鳴る。
現代文の先生が教室から退室。僕は焦る気持ちを落ち着かせようとするが、身体は正直者。小刻みに脚が揺れ動いてしまう。焦るなって僕よ。すぐに会えるさ。
嗚呼、でも早くグラウンドへ行きたい。そして源さんに会いたいよぉ。
間もなくしてホームルームが始まる。担任が何か話しているのだが、全く耳に入らない。すまない先生、今は源さんとの約束で脳内にキャパは無いんだ。
ホームルームが終わった。
(来た、来た、来たぁ!)
僕は勢いよく席を立つ。勢い余って机と椅子は明後日の方角へ吹っ飛んだ。
教室を飛び出して走る僕。向かうはグラウンド。グラウンド。グラウンド。グラウンド。
(源さんっ! 源さんっ!)
無人のグラウンドには、まだ誰もいない。源さんは来ていないようだ。
僕は、待つ。最愛の人を待つ―――――――――――――。
☆
―――――そして数分後。舞台は整う。
僕は今、高校のグラウンドに着いて、ある人と対峙していた。
「まさか、君が決闘を望んでいたとはね……源さん!」
相手は愛しの人であり、僕のエンジェルでありヴィーナス。そして将来の妻(予定)である彼女…………源さんだ。
僕は、先日の遊園地にて源さんに決闘を申し込まれていた。
最初は、彼女は「結婚したいです」と言っているのかと僕は思っていた。実際源さんが抱き着いてきた時は「ああ本当に僕らは結ばれたんだな」と舞い上がって、そのおかげで巨大隕石も押し返すことが出来たんだ。
だが、違った……彼女は本当は結婚ではなく「決闘したいです」と言っていたのだ!
恐らく抱きしめてきたのも僕を締め上げたかったんだ…………クソ、そうだったんだね源さん。僕はなんて思い違いを………………。
だからこうして今、僕達は!
こうして学校の放課後に源さんと決闘しようとしているのだ!
「あ、あの、中島君、ここここれは一体……」
「僕は本当は、人と争い合いたくないんだ。たとえ試合形式のであってもね。愛しの人である源さんとなら尚更ね…………でもね」
僕は、目の前の源さんを見やる。源さんはプルプル震えていた。
「君が決闘したというなら、僕は誠心誠意それに向き合いたいんだ! 君がそれで満足するというなら! 僕は全力で迎え撃とう!」
「え、いや、あのちょっと⁉ ななな中島君⁉ 決闘と言ってももっとこう、穏便なやり方が、」
「ははっ、震えているね源さん? 〝武者震い〟……といったところかな? いやはや、まさか君が戦える人間だったとは思わなかったよ」
「いや、いやいやいやいやいやいや!」
武者震いをしているとは…………………戦う気満々だね、源さん。
「ちょ、ちょっと皆さん! な、なんでさっきから傍観してるだけなんですか⁉ ほほほ本当に戦うんですか私⁉ ちょっと⁉ 何で何も言わないんですか⁉」
源さんが僕のクラスメイト達の方を向いた。
クラスメイト兼、僕の四人の親友。彼ら彼女らはこの決闘を見届けてくれるそうだ。
「地球、滅亡しなくて良かったねぇ。源さんに感謝だ」
「だなぁ。一時はどうなるかと思ったけど、回避できて良かった。マッチポンプって感じもするけど」
「まぁ、中島の呪いは解けてないし、何一つ解決出来てないけどねぇ…………で、どうするこの状況?」
「良いんじゃないこのままで? 源さんは一回痛い目みた方が良いと思う」
「「「それな~~~~」」」
四人は何か話しながら、ジッと決闘の行く末を見守る。一同目を細め、険しい顔をしていた。
しかしあの四人には、少し迷惑を掛けた事もあったなぁ。お礼をしたいのだが、何をすればいいだろうか。
もし、この決闘が終わって。僕が源さんに告白して成功して。それから近い未来結婚して結婚式を挙げることがあったら、四人は必ず呼ばねばな。四人に美味しい料理をご馳走したい。
あ、あともし僕と源さんに子供が出来たら、四人にも見せたいなぁ。子供は男の子になるか、女の子になるか。どちらも楽しみだなぁ~~~~。
ハッ、いけないいけない! そンな事考えてる状況ではないな!
「さて、と…………」
僕は構える。源さんは相も変わらず体を震わしていた。余裕があるな、源さん!
「構えてくれ源さん―――――――僕と、〝決闘〟しよう!」
「ひぃ、ひえ~~~~~~~~~~~~~~~‼」
源さんが叫ぶ。彼女の気合は十分のようだ!
これは僕二人の、初めての夫婦喧嘩…………って、にしては清々しい気分だな! はは!
僕は笑顔で源さんをみて、そして、決闘を始めた。
さあ! 僕の最大の愛を、全力で、彼女にぶつけますかなぁ~‼
終わりです。たま〜に気が向いたら続き書いたりするかもしれなかったりしなかったりするかもです。
感想等、よろしくお願いします。




