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ラブコメ主人公、ご乱心  作者: 本郷隼人
【第四章】ぶちかませ!ラブラブパワー!
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4話 隕石を阻止せよ

「「「「「……………………………」」」」」


 五人は、絶句する。夜空を埋め尽くす巨大隕石のデカさにポカンと口を開けていた。

 周囲の人々は、巨大隕石の襲来に恐怖し、騒ぎ、怯え、発狂していた。さっきまでの楽し気な雰囲気は見る影もない。


 一時間後に来る終わりに遊園地は騒然としていた。いや、恐らく日本中、世界中が同じような状態だろうと容易に想像できた。


「お、お」


 次第に、アホ友が沈黙を破る様に音を発して、


「終わった……完全に終わった……」

 膝を地に付け、落胆して、

「終わったぁぁぁぁーーーーーーー‼ 完全に終わったぁぁぁぁーーーーーーーー‼」


 二度。今度は大声で叫んだ。悲痛の叫びというヤツである。


「あぁ……クソ‼ マジで、世界滅亡しちゃうのかよ…………‼」

「俺、最後におばあちゃんが作った唐揚げが食べたかったな」

「あ、アタシまだ‼ まだ大金持ちになってないのに…………ッ‼」

「俺は、将来は高層マンションに住みたかったんだけどな……」


 続けて威圧的友と落ち着きが落胆して、心残りをぽろりぽろりと呟き始める。落ち着き友に関しては涙が一滴、頬から滑り落ちた。


「ちょ、おい馬鹿止めろ! なに諦めムードになってんだ! 絶対何か回避する方法があるって! そうだろ源さ…………ってアレ、源さんが見当たらない⁉」


 気さく友はまだ諦めていないようで、必死に皆に呼びかけ、そして源に解決策が無いか聞く。聞くが、源が見当たらない。

 キョロキョロ辺りを、そして源を発見する。


「うぅ、中島く~~~ん。中島君中島く~~~~~~~ん」


「ちょ、ちょっと源さんってば~。ハハハ、何だい? 急に甘えん坊さんだなぁ~?」


 源は泣きながら、必死になって中島に抱き着いていた。


「……何、やってんの源さん」


「だ、だって……もう世界が滅亡しちゃうから……最後にイケメンな男子のぬくもりを感じたくて……ぁぁ、これが中島君の身体ぁ……あははは……滅茶苦茶ガッチリしてるぅ……」


「いや~、ちょっと照れるなぁ~」


 抱き着かれて頭を掻く中島と、トチ狂ったのか泣き笑いしながら抱き着く源。

 地球滅亡が決まった事による生まれた地獄絵図の一つである。


「いや何きめぇ事してんだよ源ォォォーーーーーーーーーっ‼」


 気さく友、キレる。大声でキレ散らかす。これでもかと憤怒を爆発させる。


 ――――だが、怒ったところで、刻一刻と隕石は地球へ飛来しているのである。


(おいおい、マジで本当に世界終わっちゃうのかよ? クソッ、こんなふざけた事で滅亡しちゃうのかよ!)


 空を見上げる気さく友。世界の終わりが、すぐそこまで来てる。


(ちくしょう、打つ手はないのか…………⁉)


 拳を力強く握り締め、非力な自分を責めた。このまま世界は終焉してしまうのか……。

 諦めかけたその時、中島は気さく友を、そして他三人を見て驚く。


「あれ、皆いつの間にここに? いつ遊園地に来たんだ?」


「いや今更⁉」


「というか、何だか辺りの様子が騒然としているな? 何故人々は逃げ回ってるんだ?」


 どうやら告白に成功した事実に頭が一杯で、周りが見えていなかったようである。


「あ、そ、それはですね。これから隕石が地球に衝突するみたいでですね……」


 抱き着き中の源が説明する。


「隕石?」


「は、はい、空を見てください」


「むむむ⁉ 何だこのデカいのは⁉」


「あ、そ、それがあと一時間で地球に飛来してきて、ち、地球に激突してしまうみたいなんですぅ。はい……」


「な、何だって⁉ それは大変だ、よし!」


 中島は驚きつつ、何か決意を固めたようである。

 意気込むや否や、中島は、


「ぎゅ~~~~~~~~」

 と、源を抱きしめる。


「ひぇ⁉」


「ぎゅ~~~~~~~~~~っと。ありがとうマイハニー、充電できた」


 そして源に礼を言うと、その場で軽く準備運動をし出す。


「よし」


 一通り身体を温めてから、意気込んで、


「よし……よし……」


 意気込んで、


「よしよしよし……」


 意気込んで意気込んで、


「よしよしよしよしよしよし…………」


 意気込んで、意気込んでから…………………………。


「よし‼ この源さんが暮らす星を、隕石などに壊させはしない‼ トゥっ‼」


 高く高くジャンプして、高く高く、飛翔―――――――――――――――。


 ドゴン、大きな音が辺りに響く。中島が地面を蹴った事による衝撃音だった。


「「「「「えっ」」」」」


 文字通り空高く飛び立った中島に、五人はもう何度目かも分からない驚きの声を上げた。

 先程まで中島が居たテラスには、力強く蹴られたせいで、クレーターの様な大きな窪みが出来ていた。



 中島は空高く、ロケットの如く隕石へと向かっていく。


(この地球を、消させはしない!)


 決意、希望、覚悟、そして源との幸せな未来を胸に秘め、中島は行く。

 地球を救うため、中島は跳ぶ。


(源さん……僕、分かったことがあるんだ)


 中島は、心の中で愛しの人へ囁く。


(愛とは……僕にとってパワーの根源! そうつまり〝元気の源〟なんだよ源さん!)


 中島はオゾン層を抜け、遂には宇宙へと飛び立つ。

 普通、ジャンプでは中島の超人的な身体能力であっても流石にここまで飛翔することは出来ないであろう。


 しかし、源に告白をOKされ、更に源を抱きしめ愛のパワーを充電した今の中島は、従来よりも遥かなパワーを得ていた。

 更に、中島には飛行を補佐する〝味方〟がいた。


(飛んで……ダーリン!)


(むむ! この声はイマジナリー源さん!)


(私達の、世界の未来のために、飛んでダーリン!)


 脳内に流れ出す源の声。勿論これは中島が無意識に捏造している声なのだが、しかしこれが飛行を可能にする主な理由であった。


 現在の中島は、『源から告白を承諾されたお陰で、今自分は飛んで巨大隕石を向かい撃つ事だ出来ている』と深い自己暗示を無意識かで行っていた。


 しかしその自己暗示こそが‼ 中島の身体をリミッター解除を解除し、そして自身に掛けられた呪いの制御を、そしてその内容を狂わせた‼

 バグった事により『超人になる呪い』は変則的な進化を遂げる。超人的な身体能力の向上だけでなく、改変された呪いルールは、中島に更なる〝力〟を授けた!


 その進化(ちから)とは、〝飛行〟――――――現在中島は、飛行能力を得ているのだ‼


(ダーリン‼ 飛んで‼ どこまでも高く羽ばたいて‼)


 源への愛が、中島に翼を授けたのだ!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼‼‼」


 ロケットを凌駕する速度で巨大隕石を迎え撃つ中島。

 目前には、自分の何千倍もの大きさの隕石が!


 そして、


「いっけぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ”ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」


 中島が隕石に激突! 押し返そうと全パワーを込める!


(ダーーーーーーーーーリーーーーーーーーーーーンっ‼)


「うおォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」


 中島、叫ぶ‼ その雄叫びは隕石の動きを止め、そして、


「よしゃあ‼ 源さん、地球を、君を救ったぞォ‼」


 巨大隕石を、宇宙の彼方へ突き飛ばしたのだった。


 ⭐︎


「「「「「嘘でしょ……」」」」


 空を覆いつくしていた隕石は、ドンドン小さくなっていく。

 地上にいた五人は、中島が本当に隕石を押し返したのだと確信した。


「お~~~い皆ぁ~~~~!」


 そして、空からゆっくりと、中島が飛来して来て、五人は大きく口を開く。


「「「「「飛んでる……⁉」」」」」

「隕石を押し返してきたよ~!」


 ヨッと、軽い感じで中島は地上へ降り立つ。

 五人は、聞きたいことが山ほどある様子だったが、驚きすぎて、言葉が見つからない。

 そんな中、先程から電源が点きっぱなしな源のスマホから、リポーターの声が聞こえた。


『速報です! 第二、第三の隕石群が飛来してきています! 隕石群はあと一時間ほどで地球に到達すると思われ、』


「はっ!」


 生放送を聞いて源は気付く、まだ終わっていないのだと。自分が何とかしないといけないんだと。


「な、中島君!」


 すぐに源は中島へ駆け寄る。

 何とかしなければ。しかし、どうすれば…………あ、あれだ。あれをすればもしかしたら。

 ある秘策を思いつき、考える暇もなく呟いた。


「な、中島君!」


「どうしたんだい源さん? もしやこれからの二人の結婚についての話かい!」


「そそ、その結婚の事なんですけど…………!」


 源は勇気を振り絞って、そして、



「―――――――さっき私は中島君に『結婚したい』って言ったのではなく、『決闘したい』と言ったんです!」



「へ?」

「「「「へ?」」」」


 中島と、そのクラスメイト達四人は、本当に今日何度目か分からない、吃驚の声を上げた。



『あ、たった今入った情報です! 第二第三の隕石群も、一つ目の隕石と同様、地球から離れて行っているという情報が入りました! 奇跡です、これは奇跡です!』


 源のスマホに映るリポーターも、驚きの声を上げるのだった。

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