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ラブコメ主人公、ご乱心  作者: 本郷隼人
【第三章】阻止しろ!カップル成立デート!
18/30

2話 戦犯

 朝、自室のベッドにて源は目覚め、学校へ行くための身支度をする。

 しながら、決意する。


(で、デートの事、無かったことにせねば!)


 中島の『中島電車に轢かれ事件』から翌日、中島の勢いに気圧されデートを承諾してしまった源は、その後散々、中島のクラスメイト達に叱られ、罵詈雑言を浴びせられ、家に帰っても自分で自分を卑下しまくって号泣していた。


(うぅ、なんで……デートの誘いを受け入れちゃったんだろう。なんかその場の雰囲気で受け入れちゃったけどさぁ。ダメじゃんどう考えても。何やってんだよ本当…………いや本当に皆さんに申し訳ない…………馬鹿すぎる私……)


 罪悪感に顔を歪ませながら、もそもそ目玉焼きを頬張る源。母に、やっぱり殻でも入っていたかと尋ねられた。


(本当にこのままじゃいけない! 中島君とデートなんかしたら百回は告白してしまう! 心を強く持て! 自力でデートの約束を破棄せねば!)


 決意を胸に、制服に着替える。ぼさぼさの髪を櫛で梳かすが、昨日同様そもそも髪自体にキューティクルも何も無いので、梳かした前と後で左程変わってない。


(いやでも私、昨日は中島君のこと拒絶出来てるんだよなぁ。てかなんか割と耐性できてる気がするっていうか。うん、やっぱり人間って慣れる生物だし。そうだよ今の私ならいけるよ! うんうん、なんかいける気がしてきたぞ!)


 玄関で靴を履き、ドアを開く。行ってきますの言葉が心なしか逞しく響いた。


(よし、張り切っていくぞ!)


 外の日差しが暖かく、覚悟を秘めた源を出迎えた。



「源さん! デート楽しみだね!」


「あ、う、うすぅ……で、デート、うへ……うへへへへ…………はい、そうですねぇ」


 その覚悟はすぐに塵になった。

 デートを断りに中島のクラスに来たが、中島のイケメンスマイルに絆され、クソザコ陰キャメンタルの源は、断る事が出来なかった。


(うへぇ~~~~~やっぱり無理ぃぃぃぃぃ中島君イケメン過ぎるぅぅぅぅううう)


 そのニチャニチャデレデレした、例えるなら握手会で推しと対面できたファンの様なキショく浅ましい笑顔を、ぐへぐへカエルみたく汚らしく鳴きながら中島に向けるしか、ヘタレ女の源には叶わなかった。

 そこにはもう昨日の、中島を突っぱねることに成功した勇ましい源は存在しなかった。


「「「「………………………」」」」


 そんな何もかも情けない源を、クラスメイト達四人は顔を歪めて眺めるしかなかった。


 ☆


 それから昼休み、空き教室にて。

 情けない源と、それを見かねたクラスメイト四人は、デートをどうにかするべく作戦会議をしていた。


「クッソ、デートは今週の土曜日。つまり明日! ヤバい時間がない!」


「どうするの? このまま源さんに中島とデートしちゃうじゃん?」


「それは不味すぎるって。自制心ない源さんがデートに耐えられるわけないでしょ」


「あぁもう、この状況かなりヤバいな」


 う~んと唸りを上げて悩む四人。表情には焦燥の色が滲み出ている。

 落ち着き友が言った通り、このまま源が中島とデートしてしまえば、恋愛耐性ゼロ自制心皆無人間の源が、中島を受け入れるのは今までの経験からして目に見えて確実だった。壁に卵を投げつけたら割れるぐらいには100%必ずである。何なら源自ら告白して世界滅亡、なんて可能性すら大いに有り得た。


「ハァ~~~。源さんがデートの誘いなんか断ればこんな事にはならなかったってのに。マジで指輪を受け取らなかった源さんはどこ行ったん? ねぇ源さん?」


「ひぃ、すみませんすみませんすみませんすみません」


 威圧的友に睨まれ、源がひたすら土下座で謝り出す。

 見かねた気さく友が「おいおいやめろって」威圧的友を諭した。


「そのことはもう散々昨日叱ったじゃん? もう切り替えよう、な? 源さんもいちいち土下座しないで。床汚いし」


「あ、はい」


 源はスッと立ち上がり、スカートに付着した埃を払う。

 空き教室は、普段使いされていないらしく掃除が余り行き届いていなかった。人気も少なく、中島を抜きにした作戦会議には打ってつけである。


「つってもどうするん? デート明日だよ?」


 アホ友が問うと、落ち着き友が応える。


「取り合えず中島とのデートを阻止するしかないでしょ。手あたり次第思いつく方法を試そう」


「まぁ、それしかないか」


「じ、時間もないですし、そ、それが良いと思います」


 アホ友と源が承諾し、威圧的友もそれに頷く。


「よし、じゃあ早速全員で案を絞り出し合すか。源さんをデートに行かせないようにして、なんとか世界滅亡を回避するぞ!」


「「「おーーー」」」


「お、おーーー」


 気さく友の言葉に他四人が意気込んむ。

 そしてそれから、全員で悪戦苦闘しながらアイデアを出し合う。四の五の言ってられないので、割と粗削りな作戦もあったが、『取り敢えずやってみるか~』という軽い精神で五人は実行し始めた。

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