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とある国の干ばつ地帯、男爵の三男坊が頑張っていく。中性的で小柄!マジで戦士向いてない!
私は今、水を汲んで走っている。
わが親友のために。
あいつは勇敢で、前に出ることを恐れない。
だが昔から体調を崩しやすい。剣を振るうことに夢中になると、水を飲むことすら忘れる。
だから、私が運ばなければならない。
干上がった地面を蹴り、革袋の重さを感じながら、ただ前だけを見る。
――次の瞬間、視界が引き戻された。
衝撃。
耳鳴り。
土と光が同時に跳ね上がる。
前衛で突っ込んでいった農兵たちが、声を上げながら前進している。
誰かが倒れ、誰かが踏み越え、また誰かが走る。
今日も戦線は膠着状態だった。
「おい、エリオ。次はどうする?」
振り向くと、汗と埃にまみれた同僚がこちらを見ていた。むさくるしい顔だが、悪い奴じゃない。
――言われなくても、前進だろ。
私は短く合図を出した。
前衛が無理やりこじ開けた、わずかな隙間。そこへ、私たちは走り込む。
その日の戦いは快勝だった。
私は非力な方だ。
剣も大きくないし、腕力も人並み以下だ。
だから大した活躍はしていない。
それでも、同僚たちは違った。
一騎当千という言葉が似合う勢いで、次々に敵を倒していく。
――戦争は、まだ普通の顔をしていた。
私がこの乾いた平原で戦うようになって、もう半年が過ぎていた。
その間に、我がクアリス王国は徐々に劣勢へと傾いていった。
もともと国土の六割ほどが干ばつ地帯だ。
石だらけの土地は農耕に向かず、何より水が慢性的に足りない。
敵国はノルデリク連邦。なんでもとんでもない大きな魔法兵器を作っているとか
連邦との共有河川を、我が国が独占しようとした――そんな理由で戦争が始まったと聞かされた。
……男爵家の三男坊である私には、正直どうでもいい話だった。
「ノルデリクの腰抜けどもの顔、見たかよ!」
ロイドが、焦点の合っていない目を見開いて叫ぶ。
泥と血で汚れた口元を歪め、やけに楽しそうだ。
「小便まき散らして逃げてやがった!」
周囲から、笑いが漏れる。
誰かが肩を叩き、誰かが剣を振り回す。
あいつも今頃、どこかで馬鹿騒ぎしているんだろうか。
戦場の片隅で、剣を振り回し、笑って、酒を奪って。
もしかしたら――
もう名を挙げて、部隊長にでもなっているかもしれない。
いや、副師団長。あいつなら、それくらいはやりかねない。
そんな取り留めのない想像をしながら、私は杯を重ねた。
酒が回り、気が大きくなった戦士たちの声が、夜営に渦巻く。
笑い声はやけに大きく、怒鳴り声は必要以上に荒い。
私はその喧騒の中に身を沈め、
いつの間にか眠りに落ちていた。
素人です。読みにくいです。すいません。




