第7話 ー 若き王の傲慢
王国の門をくぐると、群衆が押し寄せてきた。
中央には騎士たちの進む道だけが残され、レオンが縄で縛られた少年たちを引きながら先頭を歩いていた。
人々は理由もなく怒りを露わにしていた。
その動機ははっきりしなかったが、すぐに明らかとなった。
トマトやキャベツが少年たちに投げつけられ、拒絶の叫びが響き渡る。
「異邦人め、出て行け!
我らにはお前たちなど不要だ!
帰れ!
これが称えられた英雄だと? ただの子供ではないか!」
罵声の嵐に、少年たちはただ呆然とするしかなかった。
ハルトは決意を崩さず、野菜に汚されながらも前を見据えた。
ダイチは涙を浮かべ、怯えながら必死に避けようとした。
ユイは冷たい視線を群衆に投げ、苛立ちを隠さずハルトを責め続けた。
その時、ダイチが必死に野菜を避けていると、誰かが彼を狙って投げつけた。
彼が身をかわすと、それはジェームズの足元に命中した。
ジェームズは即座に立ち止まり、隊列も止まった。
怒りに顔を歪め、周囲を睨むと群衆は一瞬で静まり、恐怖に駆られて散り始めた。
ジェームズは鼻を鳴らし、少年たちを乱暴に押した。
「見世物は終わりだ。進め!」
ユイは彼に立ち向かった。
「あなた、嫌われるのが好きなの? そんな態度で勲章でも欲しいの?」
ジェームズは笑い声を上げて答えた。
「思ったより賢い娘だな……。だがすぐに全てが変わる。
その時、私が先頭に立つのだ。
さあ行け、王がお待ちだ。」
レオンは顔を伏せ、再び歩みを進めた。
やがて城の大広間に到着すると、騎士たちは一斉に跪いた。
ダイチも彼らに倣って頭を下げたが、ユイとハルトは反発して立ったままだった。
レオンは彼らに促した。
「子供たち、頼む……跪いてくれ。」
ダイチは小声で怯えながら囁いた。
「ハ、ハルト……ユ、ユイ……お願いだ、逆らったらどうなるか分からない……。」
ユイは渋々身を屈め、ハルトの腕を引いて一緒に跪かせた。
全員が頭を下げると、レオンは声を張り上げた。
「我らが王に敬礼せよ!」
「王に栄光を!」
王は少年のように若く、三人と同じ年頃に見えた。
しかしその態度は誇り高く、傲慢だった。
彼は足を組み、頭を動かさずに視線だけをレオンへ向けた。
「……では、彼らを紹介せよ。」
レオンは地に跪いたまま、顔だけを上げて答えた。
「……陛下、彼らは王国の周辺をさまよっていました。
その服装から、隣国の平民かと……。」
王は激昂し、即座に玉座から立ち上がった。
「レオン卿! 私に平民を差し出すつもりか?
直ちに牢へ送れ!」
レオンは喉を鳴らし、必死に言葉を続けた。
「……陛下、無礼を承知で申し上げます。
彼らはあなたと同じ子供なのです……。」
王は玉座の階段を降り、レオンの前に立った。
近衛兵も彼に従い、緊張が走る。
「レオン卿、私に要求するつもりか? 身の程を知れ!
父の命令で生かされているだけだ。
もはやお前を守衛隊に置く理由はない。
ジェームズ卿、今この場で新たな隊長に任命する。
レオン卿、お前は命令に従え。処罰は後で決める。」
レオンは顔を地に伏せ、震える声で答えた。
「……あ、ありがとうございます……陛下。」
王は玉座に戻り、退室を命じた。
そして近衛兵に耳打ちし、ジェームズを残すよう指示した。
レオンは少年たちを連れ出すと、ついに涙を流した。
「……子供たち……お前たちを牢に入れねばならない。
すまない……私には選択肢がないのだ……。」




