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第1話 ー 忘れられた部屋 の公開

家というものは、そこに住む人だけのものではない。

時には、壁の奥に古い秘密を抱えている。

この家もそうだった。四世代が暮らしてきたが、まだ誰も足を踏み入れたことのない部屋があった。


三人の子供たちは、それぞれ遊びに夢中になっていた。

彼らは気づいていなかった――すぐそばに、人生と想像力を変える冒険が待っていることを。


十歳のハルトは、一番の好奇心旺盛な子。

家の廊下を走り回り、目には無限に続く迷路のように映っていた。


その横で母のユノは、畳んだばかりの洗濯物を抱え、息子の足取りを避けながら歩いていた。危うく山を崩しそうになる。


「ハルト、もっと気をつけなさい!」

「ごめん、母さん! 未知の世界を探検してるんだ!」


ユノはその無邪気さに、優しく温かな笑みを浮かべた。

そして足を進め、ユイの部屋へ向かった。


十一歳のユイは、ハルトの姉。机に座り、学年より先の教科書を読み込んでいた。未来のために、いつも真剣だ。

その傍らで、十歳の友達ダイチは床に寝転び、マンガを読みながら大声で笑っていた。滑稽な場面に耐えられず、声が止まらない。


ユノは開いたままの扉から部屋に入った。子供たちの様子に驚くこともなく、彼らも母の存在に気づかない。


「コホン……ダイチ、もう少し静かにしなさい。」


ユノの叱り声に、ダイチは飛び上がった。


「す、すみません、叔母さん……そんなにうるさくしてるとは思わなくて……」


目を丸くしたままマンガを閉じ、慌てて立ち上がる。


「えっと……ハルトを探してきます!」


そう言って走り去った。再び叱られるのが怖かったのだ。


「まったく、ダイチはしょうがないわね……。ユイ、あなたは勉強中に彼らが部屋に来ても気にならないの?」

ユノは軽い調子で尋ねた。


ユイは本から目を離さず答える。

「母さんが言うまで気づかなかったわ。誰かに迷惑かけてる? おじいちゃんは簡単には起きないし。」


ユノは机の端に洗濯物を置き、ユイの服を分けて片付けた。


「もう着られない服がこんなに……。時が経つのは早いわね。昨日のことみたい、あなたがハルトと一緒に走り回っていた頃が。」


ユイは本を閉じ、母に向き直った。


「何のこと? 私がそんな子供っぽいことをした覚えはないわ。」


ユノは口元に手を当て、柔らかく笑った。


「忘れたふりをしなくてもいいのよ。確かに成長しているけれど、年齢以上に大人ぶる必要はないわ。ハルトやダイチみたいに、想像力を楽しみなさい。」


そう言って残りの服を持ち、部屋を出ていった。


ユイは母の言葉を思い返し、小さな声でつぶやいた。

「想像力なんて子供のもの……。もうすぐ中学に進むんだから、童話を信じる子供じゃいられない。」


――その頃、ハルトはいつものように家を探検していた。

開かない扉を毎日のように試し、いつか不思議な変化が起こると信じていたのだ。


そして、ついに三階へと足を運んだ。

家族の誰も近づこうとしない場所。代々語り継がれる噂があったからだ。

廊下の奥の扉の下から光が漏れ、影が動いたと話す者もいた。恐怖に震えた者もいた。


祖父からその話を聞いていたハルトは、ますます好奇心をかき立てられ、真実を知りたいと願った。


彼は足音を忍ばせ、壁に身を寄せながら階段を上り、最後の段に立った。

廊下をのぞき込み、何か怪しいものが現れるのを待った。


その時、ダイチが忍び寄り、突然現れた。


「うわぁぁぁ!」


ハルトは驚いて尻もちをつき、怒った顔でダイチを見た。


「何するんだよ! 階段から落ちたら危なかっただろ!」


ダイチはハルトの顔を見て、笑いが止まらなかった。


「ごめん! 君が集中してたから、つい驚かせたくなって……。やばい! またユノさんに怒られる、隠れなきゃ!」


ハルトは立ち上がり、皮肉っぽく言った。

「今度こそ母さんに怒られるね。自業自得だよ。」


焦ったダイチは、次々と扉を開けようとした。いつもの遊びのように。


「やめろよ。この階の扉は全部開かないんだ。ユイの部屋に隠れた方が安全だ。」


下の階から足音が近づいてくる。


それでもダイチは諦めず、廊下の奥の有名な扉に手をかけた。


長年閉ざされていた扉は、もう頑丈ではなかった。

ギシッ、と木が割れる音が響いた。


ハルトは驚き、ダイチのもとへ駆け寄った。


「一緒に押そう! 3……2……1……いけ!」


二人は勢いよく倒れ込み、謎の部屋へと転がり込んだ。

ダイチは慌てて立ち上がり、扉を閉めて体で押さえた。


ハルトはゆっくりと立ち上がり、目を輝かせながら周囲を見渡した。

懐かしさと不思議さが入り混じる、新しい空間だった。

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