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間宮 晴彦の女難  作者: 捻じ曲がり式
プロローグ
2/5

間宮 晴彦 という人間


「では、これでホームルームを終了する。授業の準備をしておくように」


そう言い終わると、教壇の上で書類を整えながら、担任の貝塚は教室から出ていった。


少ししてクラスメイトたちの雑談の声が溢れ、ざわめきが出てくる。



「はるっち〜、おはー」


「おはおは〜、どしたん萩原(はぎわら)

と言いつつ、彼女が何を求めてきたのか俺には予想がつく。


「数学の宿題、みーせて?」

実にあざとく首を傾げて上目遣いでおねだりしてくる。


実に予想通りだ。だが答えはもう決まっている。

「萩原、この俺がそんな真面目な人間に見えるか?自慢じゃないが、俺の宿題提出率は50%を切ってる」


『本当に自慢になんないね』

そう呟く彼女は『萩原(はぎわら) 莉子(りこ)

俺の友達の一人。


セミロングの茶色がかった栗色の髪は、特に染めてはおらず地毛らしい。

クルンと内側に自然なカールが施されてる。


実に器用にナチュラルメイクをしており、生活指導から指摘されないぎりぎりのラインを保っている。

ナチュラルメイク…にも関わらず、彼女のその顔は実にあざとく、元々がたぬき顔なこともあり、男受けが良い。


器用なタイプで世渡り上手……なはずなのに、恋人関連のいざこざに勝手に巻き込まれることが多々あるそうだ。

そのせいで女子からの評判はあまり良くないが……彼女自身もそれを楽しんで場をかき乱している節があるので、これに関してはどっちが悪いかなどは俺には判断がつかない。


高校生の時点でファムファタールのようなその生き方に、俺は若干恐怖を抱いている……だけどその『いざこざ』の話を嬉々として聞いてしまうあたり、人のことをとやかく言う資格は俺にもないのだろう。



「そういうのは、我らが頼れる倫太郎(りんたろう)きゅんに頼むべきだ……ということでお願いしゃーーすっ!」


「しゃっすしゃーーすっ!」


「お前らなぁ……はぁ、ほら」


タイミングよく後からやってきた男。

呆れながらも、ノートを出し、我らに救いの糸を垂らしてくれるこのお釈迦様は『宮坂(みやさか)倫太郎(りんたろう)

俺のもう一人の友達。クールガイだ。


顔は俳優のようにしっかりとした二枚目で、面倒見もいいときたもんだ。清潔感のある身なりをしており、目が鋭く、少し強面だが、逆にそこがいいという意見は多い。しかもガタイもよく筋肉質だ。

ぶっきらぼうに見えながらも、その真面目さと甲斐性からくる包容力…そしてその甘いマスクにやられた女性はそこそこいる。


そう、こいつは結構モテる。


本人が隠そうとしてるのにも関わらず、偶然告白されてる現場などを目撃してしまうくらいにはモテてる。


正直羨ましい。




「あざーーっす!」


「あ、ちょっと!莉子が先ー!」


「ぐははは、この世は弱肉強食の早い者勝ちじゃい!おらぁ!」

強引にノートを強奪する。


「さ、最低すぎる。だから五回もフラれるんだよ」


「………」

とんでもないカウンターパンチを喰らった。

こいつ、人の心(えぐ)るのうま過ぎるだろ。


『スキあり!』と俺が傷心で絶望してる合間にノートを奪い取ってゆく萩野。俺はしばらく呆然と地面を見つめ、動けないでいた。


『お前が悪い』と倫太郎からもダメ押しを喰らう。こいつら……もっと友達を大切にしやがれ……



そう、俺は今までの人生で、五回告白して、全て失敗に終わってるのだ。

しかもその相手の一人が、『蓮見(はすみ) ゆき』さん。一つ上の先輩で……この学校で高嶺の花として扱われてるお人だ。

所作が美しく文武両道。優等生でありながら人望も厚い。

なんてすごい人なんだ、流石だぜ。


とても綺麗な方なので、俺以外にももちろん告白した男は多い。そしてその男子生徒は全て散っていった。まさに玉砕。

俺もそのうちの一人というわけだ。


そりゃフラれるよね。

告白の仕方も、『見た目が超絶どタイプです!付き合ってください!』だったからね。

終わってんね。

でも仕方ないね、狐顔の美人さんに弱いんだ俺。

あーいう一見クールな人に、めちゃくちゃに甘えられたい。



でも、ああいう綺麗な人は、このクラスにいるもう一人のモテ男くん、『桐原(きりはら) 颯太(そうた)』君みたいな男と付き合うんだろうな。

あいつ、自分は陰の者です、みたいな雰囲気だしてるけど、全然モテてるから腹立つ。

すれ違いざまに目にも見えぬ手刀を首に打ち付けていいか?


因みにこのクラスに女子生徒を沸かせる生徒がもう一人いる。

このクラス、顔面偏差値に偏りがありすぎないか?




「おーい席につけ〜」

先生が入ってくる。だが俺の心は未だ傷心中。

先生の言葉が何も頭に入らないまま、俺は授業を受けるのだった。



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