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7.後片付け


片付け回になっております。


※初めての経験で嬉しかったため、後書きに感謝を書かせて頂きました。




「初級魔術具だけど、マジックボムから始めようか。っと、その前にまずは片付けだね。」


 青年は一度素材棚の方を見たが、気がついたようにポーション作成により多少散らかっている目の前の机に視線を落としてそう言った。


 (片付ける必要があるのか?)

 

 ポーションの作成に使った道具が確かに散乱してはいるが、まだ長い机の半分程度しか使用しておらず、スペースに余裕がありそうな様子を見て697番はそう思ったものの、結局口には出さずに青年に従う事を選んだ。


 少年の疑問を呈する微かな表情には気づくことなく青年は目の前の漏斗台から布で覆われた漏斗を抜き取り、それを持ったままポーションに使用した素材が置いてあった棚の方へと歩き出した。その背中は着いて来てと言外に言っており、疑問が表情に多少出てしまっていた少年の方も、そのことを特に不満を持った風もなく着いて行く。

 

 素材棚の前に立った青年はしゃがみ込み、一番下の棚の下にあるスペース、つまり床に直置きされていた大きめの箱を何か覗くような仕草をしながら、無意識に少しだけ頷くようにして箱の縁を持って引っ張り出した。

 そしてまた一瞬だけ箱の様子を見ると、少年の方へ顔を向けた。


 「まず、ポーションに使って残った草についてなんだけど、ここの大きな箱に入ったスライムに処理して貰うんだ。」


 そして、少年に箱を確認して欲しいのか、容器の中身が見えるように箱の前のスペースを青年はしゃがんだままの状態で少し後ろに下がって開けた。

 少年はその意をしっかりと読み取れたようで、少しだけ前に出て箱の中身を覗き見る。


「あっ、箱の中のスライムに触ったらダメだよ。このスライムはまだ消化が遅いやつだけど、それでも指が火傷みたいになるし、眼についたら大変だからね。」

 

 青年は、またしても思い出したように少しだけ慌てたようにそう言う。

 当然、それを聞いた瞬間に少年は姿勢を覗き込む形の前傾から急いで直し、気持ち後ろに体重を寄せた。


 (…そう言うことは、先に行ってくれ)


 少年はうっかりが過ぎる青年に心の中でそう愚痴りながら、分かりやすく抗議するような眼差しを向ける。


「わ、悪かったよ。……とにかく、ポーションとかを作る時に使い終わった草はここに入れるから覚えて。」


 自分でも申し訳ないことをしてしまったと思ったためか青年は謝罪を口にして、それでも長めに自らを射抜き居心地とその場の空気感を悪く感じさせる、そんな少年の視線に耐えかねたのか、逃れるようにして次の工程へと促す言葉を絞り出しながらも手だけは動かして行く。


「こんな感じで端と端を持って三角形になるようにして、残った草をスライムの上に落とす。間違えて布を落とさないように注意してね。」

 

 持っていた漏斗から布を対角線上の端と端を持ち三角形になるようにしながら片方の先端を下に向けて軽く手を振り振動を加えることで湿った草の塊を三角形の先端まで移動させ、ボトっとスライムの方へ落とす。

 液体ならば、跳ね返りの水滴が飛んできそうな高さと勢いで落としたが,幸いスライムの破片が飛んでくることはなく、少し形を凹ませる程度で済んだ。種類の違いに依る可能性もあるが、どうやらスライムゼリーよりも生きているだろうスライムの方が強度があるようであった。


 軽くなった布を再度漏斗に軽く被せ、青年は長机へと歩いて行く。

 青年は長机の前に戻り、


 「こんな感じでもう一度ポーションを作った時みたいにして《湧水》、こんな感じでガラスの棒で布の上から押さえてガラスと布を洗うよ。」

 

 と、説明しながら草から煮汁を抽出した時と同様に、漏斗台の片方の穴へともう一度漏斗を差し込んで、布が漏斗から浮かないようにガラス棒で押さえつけて、漏斗台の下側に煮汁がなくなった、スライムゼリーと草の煮汁を混ぜ合わせてポーションを作成した方のビーカーを傾けながら動かし、漏斗の先端の長い部分にビーカーの内壁が接するように置き《湧水》を使いながらガラス棒に水を滴らせるように流して行く。


 一周程度漏斗の内側をガラス棒でなぞるように動かしてある程度洗い流したらガラス棒を机上に置いて、布を漏斗から少し浮かせるように上に持ち上げ、また布を洗い流して行く。


「洗い終わったら、この水はスライムの入ってる箱に流して。」


 青年は素材棚の方へ歩いて行き、慎重に箱を少しだけ引いて、隙間から容器洗浄に使用した排水を先程のスライムが入っていた箱に流した。


「こっちのガラスはこのまま《湧水》、水で洗い流したら同じように箱に流してね。」


 煮汁を作るため草を煮出したビーカーは、漏斗台にセットする事もなく直接内壁を水で洗い、先程と同様に箱の中に洗浄後の廃液を捨てた。


「この箱についてだけど…引く時と押す時はスライムが増殖してない事を確認してね。手元まで増殖してる時があるから。」


 箱を一度確認してから押して定位置に戻しながら青年は今更ながら言った。


「……増殖してる場合は?」


「え、魔術で大体何匹か殺すだけだよ。素材になるから。」


「………分かった。」


 一応大事な事なので確認した少年はそれだけ言って口を閉じた。


「さて、後は《微風》。こんな感じで水が着いてるガラスの余分な水分は飛ばして綺麗にしたら、器具を元々あった場所に戻して後片付けは完了かな。」


 そう言いながら青年は、ビーカーなどガラス類は勿論。漏斗台や机上に垂れて残った水滴も残らず全て綺麗に送風して乾燥させ、手際良く万年筆を含めた道具を片付けて行く。


「さて、今度こそ魔術具の作成に移ろうか。」


 



片付けも大切!という事で描きましたが、今後は原則省略して行くスタイルで考えてます。



※以下感謝

ブックマーク?或いは評価ポイント?を押して下さった方、操作に慣れていないためいつ押して下さったのか分からないのですが、兎に角、私にとって初めての経験であり、言葉で表現するのが難しい程嬉しかったです。本当にありがとうございます。

ポイントが増えているという現象が、まさかここまで心踊る経験になろうとは想像しておりませんでした。非常に本日の執筆の後押しに誠勝手な事ながらも感じております。……それにより描いたものが掃除回になってしまったのは、何とも締まりませんが、、


さて、纏めたつもりで少し長くなってしまったかもしれませんが、以上恐らく特定の方への感謝でした。



そして、ここまでお読みいただいた読者の皆様へ

上記の方だけではなく、私にとって沢山の方々に読んで頂けているのだとPV数?というのがどの程度当てになるのか、価値観の形成がまだ済んでおりませんが、今回の事で複数人の方には読んで頂けているものだと思っています。

何を言いたいのかと申しますと、


「ここまで読んで下さりありがとうございます。」


これが言いたかったのです。一旦7話は置いておいて、1〜6まで全ての話を読んで頂けたと仮定すると、数分は掛かっているはずだと勝手に考えております。

その分の時間を私の作品に使って貰えたこと、とても嬉しいです。


引き続き作品の投稿を継続出来るよう致しますので、今後もご愛読頂けると幸いです。

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