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君の声が聞こえる【青春BL】  作者: 小早川乗り継ぐ/純鈍
3.なんかムカッとする
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付き合いたてのカップルかよ

 落ち着いたと思ったら、すごい爆弾ぶっ込んでくるじゃんか千早。


「そういうんじゃねえから」


 落ち着け、俺、断じて違う。


「じゃあ、なんであんなに怒ってたの?」


 そう千早に尋ねられて考える。


 たしかに、なんか浮気されて嫉妬してるやつみたいになってたけど、それは断じて違う。


「普通に揶揄われたと思って。俺に振られて三日で、というか、その前から千早と付き合ってたんじゃねぇのって」


 こんなこと言ってるけど、絶対に違う。

 普通に揶揄われたら、誰でも腹立つだろ。


「揶揄ってないよ。それに千早とは小学校から同じ盲学校に通ってて仲良しなだけ。付き合ってない」

「僕は瑛二のこと大好きだけどね」


 またピトッと瑛二にくっ付く千早。


 じゃあ、幼少期からこの二人の距離感はバグってるってことか。

 ムッという顔を向けても意味ないってことは分かっていても、俺は千早にその表情を向けた。

 空気で把握してんのか、一瞬沈黙が流れる。

 なんか、ムカつくんだよな、こいつ。


「――そんで、連絡もしてこねぇし」


 仕切り直して、そう付け足すと


「それは俺、虎太郎に振られたし、嫌われたと思ったから」


 と瑛二は答えた。

 伏せた睫がやっぱり長くて綺麗だ。

 整い過ぎてて見てると緊張する。


「べ、別に連絡取ったりすんの、やめる必要ねぇだろ? 俺、瑛二のこと嫌いになったわけじゃねぇし。連絡来たら、普通に返すし」

「え?」


 戸惑ったような瞳がこちらを向く。

 透明感のある瞳にさらに緊張する。

 見えてないはずなのに、なにもかも見透かされてるような、そんな……。


「だから、友達やめる必要はねぇんじゃねぇの? って」


 そっか、俺が本当に腹立ててたのこれだったのか、って自分で口にしてやっと気付いた。

 一方的に好きになられて、こっちが振ったら友達関係もさよならって、どっちもなんだかよく分かんない罪悪感抱えて。


「なにそれ、お友達からってやつ?」


 ふっと笑いながら千早が言う。


「そうだ、お友達からってやつ! 勘違いして怒ってごめん!」


 勢いで俺は言った。

 それと同時に手を差し出すけど、瑛二は気付かない。


「瑛二、手」


 俺が言うと、瑛二は左手を差し出した。


「よろしく」


 こちらが右手だから、噛み合わなくてなんかわちゃわちゃして、結局、瑛二がお手してるみたいになってしまったけど、まあいいか、と思った。


「なんだ、虎太郎、いい子じゃん。僕とも連絡先交換してよ」

「それはダメ。俺を通して」

「なんでだよ」


 なんで瑛二、俺の事務所みたいになってんだよ、って思わず笑ってしまった。



 ◆ ◆ ◆


『コタ、今日の用事ってなんだったの?』

『もしかして、例の告白の彼女?』


 夜、勉強机に向かっていると、いつメンのグループチャットに美香と日和からメッセージがきた。

ちなみに話し掛けられれば答えるが、龍生は基本既読だけして会話に入ってこない。

 

『違うって、普通に家の用事。今度穴埋めすっから』


 そろそろ付き合い悪いとか思われたりすっかな、とか考えながらそうメッセージを送った。


「ほんと、女子って恋バナ好きだよな……」


 アプリを閉じて、呟く。

 画面が真っ暗になった瞬間だった。


「わっ」


 急に着信画面になってビビる。

 画面に表示された名前は『西 瑛二』。


 ――は? 電話? いや、まあ向こうは電話のほうが楽なのか。


 そう思って、緊張しながらも慣れない電話に出る。


「もしもし?」

『もしもし、虎太郎、急にごめん』

「おう」

『電話、迷惑だった?』

「べ、別に」


 瑛二の声を聞きながら、なんとなく落ち着かなくて、部屋の中を歩きまくる俺。

 ここまでで、多分部屋の中一周半くらいはしてる。


『いま、なにしてた?』

「もう寝ようとしてたけど」


 明日の授業の予習も終わったし、ほんとに寝ようとしていた。

 つーか、ぜんぜん会話の続け方が分かんねぇ。


『そっか……、あのさ』

「ん?」

『ほんと、誤解させてごめんね』

「いや、それ言ったらこっちもなんだけど」


 もうほんと、瑛二は謝ってばっかだなと思う。


「つーかさ、今日、外で会ったとき、よく俺の声だってすぐに分かったな」


 瑛二と会ったのはたった二回だったし、名前呼んだだけだったのに、ほんと……。


『うん、俺、虎太郎の声好きだから。すぐ分かるよ』

「なっ、またそういうこと簡単に言う」


 好きって言葉がくすぐったい。

 瑛二は背が高いからか、ちょっと中低音で掠れるような声をしているし、まじで耳が落ち着かない。


『ふふっ、もう寝るんだよね? 一日の終わりに虎太郎の声が聞けて嬉しかった。おやすみ』

「お、おう、おやすみ」


 電話はあっさりと切れた。

 切れたあとに真っ暗になった画面を見て


「あっま!」


 俺はスマホをベッドに投げた。


 なんだ、これ、付き合いたてのカップルかよ?

 え、俺、間違って、昼間に告白とかしてないよな?


 というか、また聞き忘れた。

 なんで俺に一目惚れしたのか。


「痛っ」


 ベッドにダイブして先に居座っていたスマホに額をぶつけた。

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