3章 無敵の軽音部
お久しぶりりあんとです。なんというか小説って思ったより難しいですね。正直舐めてました。眼球が痛い。
今回は女の子が出ます。安心してください。
身体検査を終えたその日の午後。どうやら短大の軽音サークルが新歓ライブをやるらしく、暇だったので行ってみることにした。工藤や変態(菅井)はもうすでに帰ったようで、完全に俺独りぼっちになってしまったが、まあ特に気にしていない。全然ほんとキガラクデイイ。
新歓ライブはどこでやるのかなと思ったらめっちゃせっまい音楽室でやるとのことだった。普通、こういうのってでかい講堂とかでやるもんじゃないかと思っていたが、当然のように短大の敷地内にそんなもんはなかった。びよよよーん。
体育館を離れた後、近くのコンビニで軽く昼食を済ませ、再び短大へと戻る。ちょうど時間的にそろそろライブの時間だ。一人で音楽室に向かうと、まだリハーサルをやっているようでまだ音楽室に入れなかった。おとなしく廊下で待つ。
閉ざされた音楽室の向こうからドンドコドラムの音やぎゃんぎゃんギターの音が聞こえてきた。
周りを見渡すと、俺以外に男の姿はなく、なんか短大に見合わないような頭髪パヤパヤレインボーイケイケギャルが五人ほどたむろしていた。なんでギャルがイケイケ私大じゃなくイモイモ短大にいるんだよ…。元来、陰キャ気質の俺。女子ましてやギャルと同じ空間の空気を吸うと「はわっ、ギャルと間接キス!」と勘違っちゃうので勘弁してほしい。
文字通り肩身が狭い思いをしながら音楽室の前の廊下で待機しているとギャルの中でもとりわけロッキンな緑髪の女の子が話しかけてきた。
「ねえ君童貞?」
鼻から精液出るかと思った。
「おお、うご想像におまかせします…」
本気でびっくりしたので絵にかいたようなどもりかたをしてしまった。ハズイ。
「えー絶対童貞でしょその感じ!」
後ろで取り巻きっぽい人がクスクスと笑っている気がする。いや被害妄想被害妄想…。なるべく眼前の緑髪ロッキン女子と目を合わせないようにふいと視線を下に向ける。おわっ、まな板。
「ははは…」
初対面にこの距離の詰め方はいまだかつてあっただろうか。いや午前にあったな。一瞬メガネの変態が(しょんべん…)と頭でささやいてきた気がする。
しかし、そのメガネのおかげもあってか少し落ち着くことができた。今度は、ぐっと気合を入れ緑髪ギャルの目をしっかりとみて言葉を絞り出す。
「ま、まあ童貞だろうが童貞じゃなかろうがどうでもいいじゃないですか。皆さんここにいるってことは軽音サークルに興味があってきたんですよね?なんか気になる楽器とかある…んですか?」
「うわ、話し方童貞で草」
泣いた。
なんだこの気持ち…。屈辱?恥辱?そしてちょっとの快感…。
AVで馬鹿にされて喜ぶおっさんの心情の一端を感じた日だった。
とはいえ辛辣な言葉にジワリと目頭が熱くなったその時だった。
(うわっ、エベレスト…)
「ごめんね。傷つけるつもりはなくって…ただこの子下ネタでしかコミュニケーション取れナイ的な?人でさ」
髪がまっぴんくなギャルとは思えないほどきゅるんきゅるんでかわいい女の子がフォローに駆けつけてきた。まって今まであったことがないくらいかわいいんだけど。
「うわっ!言い方!それじゃ変態みたいじゃんウケる!」
実際変態だろうとこの場のだれもが心の中で突っ込んだであろう。
短大の変態率高くない?どうゆうこと?短大って実は変態を集めて一番強い変態を決めるための蟲毒の場だったのか?なんて考えていると。
「まあこの子のことは気にしないでもろて。私は成瀬萌。楽器経験はバイオリンだけかな?」
はわわ…俺の目を見て話しかけてくれる…てかまつ毛長…目クリックリ…。てかちっか、ガチ恋距離たすかるう…。まさに見とれていると
「じゃ、そろそろ始めるから入ってイーヨー」
おそらくサークル長であろう男の人が音楽室からひょいっと頭を出して呼びかけてきた。
助かった…。このまま行ったら俺を助けてくれたピンク髪の女の子にガチ恋して童貞をささげるところだった…。
「じゃ、じゃあ行きましょうか」
期待と不安を胸に音楽室へと入る。
新歓ライブは滞りなく進んだ。
ザ・初心者という感じの人もいれば、ばちくそにうまい人もいたりとなかなかバラエティに富んでいる。そんな中でもとおどろいたのが、意外にも男が多いということ。今演奏しているバンドのドラム、ギターボーカル、ベースは男だし、その一個前のバンドのギターも男だった。
男が多く、なんかうまくやっていけそうだなとほっとした。
「んじゃ、最後の曲、やりまーす!」
そう言った男性ギタボの掛け声と同時に有名ボカロの楽曲の演奏が始まった。
すでに会場のボルテージはマックス…と言いたいところだったが、なんというかいまいち乗り切れていない感じがした。演奏がへたくそというよりかは観客が楽しみ方をわかっていない、といった感じか。
というのも、ギャルは盛り上がっているが、内輪ノリだし、それ以外の女の子が後ろのほうで手拍子をやっているだけでいまいち楽しめていないようだ。
おれひとりが「ハイっ!ハイっ!」とか「イエーーーーー!!」とやっていてちょっと悲しかった。
そうこうしているうちに曲が終わった。
「皆さん今日は来てくれてありがとうございました。えー具体的な活動内容は今度のサークル会で説明します。とりあえず今日は、こんな感じでライブしてるよっていうのを見てもらってってー感じですね。初心者大歓迎なんでぜひ…」
いい感じに閉めようかと思われたその瞬間だった。
「はいはーい!私も歌いたいでーす!」
鶴の一声。いやギャルの一声。
「え?」
見るからに同様するサークル長さん。
「いやーライブ見てたらテンション上がっちゃって!しかも最後の曲私の好きな曲だったしー」
いやどういう理屈だよと。いやさすがに無理だろと思っていると、とりまきのひとりがスマホを取り出した。
「いやでもあかねちゃんめっちゃ歌うまいんですよ!」
その瞬間惜しげもなく流れるおそらくあかねとやらがカラオケで歌っているときの動画であろうもの(ゲテモノ)が流れ始めた。
「うわ、ちょやめてよ!」
ニコニコ笑顔のあかねとやら。なんだこの茶番…。
「へ、へえ。確かにうまいね」
顔を引きつらせるサークル長さん。
実際かなりうまいと思う。けどどう考えてもこの場でやっていいことと違うやろ…。
「じゃあ、ちょっと歌ってみる?」
サークル長さんがなんか変な汗をかきながらマイクをあかねとやらに差し出す。
その瞬間ギャルたちが盛り上がる。
それに合わせて大人しめな女の子たちも小さく拍手。
一方の俺はというと共感性羞恥で死にそうだった。
なんなの?!この人ら!?羞恥心内の!?無敵の人かよ!?楽しければなんでもオッケーて感性バブル時代かよ!
こうして、あかねとやらの歌を聴くという謎空間に満ちたところで、新歓ライブは幕を閉じた。
いやあ、この人らとバンド組むかと思うと不安で仕方がない。(しかも楽器未経験)ガチでこのサークルに入るべきかどうか検討するレベル。まあでも、サークル勧誘の時に自作のラップを披露してオオコケした球技サークルに比べたらましかと思い、俺はこの軽音サークルに籍を入れることにした。
いかがでしたでしょうか。ちょっと長くなってしまった気がしますが。うまくまとめられていたでしょうか。不安です。最近になってモンハンライズにはまってしまい、夜もまともに寝れないです。ガチでモンハン童貞だったんですが、ちょっと過去作にも触れてみたいと思ってきた今日この頃。
さて、本編ですがようやくまとも(?)な女の子が出てきましたね。今後はこの辺の子を動かしていくので期待しててください。
次回「一人足りない大富豪」でお会いしましょう。