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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 4章 『復讐の毒花』
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 86 『知欲』vs『復讐』


 予約できてると思ってらできてませんでした。


 申し訳ないです。


 ー エクサー ー


 「この!イカれ自己中め!!」


 セルベロとエクサーは技同士をぶつけ合った。一度、毒を喰らったエクサーは先ほどよりも毒を気にする必要がなくなり、多少の被弾を覚悟に割り切った攻撃で突っ込んできた。それを笑顔で。


 「お前は何も感じないんだな。家族を潰していて!」

 「虫が良すぎる!!君だって命令をしたり時には自分で誰かの命を摘んできただろ?」

 「…」

 「誰にも君と同じようなドラマを抱えているんだ!僕の依頼人のおじいさんもね!君だけじゃない。自分だけだと思っているなら、自己中って言葉を…」


 『アレクトーン』から爆発的な魔力が放出される。


 「お返しするね!!」


 そして勢いよく『大噛』でセルベロをぶった斬った。高濃度の魔力を高出力で纏った『大噛』の威力は通常の攻撃では捉えきれないセルベロを捉えるには十分だった。


 「あ”あぁ、クッソ…痛い。」


 深く傷をつけられたセルベロは、傷痕を見て余計に怒りを募らせた。


 「でも、その気持ちもわかる。」


 巻き上がったホコリの中からエクサーは少しふらつきながら歩いてくる。


 「この世界で自己を最優先にするには、誰よりも強くあればいい。君は個人としても組織としてもそれに値している。だから、自己中であることは許されることだ。ならば!僕は本気で君に勝つ。君に勝てれば、僕の知欲も正しさを帯びる。殺り合おう。己がため、自己の正義のために。」


 着々と毒に侵されつつあるエクサー。それでも自分の『知りたい』探究心に動かされていた。


 その考えにセルベロは共感を見出した。強者であればと言う考え方は、クソみたいな父親に小さい頃から言われてきて、脳みそにガチガチにへばりついてしまった言葉。だが、セルベロはその考え方に否定をしようとは思わなかった。それがある種、力が存在する世界では真理に近い様な物だったからだ。だからこそ、より強く共感した。


 「そうだね…君の考えは個人的に共感するよ…。強者のみが、描く理想を現実にできる。復讐のためにも…僕は君を殺す!」


 セルベロは毒を体に纏い始めると、背中から毒でできた蝶の羽を生やし、毒のローブを着た、美しき形態へと変化を遂げた。


 「う”お”お”お”おぉぉぉぉぉ!」


 もちろんエクサーも自身を貫き通すことを一点に考えて力を貯め始めた。体から勢いよく溢れ出す魔力で、エクサーの体は、少しずつ変化をしていった。爪は鋭く伸び、歯が発達し、右の額からは小さく禍々しいツノが生え始め、悪魔と言われる存在に近くなっていた。


 「勝つ。」

 「同感。」


 そして、2人は勢いよく衝突した。


 ー ライダー×I,B ー


 「お?」


 道の合流地点で、ライダーとI,B、ボッカとオレッチオ、オクチオは合流した。


 「オレッチオー!」

 「姉さん!」

 「よかったーーー!」


 オクチオとオレッチオは無事を確認すると抱き合った。


 「ライダーも、ちょうどだったんだ。」

 「あぁ、エクサーのとこにな。」

 「やっぱり、ライダーも殺さなかったんだ。」

 「まぁな、お前もそうで安心だ。」

 「ジジイ、」

 「なんだ?」

 「ぶっちゃけると、もう終わっててもおかしくないぜ、セルは化け物だ。正面から当たったら。」

 「フンッ。大丈夫だろう。その相手も化け物の子供みたいなもんだからな。」

 「もし負けてたら、私やっていい?」

 「負けてたらな。」


 ー エクサー ー


 己がためのに衝突する2人。勝者こそが正義であるという一致した考えに則り2人は自分のためにぶつかった。『復讐』vs『知欲』。拮抗する2人。この場で相手より頭1つ出る方法は、少しの犠牲で力を使うこと。それを実行したのはセルベロだった。


 セルベロは毒の床に乗って上まで行くと、右手を強く握り、その力をフッっと軽く解放した。そして、その手から一滴の毒の雫が下に向かって落下した。


 大きさとしては大層なものではなかったが、エクサーはその脅威を一瞬で理解した。セルベロは自身の生成できる毒の中でも凶毒とも言えるもを抽出し、高密度の雫として攻撃に転用。魔術の影響で自身を毒にできるセルベロですら、今抽出した毒を扱うことは現段階では不可能。それほどのものが床に着弾すれば、毒ガスの発生、床の侵食、崩壊など何が起こってもおかしくない。


 だが、こんな状況でもエクサーは笑っていた。自分の知らないセルベロを見て嬉しかった。


 自分の全てを捧げた一撃を使用したセルベロに対し、エクサーは本気で答えなければ恥と思い、『アレクトーン』に全ての魔力を豪快にかつ精密に送り込んだ。少しでも出力を失敗すれば、魔力回路がぶっ壊れる。そうなればその時点で負け。そんな結果をエクサーは望んでいない。本気でまだ見ぬ自分を体験するために。


 魔力切れにならない程度の魔力を送りんこんだエクサーは、深く腰を落とし、雫に向かって狙いを様えると勢いよく剣を前に突き出し、それとともにとてつもない魔力が雫目掛けて放出された。


 攻撃は拮抗。互いの魔力は枯渇。これより先はない。限界の闘争。


 「う”る”あ”あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 エクサーは残りの魔力を追い討ちをかけるように放出。と同時に魔力切れどころか、魔力回路そのものがぶっ壊れた。


 しかし、その甲斐あって、エクサーの放出した魔力が雫を飲み込み、さらにセルベロすら飲み込み直撃。エクサーの『知欲』がこの瞬間、勝ったのだった。


 ーー終ーー


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