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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 4章 『復讐の毒花』
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 84 やりたいこと 


 ー エクサー ー


 「ぐ……うぐ…」


 後ろに退くエクサー。


 「避けずにか、まさか足掻きもしないとは。」

 

 エクサーは地面に血を吐き出した。


 「あ”あ”ぁ、僕には…家族がいたかも…わからないんだ。」

 「何!?」

 「普通に生まれたのだからいたんだと思う。でも…生まれてから孤児院にいたし…先生やシスター、神父様も教えてはくれない。多分、本当に何も知らなかったんだと思う…それがわかってから羨むことも知ろうとすることも全て捨てた…親が僕を捨てたとしても…死に別れたとしても、僕の手には…届かないんだ。だから、君の家族に対する思いはわからない。もしわかったとしたらそれは…偽物だ。」


 エクサーはなんとか踏ん張って立つ。


 「君の仲間を殺してしまって悪いと思っている。これがわかっていれば、僕は殺すことはなかった…」

 「もう、遅いんだ。謝っても遅いに決まってる。」

 「知ってる…だから、僕は君の攻撃を受けた。君の毒で僕は時期に死ぬ……でもね、」


 エクサーはより一層踏ん張りを強め、セルベロを鋭い目線で貫く。


 「ただでは死なない。もちろん足掻くし…もがく。僕は…やりたいことがあるんだ…それは『知ること』。君の家族への想いや、運命、真理や過去、未来さえも、可能な全てを知りたいんだ。少し前の僕だったら、君に申し訳ないと思って死を選んでいたかも…知れない…でもね、僕にやりたいことがある以上、僕が誰かに舵を切らせることはない。やりたいことに向かって、自分で生きる。これこそが『生』だ!」


 エクサーは『アレクトーン』を取り出し、足を大きく踏み込む。


 「だから!負けない!」


 そして、爆発的な加速とともに、セルベロに突っ込んでいく。セルベロは口元に残る鮮血を袖で拭い、毒を固めた歪な剣を作ると、エクサーを迎え撃った。


 「こっちの感情はお構いなしか?」

 「もちろん関係ある!でも!さっきも言ったように誰かに舵は取らせない!それを押し通すために僕は足掻く!!」


 先ほどとは打って変わって勢いで優勢を取るエクサー。毒に侵されているはずの体をまるで、何事もないと言わんばかりに動かす。


 「ここだ!!」


 エクサーは一瞬の隙をついて、セルベロの体を掻っ捌いた。だが、それも体を毒の液体に変化させたセルベロには効かず、剣はすり抜けた。


 「甘い!それじゃあ僕を捉えられはしない!」

 

 エクサーはそんな言葉を流し、次は剣でセルベロを貫いた。もちろんこれはダメージにはならなかった。


 「これはどうかな!!」


 すると、セルベロを貫いた『アレクトーン』の刃は明るく発光しだし、次の瞬間、爆発を起こし、セルベロを内部から吹き飛ばした。


 ー I,B ー


 (当たらない!)


 オクチオはI,Bとの戦闘に苦戦を強いられていた。I,Bはことごとくの攻撃を見て避けていた。それもかなりの余裕を持って。それどころか、I,Bの攻撃は受けるばかり、体がボロボロになる一方だった。


 「『裂風』!」


 広範囲を吹き飛ばすほど出力を上げた裂風。オレッチオもこれには手応えを感じた。が巻き上がった砂ぼこりをもろともせず、突っ込んでくるI,B。まさに獲物を刈る目。これには流石に怖気付いてしまうオレッチオ。あまりにも勝てるヴィジョンが見えない。それどころか、このままいけば負けることは確か。それほどにこのI,Bは強かった。


 「これで…終わり。」


 I,Bはオレッチオを蹴り飛ばし、それに追いつき、魔力の一切を右足に送り、強烈な蹴りを叩き込んだ。


 「久しぶりだけど、結構楽しめた。ありがとう。」


 相当のダメージを負ったオレッチオは鳥の外見から元の姿に戻った。


 「負け、私の。もう少し足止めはできるかと思ったんだけど。」

 「そう?結構強かったけど…」

 「ありがとう。素直に受け取るわ。で、どうする?殺すなら一思いの方が嬉しいのだけれど。」

 「?。別に殺しはしない。再起不能なだけで十分でしょ?それとも元気になったら私をまたもう一戦やる気?」

 「まさか。でも、殺さないとは驚き。」

 「あなた、別に悪いやつってわけじゃないし。」

 「そう。ねぇ教えて。私は大切なみんなを守れるぐらいには強い?」

 「みんな?」

 「家族たちってこと。」

 「家族…あぁ、お仲間さんたちね。強いんじゃない?でもなんで?」

 「あなたのような侵入者1人をガーディアンを使っても勝てないのよ私。」

 「驕っているように聞こえるかもだけど、指標を私にするのはよくない。私に直接勝てるのなんて探した方が難しいかも。」

 「えぇ、そんなものを信じると?」

 「別に信じなくたっていい。」

 「うふふ、でも、間違いでもなさそう。あなたなんでそんなに強いの?」

 「う〜ん…」


 I,Bは少し考え込んだのち、少しずつ顔を赤らめ始めた。


 「好きな人…いるから。」


 ーー終ーー


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