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DeViL 悪魔生転物語  作者: オクラ
 4章 『復讐の毒花』
81/207

 78 前夜


 思った以上に風邪が辛かったです。


 ごめんなさい


 地獄・名もなき荒野


 「エクサー、これはすごい。」

 「でしょ。」


 結界術の練習を始めて、2日。エクサーは驚くほどの成長を掴んでいた。日常的に『バリア』を展開しながら生活して、『バリア』をごく自然なものとして認識させることで、範囲を拡張させることに成功していた。


 「あともうちょっとなんだよなぁ。」

 「エクサー、もうちょっとのところ悪いが、A2から依頼の期限が近いとのことだ。」

 「えぇ!?期限なんてあるの?」

 「知らなかったのか。一応ある。」

 「I,B知らなかったの?」

 「あぁ〜、私、あんまり依頼回ってこないし、受けないし、回ってきたら回ってきたらすぐやっちゃうから。」

 「えぇ〜。どうしよう、どうしよう。」

 「明日にでもやるしかないんじゃないか?」

 「だよね〜。」

 「大丈夫。私たちも行くことになってるから。」

 「そうなの!」

 「うん、A2から手伝ってあげてって連絡が来た。」


 期限もあり、1人ではどうしようもないと思ったエクサーは2人も来てくれるなら心強いと思った。


 「明日、期限は明日まで。全て明日で蹴りをつける。いいな?」

 「う、うん。」

 「じゃあ、エクサー、その前に私と練習をしよう。」

 「わかった。」


 2人は距離をとった。


 「ライダー、合図して。」

 「わかった。」

 「エクサー、何を使ってもいいよ。とりあえず、私を倒してみてね。」

 「よーい、どん。」


 猛スピードで駆け出す、エクサー小さい体を生かして素早く動き回り、砂埃を巻き上げ、I,Bの視界を奪う。空高くジャンブしたエクサーは空中で一回転、魔力強化を右の右足に集中させ、踵落としを狙った。


 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 踵は何かに当たった感触を見せた。


 「!?」


 だが、違う。これは明らかに肉体に当たった感触ではなく、硬いものにあたり拮抗する感覚。巻き上げた砂埃が晴れると、I,Bの最低限の『バリア』に渾身の踵落としが止められていた。


 「エクサー、これじゃあ魔力が見え見えでどこにいるか丸わかり。もっと自然に流れるような攻撃じゃないと。」


 I,Bはエクサーの足首を掴むと、勢いよくエクサーを上から振り下ろし、地面に叩きつけた。


 「エクサー、殺す気でこなきゃ、私は倒せない。というか戦いなら誰でもそう。練習も本番も変わりはない。」


 顔面がぐちゃぐちゃになってしまったエクサーはこの言葉を聞いて自分の甘さを理解する。


 (知り合いだから、顔見知りだから、手を抜いてもいいわけじゃない。命をかける以上は殺す気でやるのが筋。)


 それに気づけば、エクサーは集中の中に落ちていくのも早かった。顔面を自動的に回復し、ワープホールに手を突っ込み、中から『アレクトーン』を取り出す。


 「そう、それでいい。その方が私もやりがいがある。」


 エクサーとI,Bは衝突する。


 そんな2人の戦いを目で追うライダー。


 (元気だなぁ、っというか俺も明日行かなきゃいけないのか。あとで準備しとくか。にしても若いていいなぁ。)


 仲間ながらに死闘をしているエクサーとI,Bを見ながらライダーはなんとも呑気だった。


 スレンダーなI,Bは長いリーチを駆使して、主に蹴りを中心として攻撃、エクサーの『アレクトーン』の刃と拮抗し合えるだけの硬い足を備えていた。


 (『ライトニング』)


 エクサーは電気を纏いながら、I,Bの周りを周回。


 「いい技、電気があるってことはさしずめ、スパークの独自応用ってところ。」


 I,Bは、始めて見た『ライトニング』を冷静に解析し、体から電気を発生させ、身に纏うと、見様見真似で『ライトニング』を成功させた。


 高速で動く2人は激しく衝突。その度に2人から漏れ出す電撃で地面は大きく抉れた。


 エクサーは『アレクトーン』に電気の多くを集中させ、電気で無理やり両腕の筋肉をパンプアップ。I,Bも右足に電気を集中させた。


 そして、2人の攻撃は示し合わせたかのごとく、綺麗に衝突。


 両者の背後には電気でできた生物の衝突が見えていた。I,Bはエクサーの背後に『電気の鳥』が。エクサーの目にはI,Bの背後に『電気の蛇』が。


 凄まじい放電は、地面を抉ることでは飽き足らず、最終的に空にかかった雲目掛けて上り、一瞬にして雲を晴らした。と同時に決着がついた。


 ーーーーー


 その場に倒れ込むエクサーに近づくI,B。


 「まだ…負けてない…」

 「はぁ、無茶をしすぎ、明日アジトに行くのに。ここでボロボロじゃ世話がない。」


 電気の出力を上げすぎたエクサーの筋肉は破裂寸前。さらに大量の電気を作るために使った魔力回路も破壊寸前。こんな状態で動けるはずもなく、エクサーはI,Bに抱されて、ライダーの元まで連れて行かれた。


 「ライダー、どうする?」

 「どうするって、寝かせるしかない。」

 「だよね。」


 3人は洞窟の中に入っていった。


 ーー終ーー


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